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小型ステーションワゴンの佳作! 日産ウイングロード22年の歩み【偉大な生産終了車】

掲載 更新 3
小型ステーションワゴンの佳作! 日産ウイングロード22年の歩み【偉大な生産終了車】

毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

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しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回は日産 ウイングロード(1996-2018)をご紹介します。

【画像ギャラリー】シンプルに徹していればあるいは!?? 日産ウイングロードの画像をギャラリーでチェック!!

文/伊達軍曹、写真/NISSAN

■5ナンバーサイズの小型ステーションワゴンとして登場したウイングロード

サニー カリフォルニアADワゴンを統合した新ブランドの小型ステーションワゴンとして1996年に誕生。2001年にマイナーチェンジを受けた2代目の後期型はまずまずの人気を博したが、折りからのミニバンブームとその後のSUVの台頭により、2005年登場の3代目は失速。

長らくモデルチェンジされないまま放置され、2018年にようやく生産終了となった5ナンバーサイズワゴン。それが、日産 ウイングロードです。

1996年5月に発売となった初代ウイングロード(Y10型)は、全長4295mm×全幅1670mm×全高1515mm。

初代ウイングロード(Y10型)

ベースになったのはサニー カリフォルニアとADワゴンですが、それらよりもハッチゲートの傾斜を強めたことで、より乗用車的なイメージが強まっていました。

搭載エンジンは1.8Lおよび1.5Lのガソリンと、2Lディーゼルの計3種類。駆動方式はFFのほか、日産が独自開発した「アテーサ」を搭載した4WDも用意されました。

シンプルかつ安価なステーションワゴンとして一定の評価は得たものの、さほどのヒットには至らなかったウイングロードは、1999年5月に2代目(Y11型)へのフルモデルチェンジを実施。

2代目ウイングロード(Y11型)

ディーゼルエンジンは廃止され、搭載エンジンは1.5L/1.8Lのガソリンと、可変バルブタイミング機構付きの2Lガソリンに。この2L版のトランスミッションはスポーツモード付きCVTの「ハイパーCVT-M6」になりました。

2代目となっても販売はさほど好転しなかったウイングロードですが、2001年10月にフロントマスクと内装のイメージを大きく変えるマイナーチェンジを実施すると、販売台数は上向きに。このタイミングで2LガソリンエンジンはSR20VE型からQR20DE型に変更されています。

マイナーチェンジ後の2代目ウイングロード(Y11型)

その後はスポーティな意匠の「ライダー」を復活させ、「ライダープラス」も追加しながらまずまず好調な販売を続けていた2代目ウイングロードは、2005年10月には3代目(Y12型)へとフルモデルチェンジされました。

3代目Y12型は大胆なツリ目のヘッドライトを採用し、1.5Lと1.8Lガソリンエンジンを新タイプに刷新。

3代目ウイングロード(Y12型)。販売期間は2005年11月から2018年2月までと、実に12年半に及んだ

駆動方式はFFが基本となりますが、モーターアシスト式四輪駆動システム「e-4WD」を採用した4WD版も用意されました。

発売翌年の2006年こそかろうじて販売台数ランキングの20位に入った3代目ウイングロードでしたが、2007年以降は圏外に。

2008年には1.5LエンジンとCVTを改良し、その後も何度かの仕様向上や一部改良などを行ったウイングロードでしたが、販売状況は好転しませんでした。

それでも、長きにわたってしぶとく販売され続けましたが、2018年2月にはさすがに生産終了となり、同年3月には販売も終了。

これにより、日産の国内向け乗用ステーションワゴンは完全に消滅することとなりました。

セダン RV ミニバン SUV…ユーザーの嗜好の狭間で試行錯誤を重ねたウイングロード

サイズも価格も手頃で、それなりに重宝されていた日産 ウイングロード。しかしそれが3代目で消滅してしまった理由。

それは、コアな自動車好きではない一般的なユーザー――つまりは新車という商品の主なユーザーの「嗜好の変化」です。

1970年代から80年代にかけては、それこそ「街道レーサー」的な国産スポーツモデルや「ホットハッチ」と呼ばれる車、あるいは「上質なセダン」が一般的にも人気を集め、それらを所有し運転することが「カッコいい」とされていた時代でした。

