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【XV インプレッサ アウトバック…人気車の長短所】スバル車の「推せるところ」と「惜しいところ」

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【XV インプレッサ アウトバック…人気車の長短所】スバル車の「推せるところ」と「惜しいところ」

 ときに熱狂的とも言われるファン=スバリストの根強い支持を集めながら「安心と愉しさ」のもと歩みを進めてきたスバル。だが、しかし。

 国内保有台数は10年前と比べ50万台減り(2009年:359万台→2019年:310万台)、EJ20の終焉、未だその影響から脱したように見えないリコールや不正問題、なかなか姿を表さないアイサイトの「次」……じつはスバル、営業利益率が高いとは言いつつも、じつはあまり安定した状況とは言えないのではないだろうか。

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 自動車評論家、国沢光宏、斎藤聡両氏にスバル現行車全10台の「推せるトコロ」と「惜しいトコロ」をレビューしてもらった本企画。舌鋒鋭き両氏の言葉の端々には、先述したスバルのこれからについての「アキレス腱」が見え隠れするような気がして興味深い。ぜひご一読いただきたい。

●【画像ギャラリー】スバル現行全10モデルをギャラリーでチェック!!!

※本稿は2020年1月のものです
文:ベストカー編集部/写真:SUBARUベストカー編集部
出:『ベストカー』 2020年2月26日号

■スバル インプレッサスポーツ(200万2000~270万6000円)

5代目となる現行インプレッサスポーツ。2016年に登場し、2019年10月に初の大幅改良(マイナーチェンジ)が行われた。最新仕様となるアイサイト・ツーリングアシストが全車に標準装備されるぞ

(TEXT/国沢光宏)

●スバル インプレッサスポーツのココがイイ!!!……コストパフォーマンスの高さで評価すれば現在販売されている日本車No.1だと思う。なんたって歩行者エアバッグに始まる安全装備が凄いの何の! すべてのインプレッサシリーズに共通することながら、シャシー性能の高さも素晴らしい! 各社が出してきている新世代プラットフォームのなかで最も高いポテンシャルを持っている。

●スバル インプレッサスポーツのココが惜しい!!!……いかんせん華がない! 特に厳しいのはパワーユニットでしょう。パワーあるワケじゃなく、かといって燃費いいワケでもない。乗っていて面白さ皆無。スバルに期待されるクルマのイメージからほど遠いです。2020年の燃費基準をクリアできるメドが立っていないなど、化石のようなエンジンを今後どうするつもりなんだろうか。

●スペック(1.6i-L EyeSight):全長×全幅×全高=4475mm×1775mm×1480mm、ホイールベース=2670mm、車両重量=1300kg、水平対向4気筒1.6L DOHC、最高出力=115ps/6200rpm、最大トルク=15.kgm/3600rpm

■スバル インプレッサG4(200万2000~270万6000円)

インプレッサセダン版。グレード体系や価格はインプレッサスポーツと同じ。荷室や室内の広さではスポーツに分があるが、走りにこだわるならG4という選択も可だ。ルックスもいい

(TEXT/国沢光宏)

●スバル インプレッサG4のココがイイ!!!……正統派のセダンで素直にカッコいいと思う。Cセグメントとして考えたらリアシート広く、クルマとしてのクォリティだって存分に高い。しかも歩行者エアバッグまで標準装備するフル装備ながら200万円スタート。カローラと比べたって負けていない。マツダ3あたりと比べたら、お話にならないくらいコストパフォーマンス高いです。

●スバル インプレッサG4のココが惜しい!!!……今やスバルというブランドは完全に実用車のイメージになってしまった。インプレッサG4に夢も希望も楽しさも感じない。優れた実用セダンです。しかも今や我が国はCセグメントセダンのニーズほとんどなし。数少ないターゲットユーザー層は皆さんカローラを見ている。飛び道具や突出した魅力を打ち出さない限り、地味なセダンです。

●スペック(2.0i-L EyeSight):全長×全幅×全高=4640mm×1775mm×1455mm、ホイールベース=2670mm、車両重量=1320kg、水平対向4気筒2L DOHC、最高出力=154ps/6000rpm、最大トルク=20.0kgm/4000rpm

