トヨタ車は5月からトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店というディーラー系列に関係なく、基本的に全ディーラー全車種扱いとなった。
それに伴い今後アルファードとヴェルファイアといった兄弟車は片方に統合されていくと言われているが、統合の先駆けとなったのは商用車だった。
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当記事では販売会社の統合によって絶版となった、または今後消滅する可能性の高いトヨタの商用車たちを振り返り、偲ぶ場としていく。
文:永田恵一/写真:TOYOTA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】全部見せます!! 2020年に統合により消滅のトヨタ商用車の歴代モデル
トヨエース(ダイナに統合)
初代モデル登場:1956年(前身モデルは1954年)
1954年に登場したトヨペットライトトラックは、一般公募によって1956年にトヨエースに車名変更。トヨタのエース系車名の元祖だ
最終的に1トン、2トン積みの小型トラックとなったトヨエースは初代クラウンが登場する1年前の1954年に前身となるトヨペットライトトラックの車名でデビュー。
トヨペットライトトラックは当時小型トラックの主流がタイヤは三本でバーハンドルだったオート三輪だったのに対し、「オート三輪に近い価格で、快適かつ走行安定性に優れる小型四輪トラック」というコンセプトで開発された。
登場当初は62万5000円とまだ価格が高かったため販売も振るわなかったのだが、1956年に車名をトヨエースとした際に53万8000円に値下げし、この時期からトヨエースは人気車に成長。小型トラック業界の四輪化にきっかけとなるモデルとなった。
またトヨエースはクラウンに匹敵するか、トヨペットライトトラック時代を含めればクラウンより長い歴史を持ち、クラウンを日本車の基礎とするなら、トヨエースはトヨタ商用車の基礎を築いた存在でもあった。
トヨタでは1959年にトヨエースと同じ小型トラックのカテゴリーにダイナも加わり(それぞれの扱いディーラーはトヨエースがトヨペット店、ダイナがトヨタ店)、2台は四代目モデルまで別のクルマとして歴史を重ねた。
上がトヨエースで下がダイナ。1995年の6代目から完全な兄弟車となり、2020年3月をもってトヨエースはダイナに統合される
しかしそれぞれが5代目モデルとなった際にトヨエースにそれまでダイナだけにあった2トンから3.5トン積みが加わり、2台の関係は強まり、1995年登場の6代目モデルから2台は細部が違うだけの兄弟車となった。
そして今回の全ディーラーでの全車種により歴史の長いトヨエースのほうが絶版となり、トヨエースは64年という長い歴史に幕を閉じた。
レジアスエース(ハイエースに統合)
初代モデル登場:1997年
ハイエースが絶大なる人気を誇るが、販売店違いの兄弟車のレジアスエースはハイエースほどではないが、コンスタントな販売をマーク
ハイエースはトヨペット店に加え、1980年にビスタ店(2004年4月以降はネッツ店に統合)が設立されて以来1997年7月までビスタ店でも併売されていた。
しかし1997年7月からビスタ店ではハイエースとしては販売されなくなり、それに伴い登場したのが兄弟車のレジアスエースである。
兄弟車といってもハイエースとレジアスエースの違いはエンブレムと、ハイエースにあるスーパーロングバンベースとなる10人乗りのグランドキャビンを含めた乗用3ナンバーワゴンと14人乗りコミューター(小型バス)がレジアスエースにはなく、レジアスエースは商用バンのみとなる点だけだった。
エンブレム(正確には車名のシール)の違いだけにレジアスエースが路上を走っていてもよーく見ない限りハイエースにしか見えないのも無理もないが、レジアスエースはトヨペット店より店舗数が多い旧ビスタ店も含むネッツ店で販売されていただけに、相当数が売れていたと思われる。
2018年に発売された特別仕様車のDARK PRIMEIIのインテリア。商用車とは思えないくらい豪華で質感が高い。当然ユーザーの満足度も高い
実際、筆者の実家にはハイエースでない理由は、「ディーラーとの付き合い」というだけで買ったレジアスエーススーパーロングがある。
しかしレジアスエースがある我が家でもハイエースだと思い込まれているくらいレジアスエースの存在感が薄かったのも事実で、レジアスエースが50年以上の歴史があるハイエースに統合されたのはごく順当な動きとしか言いようがない。
ライトエース(タウンエースに統合予定)
初代モデル登場:1970年
ライトエーストラックは2グレードあり、DXが155万4300円、DX Xエディションが157万6300円となっている
車名のシールの違いだけでカローラ店扱いだったタウンエースとネッツ店扱いだったライトエースは、現在は両車トヨタのラインナップに残っているものの、ライトエースの在庫がなくなり次第タウンエースに統合される見込みだ。
