快適でステータス性も高いラグジュアリーカー
快適性、上質さ、動力性能などさまざまな観点から、特に優れた「高級車」を10台紹介する。
【画像】高級車ブランド頂点対決。ドイツの良きライバル【BMW 7シリーズとメルセデス・ベンツSクラスを写真で比較】 全36枚
これまで高級車といえば、大排気量のエンジンを搭載する大型のセダン(リムジン)が代表的だった。メルセデス・ベンツSクラス、BMW 7シリーズ、アウディA8などが有名だが、今ではそれに加えてSUVも数多く登場している。
パワートレインも多種多様で、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、EVと選択肢には困らない。
では、高級車に求められるものは何だろうか? 1つは「快適性」だろう。振動や衝撃を抑え、風切り音やロードノイズを遮断し、洗練された豪華なインテリアで乗員を包み込む。また、多くのオーナーにとっては「ステータス」のシンボルでもあるだろう。
力強いパワートレインと、運転する楽しさも必要だ。搭載されるテクノロジーも先進的なものでなければならない。
今回は、スーパーカーやスポーツカーを除く、世界トップレベルの高級車を見ていきたい。なお、ロールス・ロイス、ベントレー、メルセデス・マイバッハなど、さらに高価な “超高級車” については別の機会に紹介する。
1. BMW 7シリーズ/i7
長所:インテリアは最先端テクノロジーと伝統的なクラフトマンシップの融合。
短所:エクステリアは挑戦的なデザインで人を選ぶ。
過去6世代にわたるBMW 7シリーズは、ドライビングの歓びと乗員の快適性に重きを置いてきたが、最新の第7世代では5つ星ホテルのような快適空間と最先端のテクノロジーがすべてである。高級車として「頂点」を狙っていることは明白だ。
完全電気駆動のi7も導入されたが、パワートレインがどうであれ、人混みの中で目立つことは間違いない。全体的にフラット形状のロングボディに巨大なフロントグリルを備えており、極めて “挑戦的” なデザインとなっている。
インテリアは、BMWのクラフトマンシップと上質な天然素材に最新のテクノロジーを融合させている。期待通り室内空間は広大で、後席乗員用の31.3インチ・シアタースクリーンを装備するなど、車内エンターテインメントを新しい水準に引き上げている。
ダッシュボードにもワイドなデジタルディスプレイが備わるが、BMWおなじみの「iDrive」ロータリー・コントローラーが残されているため、何もかもタッチ操作に支配されるようなことはない。
ツインモーターと102kWh容量のバッテリーを搭載するi7は、最高出力543ps、航続距離590km、0-100km/h加速4.7秒を謳う。気になるのは、2800kg弱という車両重量だ。しかし、パワートレインは力強く、洗練された正確なハンドリングを持つ。
さらに、快適性のおいてはこれまでのモデルと一線を画しており、しなやかに制御された乗り心地は、ランドローバー・レンジローバーやメルセデス・ベンツSクラスに比肩する。静粛性の高さも相まって、7シリーズはついに真のラグジュアリーを実現した。
今年後半にはプラグインハイブリッド(PHEV)がラインナップに加わる予定だが、今のところはi7が量産車トップに君臨している。
2. メルセデス・ベンツSクラス
長所:ディーゼル、ガソリン、PHEVのパワートレインはどれも素晴らしい。
短所:かつてはロールス・ロイスに挑む快適性だったが、今は違う。
BMWは最新の7シリーズで一世を風靡しているが、メルセデス・ベンツのSクラスも依然として高級車の定番である。2020年に登場した最新型は、これまで以上にデジタル化が進んでいる。
デジタル化という点では間違いなく成功している。室内は保守的でありながらアヴァンギャルドな雰囲気がありあり、巨大なディスプレイも競合他社に見られるような無機質さを感じさせない。アンビエントライトの使い方とコネクティビティの導入も実にうまい。
室内は、ドライバーにとっても同乗者にとっても、快適でくつろげる空間となっている。また、フロントグリルの大型化が流行っている現代において、Sクラスの比較的繊細なエクステリアデザインには好感を抱く人も多いはずだ。