■スバル XV(220万~292万6000円)

スバルを支えるクルマ、XV。2017年に3代目が登場し、2018年にマイルドハイブリッドのe-BOXERが追加。そして2019年10月にも改良が行われ、2Lモデルはすべてe-BOXER車となった

(TEXT/国沢光宏)

●スバル XVのココがイイ!!!……手頃な価格で買えるカッコよいクロスオーバーということもあり、今やアメリカで大人気モデルになっている。実際、本格的なクロカンモデルに匹敵する最低地上高を持つため、深雪から悪路まで軽々と走破します。日本のユーザーって慧眼。インプレッサシリーズの販売台数の大半がXVとなっている。私のおすすめ車です。

●スバル XVのココが惜しい!!!……超残念なのがパワーユニット。ベースグレードに搭載される1600ccはパワーなくて燃費イマイチ。2000ccハイブリッドになると若干燃費よくなるものの(性能はイマイチ)、290万円スタート! 見積り取ったら350万円近くなってしまう。XVにそんな金額出さない。リーズナブルで魅力的なパワーユニットあればと思う。

●スペック(2.0e-L EyeSight):全長×全幅×全高=4465mm×1800mm×1550mm、ホイールベース=2670mm、最低地上高=200mm、車両重量=1530kg、水平対向4気筒2L+モーター、最高出力=145ps/6000rpm、最大トルク=19.2kgm/4000rpm

■スバル フォレスター(286万~315万7000円)

スバルで一番売れてるクルマ、フォレスター。2018年に登場した現行型は5代目となる。2Lターボエンジンが設定されていないことが物議を醸した。かわりにe-BOXERが設定された

(TEXT/国沢光宏)

●スバル フォレスターのココがイイ!!!……乗用車のプラットフォーム使うSUVとして評価すると、悪路や雪道走破性は素晴らしく高い。フォレスターが走りきれない路面は、どのクルマを持ってきてもダメだと思う。また、インプレッサシリーズと同じ新世代のシャシーを使っており、走りの質感は素晴らしい! 素直なハンドリングとコントロール性能の高さはSUVトップだと考えます。

●スバル フォレスターのココが惜しい!!!……すべてにおいて個性が薄い。歴代フォレスターに存在したハイパワーモデルを作らなかった時点でフォレスターのブランドイメージは半減。いや3分の1になってしまった。RAV4などのライバル車がラインナップする「速くて燃費のいいパワーユニット」を持っていないのも厳しい。フォレスターの簡易式ハイブリッド、もはや時代遅れ。

●スペック(X-BREAK):全長×全幅×全高=4625mm×1815mm×1730mm、ホイールベース=2670mm、最低地上高=220mm、車両重量=1530kg、水平対向4気筒2L DOHC、最高出力=184ps/5800rpm、最大トルク=24.4kgm/4400rpm

■スバル WRX STI(393万8000~413万6000円)

2014年に発売されたWRX STIはEJ20エンジンを搭載するハイパフォーマンススポーツカー。308ps/43.0kgmのスペックを誇るクルマが400万円からというコスパの高さも魅力のひとつだ

(TEXT/国沢光宏)

●スバル WRX STIのココがイイ!!!……今や世界的に希少なスポーツモデルであることは間違いなし。すでにディーラーでの新車受注を終了しているものの、登録ずみの新車や中古車なら入手可能。今後の相場展開は不明ながら、こういったクルマは燃費規制をクリアできないスバルから二度と出てこない。少し無理してでも資産だと思って買っちゃうことをすすめておく。

●スバル WRX STIのココが惜しい!!!……WRX STIについての×はない。コストパフォーマンス存分に高く、EJ20エンジンのポテンシャルもWRC譲り。パーツだってたっくさん出てます。エンジンだけで走るクルマとしては最後の恐竜のようなもの。GT-Rがティラノザウルスだとすれば、WRX STIって俊敏なラプターだ。競技に出るんじゃなければGR-4よりWRX STIか?