初めから兄弟車だったと思われがちなライトエースとタウンエースだが、ライトエースの登場は1970年と先である。
ライトエースバンはトラック同様に2グレードで、GLが185万3500円、DXが189万9700円。トラック、バンともダイハツが開発製造を手掛け、インドネシアから輸入
ライトエースは現在の軽トラックが少し大きくなったくらいの小型トラックのミニエースの上級版としてトラック、商用バン、乗用ワゴンのバリエーションでデビュー。
タウンエースは1976年にハイエースとライトエースの間に位置するライトエースよりボディサイズの大きい1BOXバン&ワゴン、トラックとして登場した。
つまり「ライトエースとタウンエースは別のクルマ」という関係は1991年まで続く。
1992年に初代エスティマを5ナンバーサイズとしたエミーナ&ルシーダが登場したタイミングで、タウンエースはビッグマイナーチェンジ、ライトエースはフルモデルチェンジという形で、ライトエースはトラック以外タウンエースに準じるアルファードとヴェルファイアのような兄弟車に移行した。
その後1996年に2台は短いノーズにエンジンを積むFRのパワートレーンとなるミドルハイトミニバン&商用バンのタウンエースノアとライトエースノアにフルモデルチェンジされた。
1996年にはステップワゴンの対抗馬として、タウンエースノア、ライトエースノアが登場。現在のノア/ヴォクシーの前身モデルだ
また乗用ミニバンは2001年にタウンエースノアがノア、ライトエースノアがヴォクシーという現在と同じFFレイアウトとなり、乗用ミニバンがノア&ヴォクシーとなった後も商用バンは2007年までFRレイアウトで継続された。
2008年にライトエース&タウンエースは現行モデルにフルモデルチェンジされるのだが、現行モデルは1.5Lガソリンエンジンを前席下に積むキャブオーバーに戻り、クルマ自体はダイハツがインドネシアで生産するグランマックスを日本向けとした1BOXバンとトラックとなった。
現行ライトエース&タウンエースはボディサイズを見るとそれぞれが別のクルマだった頃のライトエース相当なこともあり、歴史も長いライトエースに統合するほうが合っているような感もあるが、総合的なネームバリューが理由なのかタウンエースが残るようだ。
サクシードバン(プロボックスバンに統合)
初代モデル登場:2002年
サクシードは2002年にデビュー。2013年までは商用バンと乗用ワゴンの2タイプが販売されていた。2014年にビッグマイチェンを受けた
プロボックス&サクシードはそれまでのカローラバンとカルディナバンの後継車として2002年に現行モデルが登場した。カローラ店扱いのプロボックスとトヨタ店とトヨペット店扱いのサクシードは商用車として実に使いやすい素晴らしいツールである。
当初のプロボックスとサクシードの主な違いは、サクシードはプロボックスに対し全長がリアオーバーハングで105mm長い、最大積載量がプロボックスの400kgに対しサクシードは450kgと、要するにサクシードの方が荷物を多く積める点だった。
その意味ではプロボックスがカローラバン、サクシードがカルディナバンの後継車といえる。
プロボックス/サクシードとも2014年にフルモデルチェンジ級のビッグマイチェンにより生まれ変わった。現在は安全装備も充実して魅力アップ
しかしこの違いも2014年に2台がフルモデルチェンジと言っていいくらいの超ビッグマイナーチェンジを受けた際に2台は、バックドアに着く車名のシールが違うだけの兄弟車となった。
このことを考えるとハイエースとレジアスエース同様に名前の挙がることの多いプロボックスに統合されたのも当然だろう。
まとめ
今回統合されるトヨタの商用車はほとんど車名違いの同じクルマであり、どちらを残すかの要素は販売台数と知名度をもとに選別されたのだろう。
つまり絶版となったほうは運が悪かっただけであり、絶版となったほうのオーナーは今後も胸を張って乗ってあげることがクルマへの最大の供養や愛情になるはずだ!
同時にトヨタが販売会社統合を機に、乗用車系の兄弟車についても今後着手していくことが明らかになった。
兄弟車の統合のタイミングは、フルモデルチェンジまたは、レジアスエースがハイエースの一部改良時に消滅したように、何らかの改良が施される時になるだろう。
ノア/ヴォクシーは2021年のフルモデルチェンジによりノアに統合されることが有力視されている。ただし直前に変更される可能性もある
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みんなのコメント
車自体は生産終了にはならないよ。
火の無い所に煙を立てようと必死だね。
それより、どの車種も買えるのは昔の日産がやったが、販売店同士の競争がなくなり結果的に売れなくなる、なんて事にならないか?日産のように。