Sクラスのガソリン、ディーゼル、ハイブリッドの各種パワートレインにも、ほとんど文句のつけようがない。ラインナップは販売地域や在庫状況によって変動する傾向があるが、48Vマイルドハイブリッドのガソリンエンジンも選択できる。
ディーゼルは経済的かつスムーズで、「S400d」は求められる性能をすべて備えている。ガソリンベースのPHEV「S580e」では最高出力510psを発生し、電気モーターのみで103km走行可能だ。
Sクラスに求められる価値観と先進性を併せ持つが、しかし、一部では進歩がやや停滞しているようにも感じられる。S580eのパワートレインは、効率性と多用途性において新しい基準を打ち立てたが、室内の静粛性と洗練性、乗り心地は以前と大きく変わらない。
かつて超高級車ロールス・ロイスに挑んでいた頃もあったが、今や両者の間には明白な隔たりがある。新型Sクラスは素晴らしい高級車だが、もはや息をのむほどではない。
3. BMW iX
長所:世界トップクラスの洗練性と高級感
短所:最高出力540psの「M60」はやりすぎ
これまで「高級車」といえば大排気量エンジンを積んだ3ボックスのセダンが定番だった。BMW iXはセダンではなく、内燃機関も搭載していない。実質的には、BMW i7のわずかに背の高いバージョンと言える。高級感ではやや劣るが、実用性では上だ。
BMWの「i」ブランドのフラッグシップモデルであるiXについて、試乗した弊誌記者は「他に類を見ないBMW」と評した。評論家の中には、エクステリアデザインに眉をひそめる人もいる。いずれにせよ、あえて波紋を意図したデザインであることは間違いない。電動化を成し遂げようとするBMWが、転換点として全身全霊を捧げたクルマがiXだ。
標準グレードの「xドライブ40」は最高出力300psと航続距離400km(欧州WLTPサイクル)を誇る。中間グレードの「xドライブ50」では最高出力523ps、航続距離600kmに向上し、200kWの急速充電に対応する。最上位グレードの「xドライブM60」もあるが、中間グレードでも十分なパワーを持っているため、これ以上性能を高める必要があるとは思えない。
弊誌の比較テストでは、快適性においてメルセデス・ベンツEQSセダンより一枚上手だった。EQSセダンも快適だが、iXの乗り心地の良さと洗練性は抜群で、非常に魅力的な高級車である。また、近年のメルセデス・ベンツは先進性重視の未来志向だが、BMWは個性的で親しみやすさがあり、堅苦しくないテイストとなっている。
SUVならではの広さと汎用性の高さも特徴だ。深くくつろげる控えめな高級感、そして世界トップクラスのロール制御とドライバビリティ、痛快なパフォーマンス、実走行でも十分な航続距離を兼ね備え、他の電動SUVの追随を許さない。iXは高級車として、高い完成度を誇るモデルだ。
4. ランドローバー・レンジローバー
長所:広大なスペース、賢いPHEV
短所:大径ホイールでは洗練性が低い
第5世代となる最新型レンジローバーは、初代モデルのような農耕用オフロード車から大きく進化した。今や本格的なラグジュアリーカーであり、高いダイナミクスと信じられないほどのオフロード性能を発揮する。
軽さと強度を両立させた80%アルミニウム構造のMLAフレックス・プラットフォームを採用し、ねじり剛性は従来比50%向上している。研ぎ澄まされたエアサスペンション、48Vアクティブアンチロール・システム、四輪操舵(4WS)との組み合わせにより、正確なハンドリングと俊敏性を実現している。
また、走行中のロードノイズもささやくように静かで、荒れた路面も服従させる乗り心地を備えている。しかし、今回紹介する10台の中には、もっと洗練されているモデルもある。特に大径ホイールを履いていると、ちょっとした衝撃やボディの不自然な揺れが静寂をわずかに乱すことがある。
先代から引き継がれた直6ディーゼルエンジンは、マイルドハイブリッドのアシストにより十分な推進力を備え、アクセルを踏み込んでもかすかな雑音しか発しない。PHEVの「P440e」と「P510e」は大企業経営者を満足させるモデルであり、電気のみの航続距離が最長113kmとなる。