●スペック(STI):全長×全幅×全高=4595mm×1795mm×1475mm、ホイールベース=2650mm、車両重量=1490kg、水平対向4気筒2L DOHC+ターボ、最高出力=308ps/6400rpm、最大トルク=43.0kgm/4400rpm、6MT

■スバル WRX S4(343万2000~416万9000円)

2014年に発売されたWRXのCVT版がこのWRX S4だ。エンジンも直噴ターボのFA20が搭載されている点がWRX STIと違う。300馬力ながら、燃費も悪くない。価格もWRX STIより安い

(TEXT/斎藤 聡)

●スバル WRX S4のココがイイ!!!……WRX STIから尖ったところを落として全体にマイルドに仕立てたスポーツセダン。乗り味はカチッとしていてマイルドとはいうものの硬派な匂いがする。水平対向4気筒ターボ+シンメトリックAWDが作り出すバランスのいい操縦性と優れた安定性が魅力。エンジンは直噴2L水平対向4気筒のFA20型。300ps/400Nmを発揮する。その刺激的な加速性能も魅力のひとつ。

●スバル WRX S4のココが惜しい!!!……操縦性のよさ、走りのよさはWRX STI譲り。年改を重ねるごとに熟成度を増し、走りの性能に関して現状特にケチをつけるところはない。あえて言えば、MTの設定がないところ。各メーカースポーツモデルにMT車復活の兆しがあるので、スバルもぜひ追随してほしいところ。また、現行S4のデビューは2014年。モデルチェンジの時期が迫っており、次期型のデキが気になるところ。

●スペック(2.0GT EyeSight):全長×全幅×全高=4595mm×1795mm×1475mm、ホイールベース=2650mm、車両重量=1540lg、水平対向4気筒2L DOHC+ターボ、最高出力=300ps/5600rpm、最大トルク=40.8kgm/2000-4800rpm

■スバル レヴォーグ(291万5000~412万5000円)

現在モデル末期のレヴォーグ。新世代のSGPを採用して今年10月にモデルチェンジされ、発表予定。200ps/28.5kgmと予想される新開発の水平対向4気筒1.8ℓターボが搭載される

(TEXT/斎藤 聡)

●スバル レヴォーグのココがイイ!!!……大きくなったレガシィに代わるジャストフィットワゴンとして登場。やはりそのサイズ感が最大の魅力。ホイールベースが短くボディサイズのわりに身のこなしが軽い。カチッとした乗り味の2L、ややマイルドでキュッと引き締まった乗り味の1.6Lいずれも◎。300馬力を発揮する2Lはもちろんだが、1.6Lの身の丈に合った心地よい速さも捨てがたい魅力がある。

●スバル レヴォーグのココが惜しい!!!……すでに新型レヴォーグ・プロトタイプが発表されてしまった今となっては、どうしても現行型より次期型が気になってしまう。という意味で相対的に現行レヴォーグの注目度が低下気味。走りの面では熟成が進み、現行型こそが最終進化形といえる。ただ、いくら強弁しても次期型の魅惑には……。あえて現行型の不満を述べるならMTの設定がないこと。

●スペック(2.0GT-S EyeSight):全長×全幅×全高=4690mm×1780mm×1490mm、ホイールベース=2650mm、車両重量=1570kg、水平対向4気筒2L DOHC+ターボ、最高出力=300ps/5600rpm、最大トルク=40.8kgm/2000-4800rpm

■スバル レガシィB4(313万5000~330万円)

モデル末期の現行レガシィB4。現行からワゴンが廃止されセダンとSUVの2車種になったレガシィ。2.5L NAの水平対向4気筒DOHC『FB25』エンジンのみを搭載する大人なクルマだ

(TEXT/斎藤 聡)

●スバル レガシィB4のココがイイ!!!……B4の乗り心地はしっとりしていて柔軟。しかも大味どころか正確度の高い操縦性を備えており乗るとレガシィの進化に共感できる。エンジンは2.5LのFB25型が搭載され、スムーズで振動の少ない吹き上がりを実現している。振動が少なく滑らかな吹き上がりを持っており、高回転の伸び感も心地よい。大人のセダンの趣きがある。

