2023年4月6日に発表された三菱デリカミニは、eKクロススペースの事実上のビッグマイナーチェンジ版である。商品企画の担当者である三菱自動車の今本裕一氏にデリカミニのあれこれについて伺った。
■eKクロススペースの生産終了はいつですか?
【スクープ】新型ムーヴの写真を入手。スライドドアの採用とキリリとした表情が特徴
2023年3月末です。もうずっとこのタイミングでeKクロススペースからデリカミニに切り替えましょうということになっていました。箱型のアウトドアテイストのクルマという役割はもともとeKクロススペースが担っていたのですが、eKクロススペースはその役割をデリカミニに委ねて、狙うお客様を変えネーミングも変えて再出発、もう一度新型車として出します。ですので、位置づけが重なってしまうので、eKクロススペースはなくすということで理解をいただければと思います。
■それはもう最初から決めていたのですか?
はい、最初から決めています。eKクロススペースは本当はこんなレベルじゃない、もっと売れるはずだ、から始まりました。市場規模が年間60万台という軽スーパーハイトワゴンのなかで、eKクロススペースは2~3%程度しか売れていなかったんです。販売店の実力からすればそこまでではないはずなので、少なくとも10%弱を狙わなければいけないですよねと。
企画の当初は今の私たちが、それをやるためには何をしたらいいか、お客様はどういう人が買われているのかの調査から始めました。他社さんで同じようなクルマのカテゴリーがあり、その競合車(編集部注:スズキ スペーシア ギア、タント ファンクロスがあるが、登場の時期から考えてスペーシア ギアと思われる)があることでeKクロススペースは陰に隠れちゃったんですよ。台数自体も競合車のほうが多いです。
何が違うのか? 明らかに違ったのはファミリー層を獲得していたことだったのです。eKクロススペースはアクティブシニア、アウトドアの大好きなお父さんがターゲットでしたが、競合車は6割以上がファミリーなんですよ。ここを開拓しなければいけないなと思いました。こういうクルマでファミリーを獲得して、5年後、10年後にデリカやアウトランダーに乗り替えていただけるお客様を増やすこと、そのためにそれに適したクルマを作ることからスタートしたのが“デリカミニ・プロジェクト”になります。
■eKクロススペースのビッグマイナーチェンジ版というイメージ?
正直に申しあげて、最初はビッグマイナーチェンジでいいと思っていました。ビッグマイナーで要はどこまで変えて、どうお客様を獲得できるかというスタディから始まりました。ただ顔を変えて同じお客様に売っても、おそらく無理でしょう。前のeKクロススペースって、奥様から不評だったんですよ。あのクルマに30代~40代の奥様が乗りたいかといったら、自分のクルマと思ってくれていないですよね。ですので、それを払拭するためには、どうキャラクター付けするか。クルマとして見たときに「あっ、かわいい」と思わせるか? 自分のセンスに合うものを彼女たちは“かわいい”と表現するので、そうしたクルマであるべきと考えました。ですから、デリカミニはeKクロススペースと並べると違うクルマに見えるのです。
あとはデリカミニはデリカのアセットを活用しています。じつは従来の会社の風潮として、デリカというネーミングは男性には受けるが、女性には受けない、もしくは女性に嫌われているのではないかとされてきました。今回、それが本当かどうか、あらためて調査をしてみると、女性はデリカ自体はいいクルマだという認知をしているのですが、距離感を感じて自分のクルマだとは思っていないということがわかりました。デリカって何か聞いたことがあるけれど、デカくてゴツくて運転しにくいクルマだよね。嫌いとかではなくて、存在が遠いんですよ。
それぐらいの距離感で、「デリカミニって聞いたらどう思いますか」と女性に聞くと、「何かかわいいっぽいクルマを想像します」というコメントをいただきました。クルマのスタイルを見せに行ったら、「あっ、いいですね、これかわいいね、何か犬っぽい」とかって言われて。これはお客様にも刺さっているよねと。
一方で旦那様の年齢層の方にもデリカミニを見せたときに、デリカユーザーからも、アクティブシニアに近しいお父様からも、「これいいんじゃない、何か自分のクルマとして軽快感がある」というコメントをいただきました。このネーミングとこの方向性はうまく受け入れられるというふうに確信に変わった感じだったと思います。
■デリカの小さいバージョンというアイデアはどこから?
いやどちらかというとですね、前のeKクロススペースは“ミニデリカ”と思って作っているんですよ。だから格好を見ていただくとわかるんですけれども、ヘッドライトとかグリルのモチーフって、じつはeKクロススペースのほうが“親デリカ”に近いんですよね。そのマインドはありました。ただ、なぜデリカという名前を使わなかったかというと、デリカとしてのパフォーマンスがまったくないのに名前だけ変えるというのはポリシーがないよねという気持ちがありました。
ですので、今回、デリカ化するときには、4WDモデルはタイヤを大径化して、あとは専用のサスのセッティングをしました。そこをやったことが今回のクルマ作りのデリカ化の1つだと思っています。デリカミニに対するマインドって、社内でずっと持っていたものであり、前回できなくて今回やったこと。それとともに、外観をリニューアルしてファミリーに受けるようになったこと。この2つがこのクルマが新車として認められるのではないのかという社内での認知に至りました。途中までは単なるビッグマイナーチェンジ車としてしか扱っていなかったんですけれども、お客様にとってこれは新型車だよねということで位置づけが切り替わっていきました。
最初、スタディが始まった時には会社のなかで、「ビッグマイナーで倍売れるわけがない」、「名前と顔を変えただけで売れるわけがない」みたいな風潮がありましたから、そこを払拭するのに一番労力を使いましたね。
■デリカミニという名前はどこから出てきたのか?
どこかパジェロミニを思い出すように、大きなクルマがあって、そのエッセンスで小さいバージョンって作れるよねって、皆さんの思いに合っているようなので、これも自然発生的になっていったと聞いています。誰が言ったという話ではなく、当時、加藤隆雄社長も「(デリカミニは)あるんじゃないの」というふうにコメントいただいていたりしていました。
このクルマのデザインリニューアルをスタートするときにはぜひ「デリカミニ・アゲイン」みたいな感じでやってはいたので、だいたい2年前ぐらいにはその方向で動き始めていたというふうに記憶しています。特にネーミングって「ピンと来ない」と言われてしまうと、なかなか最後までいかないことが多いのですが、このクルマについては反対する人がいませんでした。ただ、デリカを名乗るのはどうだというご意見を伺ったことはありました。「もっと四駆性能を上げなければいけない」とか、「2WDは(デリカと)呼んではいけないんじゃないか」とか、そういう話は出ましたけれど、このネーミングに対して阻害するような要因はあまりなかったですね。
〈文=ドライバーWeb編集部〉
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