地球の運命よりもパフォーマンスに興味がある富裕層なら、最高出力530psの4.4L V8ガソリン(BMWから流用)を搭載する「P530」を選ぶこともできる。0-100km/h加速は4.4秒だ。EVバージョンのレンジローバー・エレクトリックもまもなく登場する予定だ。
どのモデルを選んでも、会員限定ラウンジのような快適さと質感、最新テクノロジーを堪能できる。室内の広さは、ゆったりとくつろぐには十分すぎるほどだ。
つまるところ、高級車に求めるものが何であれ、最新型レンジローバーはそれを見事にカバーしている。最近の車両価格は10万ポンド(約1900万円)弱まで上昇しており、かなり高額だが、この見合った、あるいはそれ以上の実力を秘めている。
5. メルセデス・ベンツEQSセダン
長所:長大な航続距離
短所:内装の質感はSクラスに及ばない
メルセデス・ベンツのフラッグシップEV、EQSセダンはライバルのBMWとはかなり異なるアプローチを取っている。BMW 7シリーズとi7がプラットフォームを共通化しているのに対し、SクラスとEQSはまったく別のクルマだ。
EVの静かな走りが高級車に似合っていることは間違いない。ボディの空気抵抗係数はCd値0.20で、120kWhの大容量バッテリーと組み合わせることで「EQS 450+」では640km近い航続距離を実現している。
室内は広く、静かで、乗り心地も悪くない。しかし、インテリアの素材の一部は車両価格に期待される水準に達していない。また、弊誌が試乗したEQSセダンは大径ホイールを装着しており、最高の乗り心地とは言えなかった。
6. アウディA8/S8
長所:S8の予測サスペンションはクラス最高レベル
短所:インテリアの高級感は他車に劣る
アウディA8は、今回紹介する10台の中では古い部類に入る。インテリアは上質だが、最新のBMW 7シリーズやレンジローバーのような特別感には欠けている。
2022年改良では洗練性が大きく向上した。アダプティブ・エアサスペンションが採用され、スポーティなV8エンジン搭載のS8には「プレディクティブ・アクティブ・サスペンション」が搭載されている。これはカメラによって前方の道路状況を把握し、あらかじめサスペンションを適切に設定するものだ。
DSやジェネシスといったブランドも似たようなシステムを市場投入しているが、アウディはエアサスペンションと48Vアクティブアンチロール・システムとの組み合わせにより段差を驚くほどスムーズにこなし、高い快適性を実現している。
騒音や振動の遮断はパーフェクトとは言えず、短く鋭い入力に対しては効果的に対処できていない。しかし、アウディのスローガン「Vorsprung Durch Technik(技術による先進)」をきちんと実践していることがよく分かるシステムである。
ディーゼルとガソリンから選択可能で、四輪駆動と48Vマイルドハイブリッドを標準としている。さらに、3.0L 直6ガソリンエンジンベースのPHEVモデル「60 TFSIe」も用意されており、洗練された挙動と軽快なレスポンスがドライビング・エクスペリエンスを高めてくれる。
7. ランドローバー・レンジローバー・スポーツ
長所:運転しやすく、快適
短所:インテリアの質感は最高とは言えない
これまでのレンジローバーも小型ではなかったが、最新型は本当に巨大だ。四輪操舵と直線的なボディ形状によって扱いやすくはなっているが、もう少し小さなパッケージでレンジローバーらしさを味わいたいと思う人もいるだろう。そんな希望に応えるのがレンジローバー・スポーツだ。
フルサイズのレンジローバーと多くの点で共通しており、特にその卓越した洗練性とラグジュアリー性が際立っている。レンジローバー・スポーツには、重いボディをうまく制御する能力、高精度に研ぎ澄まされたレスポンス、そしてドライバーズカーのように走る楽しさがある。操作時のフィーリングがよく、クルマとの一体感もある程度は感じられる。