●スバル レガシィB4のココが惜しい!!!……エクステリアはなかなかうまくまとまっていると思うが、インテリアの質感がいまひとつ。プレミアムな価値を高めるためにも質感の高い内装、インパネが欲しいところ。また、エンジンバリエーションが乏しいのも残念な要素。搭載される2.5L NAエンジンは、実用上は必要十分だが、プラスαの刺激に乏しい。やはりターボエンジンの設定を望みたいところ。

●スペック(LEGACY B4 B-SPORT):全長×全幅×全高=4800mm×1840mm×1500mm、ホイールベース=2750mm、車両重量=1540kg、水平対向4気筒2.5L DOHC、最高出力=175ps/5800rpm、最大トルク=24.0kgm/4000rpm

■スバル レガシィアウトバック(341万~363万円)

フォレスターのアクティブなイメージと比べると全高が低く大人な印象のアウトバック。現在モデル末期となっている。B4と同じく水平対向4気筒2.5ℓNAエンジンのみを搭載

(TEXT/斎藤 聡)

●スバル レガシィアウトバックのココがイイ!!!……最低地上高が200mmとたっぷりあるので、4×4並みの走破性を持っている。特に河原、オフロード、雪道など、荒れた路面ほどその実力を発揮してくれる。走破性の高さが乗る人に万能感を与えてくれるのがこのクルマの大きな魅力のひとつ。オンロードを走らせても車高の高さからくる鈍さがほとんど見られず、走りやすい。

●スバル レガシィアウトバックのココが惜しい!!!……車格なりの高級感やスタイリッシュさが感じられない。クルマのキャラがどこに向かっているのかわかりにくい。搭載するエンジンは2.5Lのみ。実用性は充分だが、余裕は感じられない。その意味でも6気筒エンジンがなくなってしまったのは何とも残念。世界的にも稀有な水平対向6気筒だけに次期型での復活を強く望みたい。

●スペック(LEGACY OUTBACK B-SPORT):全長×全幅×全高=4820mm×1840mm×1605mm、ホイールベース=2745mm、最低地上高=200mm、車両重量=1570kg、水平対向4気筒2.5L DOHC、最高出力=175ps/5800rpm、最大トルク=24.0kgm/4000rpm

■スバル BRZ(247万5000~365万7500円)

水平対向エンジンを積む国産スポーツクーペという点で希少性が高く魅力的なFRスポーツカーだ。「STI Sport」の設定もあり、走り屋も満足できる性能を備える。アイサイトは非搭載だ


(TEXT/斎藤 聡)

●スバル BRZのココがイイ!!!……トヨタとの共同開発というハードルを乗り越えてFRスポーツカーを作ったところ。FRスポーツとしてのデキも優秀。クルマの挙動が掴みやすくコントロール性もいい。エンジンもパワフルとはいえないがFRの面白さを伝えるには充分。年改を経るごとにクルマが着実に進化して、完成度を高めている点も好ましいところ。

●スバル BRZのココが惜しい!!!……せっかくFRスポーツカーを作ったのだから、VDCをオフにしたら裏側での細かな介入なしに完全にオフにできるようにしてほしい。微細なアシストでコントロール性を保ったり、スピンしにくくするのは、スポーツカーとして考えたら大きなお世話だと思う。ないものねだりをすれば、もう少しパワーとトルクがほしい。

●スペック(STI Sport):全長×全幅×全高=4240mm×1775mm×1320mm、ホイールベース=2570mm、車両重量=1250kg、水平対向4気筒2L DOHC、最高出力=207ps/7000rpm、最大トルク=20.9kgm/6400rpm、6MT(6ATもあり)


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みんなのコメント

2件
  • WRX S4は、操作性のよさ、走りのよさがWRX STI譲りなのが惜しいのですか。

    (TEXT/斎藤 聡)
    の場所から、BRZの途中から別の名無し筆者が執筆したんですね。
  • マリオ氏以外の評価が新鮮です
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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