■従来の“三菱顔”から少し外れた独自デザインを採用
日本の新車市場で昨今人気のカテゴリーといえば、軽自動車とSUVでしょう。軽自動車は新車販売の約40%、SUVは17%前後を占めているのですが、このふたつのカテゴリーを融合させた新型車が三菱新型「デリカミニ」です。
2023年1月13日から予約受注を開始した新型デリカミニは、3月上旬時点で約7000台を受注。4月5日には約9000台に達しました。
【画像】ゴツさと可愛さが絶妙! 早くもヒット車の仲間入りした新型「デリカミニ」内外装の写真を見る
約3か月で約9000台という受注台数は一般的には驚くほど多くありません。2017年に発売された現行ホンダ「N-BOX」は発売後1か月の受注台数が約5万2000台に達しましたし、過去には2009年に発売されたトヨタ「プリウス」(3代目)は発売から1か月後で18万台もの予約を受け付けたこともありました。
ホンダの販売店は全国に約2200店舗、トヨタの販売店は約4600箇所に対して、三菱は全国に約550店舗と大幅に少ないです。
新型デリカミニは4月上旬時点で約9000台を受注したので、約550店舗であれば1店舗当たり約16台となり、この実績をトヨタの4600店舗に当てはめると、受注台数は7万5000台に達しすることになります。
一方で、新型デリカミニは正確には新型車ではありません。軽スーパーハイトワゴンの「eKクロススペース」のフロントマスクなどを変更したマイナーチェンジ版となり、車名が変更されました。
つまり新型デリカミニがeKクロススペースのマイナーチェンジ版かつ、三菱の店舗数が少ないことも考えると、この売れ方は快挙だといえそうです。
通常はこのようなモデルチェンジでは、販売の下降を抑える程度で売れ行きはあまり伸びませんが、新型デリカミニはなぜここまで高い人気を得られたのでしょうか。
eKクロススペースのマイナーチェンジ版ですから、基本的なメカニズムや装備、ボディ側面の形状などに大きな変化はありません。
新型デリカミニで新鮮味が生じたのは、主にフロントマスクのデザインや柔軟な座り心地を生み出した新採用のシート生地、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)を160mmに設定した4WDの新たなサスペンションとタイヤなどです。
いずれも魅力的な内容ですが、3か月で約9000台の受注を得た一番の理由は、フロントマスクの変更でしょう。
ただし、「デリカ」を名乗りながら、「デリカD:5」のフロントマスクに近いのは、新型のデリカミニではなく従来型のeKクロススペースでした。新型デリカミニもフロントマスクには三菱車の力強いデザインを生み出す「ダイナミックシールド」を採用していますが、ヘッドランプは独自のものを装着。
eKクロススペースはデリカD:5と同じくランプをバンパーの両側に縦方向に並べていましたが、新型デリカミニは、ヘッドランプ、半円形のポジションランプ、ウインカーランプを高い位置に装着しました。
そこで改めて今の三菱車のフロントマスクを見ると、新型デリカミニを除く大半の車種は、デリカD:5と同様にランプ類をバンパーの両側に縦方向に配置しています。新型デリカミニはこの三菱のトレンドからはずれたことで、人気を高めたのです。
■女性ユーザーにも配慮したマイチェンを実施
それにしても、三菱車のフロントマスクが電気自動車の「eKクロスEV」まで含めてようやく共通化された直後なのに、新型デリカミニが異なるフロントマスクを採用した理由は何でしょうか。
そこを開発者に尋ねると、大きく分けてふたつの説明がありました。
ひとつ目は「ダイナミックシールドのデザインは進化しています。以前は三菱全車のフロントマスクをほぼ同じデザインに統一していましたが、今は新しい段階に入りました。ダイナミックシールドの考え方を踏襲しながら、車種ごとの個性も大切にしています。そこで新型デリカミニには、この車種の個性に合ったヤンチャな男の子を思わせるフロントマスクを採用しました」とのこと。
ふたつ目は「新型デリカミニのような全高が1700mmを超える軽自動車では、お客さまの60%から70%は女性です。購入時の名義は夫でも、実際に使ったり車種を決めるのは妻になることが多いです。その時に以前のeKクロススペースの顔立ちは、お客さまから『コワイ』という感想も聞かれ、そのこともフロントマスクのデザイン変更に影響を与えています」といいます
確かに軽自動車のスーパーハイトワゴンは、子育て世代の女性に人気が高いジャンルです。そうなるとメーカーも母親あるいは子どもにも配慮します。
実際、軽自動車の開発者からは「スーパーハイトワゴンの好調な販売には、お客さまが周囲の人達と歩調を合わせたい気持ちも働いているでしょう」という話を聞いたことがあります。
新車販売の4割を占める軽自動車のなかでも、N-BOXやダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」といったスーパーハイトワゴンが軽乗用車の50%を占めており、街でも多く見かけるようになりました。
「周囲の人達と合わせたい」と考えた時、大勢の人が乗っているスーパーハイトワゴンを選ぶ人が増加しているというわけです。
そして、eKクロススペースでは背の高さは同程度でも顔立ちの個性が強すぎましたが、新型デリカミニなら愛敬もあって馴染みやすいです。周囲と足並みをそろえながら、適度な個性化も図れます。
この適度なサジ加減が利いて、新型デリカミニは注目度を高め、さらには広く認知されている「デリカ」の車名を冠したことも成功の秘訣でしょう。
どのような人が新型デリカミニを購入しているのか、販売店に尋ねると以下のように返答されました。
「新型デリカミニは、三菱の軽自動車からの乗り替えに加えて、他メーカーのミニバンやSUVに乗っているお客さまがセカンドカーとして購入することもあります。
クルマを売りにくい今の時代に、新規のお客さまに恵まれるのはうれしいです。
またeKクロススペースのお客さまが、早くも買い替えることもあります」
なお、好調な販売の影響で納期が遅れており、以前は6か月から8か月でしたが、今は正確には分からない状態だといい、購入を検討しているのであれば商談は早めに開始したほうが良いでしょう。
※ ※ ※
背の高い軽自動車は、広い室内や豊富な収納設備など、優れた実用性を特徴としています。従ってデザインの優先度が低いように思われますが、実際にはフロントマスクが売れ行きを大きく左右します。
デリカミニも顔立ちの変更で人気を高め、発売から3年程度のeKクロススペースから乗り替えるユーザーもいるほどですから、「軽自動車も顔が命」であることを明確に示しているといえます。
新型デリカミニのようなデザインのコツを把握すると、販売面とその後の商品開発では、大いに有利になります。
新型デリカミニの成功もあり、今後の軽自動車は従来以上に顔立ちにこだわるようになるのではないでしょうか。
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みんなのコメント
EKクロスの方がデリカ顔・・・・