ではレンジローバー・スポーツの方がベストアンサーなのでは? と思われるかもしれないが、実際にはそうでもない。というのも、インテリアで使われている素材の一部は、価格に見合ったものではないからだ。どうしても質感が「今ひとつ」といったところである。競合他社と比べれば、いくぶん劣ると言わざるを得ない。
8. BMW X7
長所:6気筒ディーゼルの華やかさ
短所:存在感ある外観は万人向けではない
BMWの説明を要約すると、X7はミドルクラスのX5を大型化したようなクルマではなく、7シリーズをオフロード向けに強化したものだという。もちろん、この説明では7人乗りの2ボックス車であるという事実を伝えきれていないのだが、BMWの開発陣が何を目指そうとしていたのかを窺い知ることはできる。
最新型X7は堂々としたエクステリアデザインを特徴とする。二分割のフロントライトと広大なグリルを備え、バックミラーに映ったときの存在感はとても大きい。インテリアでは、低めのダッシュボードにシームレスな曲線を描くインストゥルメント・パネルとインフォテインメント・スクリーンが装備されている。
公道では、そのサイズと重量をうまく処理しており、コーナリングでも驚くほど正確で運動性が高く感じられる。乗り心地は制御不能に陥ることなく、常に快適が保たれる。
最近の改良では、マイルドハイブリッドも直6ガソリンエンジンとディーゼルエンジンが新たに設定された。本稿執筆時点で弊誌が試乗できたのは最高出力380psの「xドライブ40i」だが、トルクフルで効率的な350psの「xドライブ40d」がベストかもしれない。
「M60i」は、最高出力530psの4.4L V8ツインターボを搭載し、0-100km/h加速はわずか4.7秒と、少し前のM5並みの速さを誇る。
9. アウディQ8
長所:スマートで落ち着いた、充実装備のインテリア
短所:乗り心地は改善の余地あり
現代の高級車の購買層がSUVを好む傾向にあるが、アウディQ8のようなクルマに乗れば、その人気の理由がよくわかる。箱型のQ7をスタイリッシュにアレンジし、外観的な魅力度も高いが、インテリアも同じように上質でソリッドな雰囲気を漂わせている。
大人4人がゆったりとくつろげる広さを備え、周囲のクルマよりも一段高いシートポジションにより、乱雑な道路状況からも解放されるような感覚がある。日常使いでも十分に対応できるだけの汎用性も備えている。
快適性と洗練性は一級品だ。ドライビング・エクスペリエンスは軽快で、雑味が少なく、ハンドリングも四輪駆動のステーションワゴンのように安定していて安心感がある。
6気筒のガソリンとディーゼルがあり、PHEVも選べる。また、SQ8とRS Q8というパフォーマンスモデルもあり、走り好きなドライバーが望む緊迫感を盛り込むことができる。
SUVであろうとなかろうと、Q8は紛れもなく、アウディが今作っている高級車の中でトップクラスに優れた1台だ。
10. メルセデス・ベンツEQS SUV
長所:ハイテク満載のインテリアと航続距離の長い大容量バッテリー
短所:粗いレザーとチープなプラスチックのせいで、少々安っぽく感じる。
少し無粋な名前から想像できる通り、EQSセダンとプラットフォームを共通化している電動SUVである。ステアリングフィールは驚くほど明確で、洗練性については特に高く評価できる。ロードノイズもほとんどない。
ほんのわずかな風切り音を我慢しなければならないが、それも高速道路に限ったことだ。路面のちょっとした段差であれば、地球の自転と同じくらいに無視できるし、神経を集中すればほんのわずかに感じられる程度だ。
ボディが巨大な分、室内空間も広大だ。2列目シートのレッグスペースは数日過ごせそうな広さがあり、7人乗車時でも十分なトランク容量を備えている。また、EQSセダンと同様、大容量バッテリーにより航続距離をかなり稼いでいる。
しかし、もっと魅力を際立たせるにはインテリアの改良が必要だろう。プラスチック製のエアコン吹き出し口とグロスブラックのセンターコンソールは、この半分の値段のクルマでも安っぽく感じられるだろう。
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みんなのコメント
乗り心地ぐらいいいでしょう。
昇天って表現も、記事もくだらないです。