この記事をまとめると
■「丸目」が特徴的なクルマを紹介
■昭和レトロブームも後押しして若者にも丸目ヘッドライトの人気が出始めている
■60年以上伝統を受け継いでいるメーカーや車種もある
男女問わず人気の高い丸目ヘッドライトのクルマを紹介
数年前から、Z世代と呼ばれる15歳~24歳くらいの若者たちを中心に、昭和レトロがブームとなっていますね。どうやらそれにも関連しているのではないかと言われているのが、「若いコは丸目のクルマが好き」説。とくに女性は、丸目のクルマを見るとついつい「かわい~」とナデナデしたくなるのだとか!?
男性からも、「小動物みたいで愛着が持てる」「表情があって話しかけたくなる」といった意見があるようです。リアル昭和世代が見ると、ちょっと懐かしい感じがする丸目ヘッドライトのクルマたちですが、じつは現行モデルでもけっこうあります。今回はそんな、世代を超えて長く愛されている丸目ヘッドライトモデルをご紹介したいと思います。
まずは、ホンダ初の乗用車として1967年(昭和42年)に誕生したN360へのオマージュを込めてデザインされ、新世代軽自動車Nシリーズの1台として生まれかわったN-ONE。N360が採用していた丸目ヘッドライトを継承しており、「マンマキシマム・メカミニマム」という、「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」のMM思想を実現しつつ、軽快で安定感のある上質な走行性能を叶えた、Hondaらしいモデルとして人気者となりました。
2代目となった現行のN-ONEも、デザインはほぼすべて受け継いでいて、丸目のヘッドライトは軽では初となるデイタイムランニングランプを含む、フルLEDのヘッドライトへと進化。見た目はレトロでも、じつは先進的な技術が投入されています。
また、パワートレインは自然吸気、ターボエンジンを搭載。見どころのひとつとなっているターボエンジンは、62馬力/104Nmと軽トップクラスのパワーを誇り、CVTのほか6速MTも「RS」に設定。1~5速をクロスレシオ化したS660のギアレシオとの組み合わせが、爽快なシフトフィールを引き出しています。
2台目は、7月に2代目となる新型が登場した、ダイハツ・ムーヴキャンバス。初代のコンセプトはそれまでなかった「母娘でのシェア」という使い方だったため、昭和世代には懐かしく感じ、ジュニア世代には新鮮に感じるデザインを目指したところ、丸目ヘッドライトとツートーンが特徴となる、レトロかわいいデザインとなったそうです。
2代目もそのかわいさを残しつつ、細部が洗練されたデザインに。母娘だけでなく父と娘、母と息子でシェアするというユーザーも増えつつあることを踏まえ、今回はちょっとビターで大人っぽいデザインも用意されています。
また、初代は自然吸気エンジンのみでしたが、新型にはターボエンジンも設定。長距離ドライブや山間部などでの走りも頼もしく進化しました。室内では、後席の座面下が引き出し式のボックス収納となっているところがムーヴキャンバスの大きな特徴。
後席を前にスライドしておくと、運転席からも手が届いてバッグを置くのに便利です。両側スライドドアだけど後席は主に荷物置き場として使う、という新しいスタイルを提案したところもヒットの要因ですね。
初代モデルからずっと丸目を継承!
3台目は、輸入車で丸目ヘッドライトを貫いているモデルといえば、MINI。すでに1959年のクラシックモデル誕生から63年が経過していて、その間にBMWが手がけるニューMINIに生まれ変わりましたが、ずっと丸目ヘッドライトを継承しています。クラシックMINIを設計したアレック・イシゴニス氏は、スエズ危機によって燃費の良いコンパクトカーの開発を急遽、任されることになり、ティータイムを過ごしていた喫茶店でナプキンにスケッチを描いて提出したところ、それがそのまま採用されたというから驚き。丸目の愛らしいMINIのデザインは、思わぬところで誕生していたのですね。
BMWが手がけるようになってからも、エンジニアたちはクラシックMINIの伝統をいろんなところに再現して、誰もが新世代のMINIだと納得する素晴らしいデザインを生み出しました。現在、3ドア、5ドア、クラブマン、クロスオーバーとたくさんのモデルがありますが、どれもが丸目ヘッドライトを継承。ボディはかなり大きくなっているのに、どこから見てもMINIだとわかるのは、そのおかげもあるのではないでしょうか。
4台目は、MINIより長い歴史のある、イタリアが生んだキュートで元気いっぱいの大衆車といえば、フィアット500(チンクェチェント)です。初代「500トッポリーノ」が生まれたのは1936年。やはり時代は世界恐慌で冷え込む中、経済的に負担の少ない小型車として投入された量産車でした。小さなサイズと丸目ヘッドライトの愛らしいフェイスから、「トッポリーノ=小さなネズミ」と呼ばれていました。
そして1957年に、現在の500の前身となる「ヌオーヴァ500」が登場。つぶらな瞳のような丸目ヘッドライトが特徴で、これは2007年に新世代の500となった際にもしっかり受け継がれています。
マニュアルをベースとした2ペダルのトランスミッション「デュアロジック」による走りは、最初はちょっとコツがいるけれど、だんだんその面白さにハマる人多数。見た目がかわいいだけでなく、乗っても個性的で楽しいところが、若い世代にも刺さる理由かもしれませんね。
さらに、2022年には500の電気自動車、500e/500eカブリオレが登場し、ちょっと「チコちゃん」っぽい丸目ヘッドライトで大人っぽい顔つきになっています。
5台目は、意外なところでずっと丸目ヘッドライトを採用しているゴツめのクルマといえば、メルセデス・ベンツ・Gクラス。軍用車をルーツとし、1979年に登場した初代からずっと、いっさいの妥協を許さないクロスカントリー・ビークルとして支持されてきました。
40年以上、基本構造を変えずに販売してきたGクラスですが、2018年にフルモデルチェンジ。でもデザインは往年の姿そのままと言ってもいいほどキープコンセプトで、もちろん丸目ヘッドライトも継承されました。
それはもちろんただの丸目ではなく、マルチビームLEDが組み込まれていて、より遠くまで明るく照らします。究極のオフロード性能を謳うにあたり、しっかり機能の一部として丸目ヘッドライトが役割を果たしていることがわかります。
そして先日、Gクラスの電気自動車となるEQGのプロトタイプが公開されましたが、やっぱりヘッドライトは丸目。穴を開ける必要がなくなったグリルにも無数のLEDが点灯していて、どこぞのテーマパークのエレクトリカルパレードのような華やかさでした。これもきっと、若い世代と熟年世代のどちらにも刺さるのかもしれないですね。
ということで、レトロブームにのって若い世代にウケつつ、リアル昭和世代にもホッと安心するような印象を与える丸目ヘッドライトのクルマたち。これからも増えるのか、減っていくのか、注目したいと思います。
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