メーカーが発表する新型車には、そのモデルの「イメージカラー」が設定されている。実際に売れ筋となるのは、白や黒、シルバーといったボディカラーであることが多いのだが、車種によっては、個性的なカラーがクルマのキャラクターと結びつき、それが印象的に残っている場合もある。今回はそんなベストマッチなモデルをいくつか振り返ってみようと思う。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:SUBARU、MAZDA、HONDA、NISSAN、TOYOTA、ベストカー編集部
この車にはこの色が似合う!!特定のカラーがベストマッチしていたクルマ5選
2代目レガシィの「カシミヤイエロー」
1993年~1998年まで販売され、スバルという会社を大きく成長させた2代目「レガシィ」。5ナンバーサイズ、そしてハイパワーワゴンという独特の個性によって、当時高い評価を受けていた。
その最終型に設定された、2.0Lツインターボエンジン+ビルシュタインダンパーで武装した最強ツーリングワゴン「GT-B」には、「カシミヤイエロー」というボディカラーが非常にマッチしていた。「荷物を積んでロングツーリングもできる快速ワゴン」という個性で大ヒットしたモデルだが、ややクリームっぽい淡い黄色の色合いが、意外にもレガシィのグランドツーリングカーという資質にぴったりとマッチしていたように思う。ビルシュタインのバッジとの相性も抜群だった。
2代目レガシィツーリングワゴンに設定されたGT-Bの「カシミヤイエロー」。ボディカラーとしては個性的だが、意外とレガシィの大人な雰囲気に似合う
ユーノスロードスターVスペシャルの「ネオグリーン」
マツダのコンパクトFRオープン「ユーノスロードスター」の初代モデルに追加された「Vスペシャル」の「ネオグリーン」というカラーも、なかなか印象深いカラーだ。
MGBやジャガーEタイプといった英国スポーツカーを思わせるような深いグリーンで、タンカラーの本革シートやナルディのウッドステアリングにもベストマッチ。渋い大人のスポーツカーという雰囲気が演出されていて、最高にカッコ良かった。ロードスターのデザインは、日本の伝統的な美的感覚からインスパイアされたものだそうだが、英国調に仕立ててもよく馴染み、ロードスターの個性をより際立たせてくれていた。
ユーノスロードスター Vスペシャルに設定された「ネオグリーン」のボディカラー。タンカラーの本革シートとの相性は抜群にカッコイイ
ホンダビートの「カーニバルイエロー」
1991年に発売されたホンダの軽オープンミッドシップモデル「ビート」。自然吸気ながら64psを絞り出すエンジンや5速MTのみという設定、前後で異なるタイヤサイズの採用など、軽自動車でありながらマニア心をくすぐる数多くのこだわりが詰め込まれたモデルだ。
そんなビートにおいて、真っ先に思い浮かぶのが「カーニバルイエロー」のボディカラーではないだろうか。軽量コンパクトな車体で開放感のあるオープンカーは、毎日オーナーを「カーニバル」に誘うように楽しませてくれていたことだろう。
軽MRオープンスポーツカーのビート。「カーニバルイエロー」はまさにビートのキャラクターを表現した代表的なボディカラーだ
R32型スカイラインGT-Rの「ガングレーメタリック」
2.6L 直6ツインターボエンジンにアテーサE-TS、前後マルチリンクサスペンションで武装するなど、まさにレースに勝つために開発されたマシンだった、日産R32型スカイラインGT-R。当時の戦闘力は圧倒的で、このクルマの存在こそが日本の量産スポーツカーの高性能さを世界に知らしめたといっても過言ではないモデルだ。
そんなR32のGT-Rといえば「ガングレーメタリック」のボディカラーではないだろうか。重厚感のある深い金属光沢を持つ濃いグレーからは、世界を打ち破ることを見据えてストイックに開発した日産の意気込みや気合いが感じられ、同時に、その戦闘力の高さも表現されているように思う。
ガングレーメタリックのR32スカイラインGT-R。R32といえば、この色だ
トヨタ セラの「グリニッシュイエローマイカメタリック」
1990年~1996年に販売されていた、FFの小型3ドアクーペ、トヨタ「セラ」。トップルーフのほとんどがガラスエリアとなる特徴的なキャビン、そしてバタフライドアとよばれる斜めに跳ね上がるドアが特徴的なモデルであり、雨の日でもオープンカーと同じように明るく開放的な空間を楽しめる新感覚モデルとして、当時脚光を浴びていた。
このセラといえば、「グリニッシュイエローマイカメタリック」ではないだろうか。淡いゴールドメタリックのようなカラーであるが、ドアを跳ね上げた時の姿と相まって、当時は「黄金虫」と形容されていた。見た目はスポーティだが決して速くなく、あくまでも雰囲気重視というのが贅沢というか何というか。さすがバブル期に開発されたモデルだ。
セラの「グリニッシュイエローマイカメタリック」。このカラーでドアを開けた姿はまさに「黄金虫」のような姿だ
◆ ◆ ◆
クルマの個性を表現するにあたり、大きな役割を担っているボディカラー。今後は、BEV化がさらに加速していくと思われるが、クルマの個性が際立ちにくいBEVにおいて、ボディカラーは個性を際立たせる要素として、さらに重要視されていくことになるだろう。
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みんなのコメント
ホンダだったらType-R系のキモオタホワイト
スズキだったらスイスポのキモオタイエロー
車のみならず、購買層の特徴まで的確に捉まえた表現
S660でも結構見かけますし