しかし1990年代初頭頃からは、当時の言葉で言う「RV」に乗り、車で走ること自体ではなく「車に乗ってどこかへ行き、行った先で何らかの野外活動を楽しむ」ことが「カッコいい/ステキ/楽しい」と認識される時代になりました。

そういった野外活動によくマッチするのが、いわゆるクロカン四駆やステーションワゴンです。

そのため、四輪駆動車の性能とイメージを好む人は三菱パジェロなどを購入し、悪路系に興味と必要性がない人は、各社から出ていたステーションワゴンをこぞって購入しました。

そういった流れのなかで初代ウイングロードは誕生し、2代目後期型のプチヒットへとつながっていくわけですが、そうこうするうちに、世の中には「コアな自動車好きではない人にとってはもっといいモノ」が台頭してきました。

それは「ミニバン」です。

コアな自動車マニアや運転自体がお好きはさておき、2000年代以降の一般期なユーザーは、背が高くて室内が広い車のほうが「便利でおトクで快適」と考えます。

そのため当然ながら、ある意味狭苦しい(?)ステーションワゴンよりも、広々としたミニバンを選択するようになります。

もちろん「俺は(私は)ミニバンの運転フィールは好かん!」という車好き、運転好きもそれなりにいますので、そういった人は、ミニバンではなくステーションワゴンを買ったでしょう。

しかしそういった人は「マニア」ですので、日産 ウイングロードのような車種ではなく、より本格的なスバル レガシィ ツーリングワゴンあたりを選ぶのが一般的です。

まぁ中には「このシンプルな下駄っぽい感じが逆に最高なんだよ!」という感じでウイングロード的なワゴンを買った人もいました。

しかしそういった嗜好を持つ人の数は、「ミニバン的なモノを好む主流派」や「レガシィ的なモノを好む王道愛好家」と比べれば少なかったでしょう。

さらに加えて日産ウイングロードは3代目へのモデルチェンジ時に、シンプル系のデザインからゴテゴテ系のデザインに変わってしまいました。

吊り目のヘッドライト、ルーフラインが特徴的な3代目。ステージアが2007年に生産終了を終了したことで、日産唯一のステーションワゴンモデルとなっていたウイングロード。生産終了を持ってステーションワゴン市場から撤退することになる

そのためウイングロードは「シンプルな下駄」を好む層からの支持すらも失ったのです。

そうこうするうちにミニバンブームは下火となりましたが、今度は「SUVブーム」が勃興。

そうなると、言わば「中途半端なステーションワゴン」である3代目のウイングロードには出る幕がなくなるため、放置の末に廃番となったのでした。

相変わらずSUVブームは続いていますが、新型スバル レヴォーグのような本格系ステーションワゴンは今後、まあまあ盛り上がるかもしれません。

しかしウイングロード的な「悪くはないし便利なんだけど、(一般的なユーザーの視点で言うと)もっと便利なモノがほかにある」と考えられてしまう5ナンバーサイズの安価なステーションワゴンは、今後もしばらくは「出る幕がない」という状態が続くことでしょう。

■日産 ウイングロード(3代目)主要諸元
・全長×全幅×全高:4440mm×1695mm×1505mm
・ホイールベース:2600mm
・車重:1220kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1498cc
・最高出力:109ps/6000rpm
・最大トルク:15.1kgm/4400rpm
・燃費:17.2km/L(JC08モード)
・価格:190万800円(2014年式 15M)

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みんなのコメント

3件
  • この前型まではライダーとかなかなかにイカしたワゴンだったからうちも乗りついてだ。んがこの型になって糞不細工なって日産ってもう終わりだなって思った。キューブもそうだがこの世代から日産車は一台も購入候補に挙がってこない。その流れが今の今まで続いている。
  • そんなに悪いデザインでしょうかね?僕は好きです、少なくとも、トヨタのプロボックス/サクシードやカローラ・フィールダーに対するカウンターとしての存在意義は、ADにしろウイングロードにしろある(あった)と思います。街の風景をつまらなくしなかった功績はあると。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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