メインフィーチャーは「フェラーリ」
4回目の開催となったシャンティイ・アート & エレガンスが、その名のようにパリ近郊にあるシャンティイ城を舞台に開催された。フランスで始まった往年のコンクール・デレガンスと同様にクルマと文化とカルチャーを楽しむコンセプトが支持されて、今では世界トップクラスのコンクールのひとつに。今回は5台のコンセプトカーと、90台のクラシックカーが城の前庭に並んだ。
メインのコンクールのほか、今年はフェラーリの70周年にあたることから、メインフィーチャーとしてフェラーリのクラスが設けられた。しかしフランスのイベントらしく一筋縄ではなく、「ル・マンに参加したフェラーリ」という条件が付けられた。さらにはオープン・プロトタイプ、クローズド・プロトタイプ、250GT、365GTB/4デイトナGr.4、そしてその後のGTモデルの5クラスに分けて競われた。
2015年の第2回目から始まったボナムスによるオークションが、今年も場内で開催。拘りのコンクールに合わせた38台のマニアックな車両が用意され、盛況のうちに終了した。シャンティイ・オークションの詳細と結果についてはオークション・リザルトをご覧いただきたい。
ちなみにイベント名に付く「リシャール・ミル」は「腕時計のF1」を謳うマニアックなリストウォッチを手掛ける時計メーカーで、このコンクールの冠スポンサーを務める。創始者のリシャール・ミルは熱烈なエンスージァストで、自らステアリングを握りル・マン・クラシックなどのレースに参加するほど。この11月に鈴鹿サーキットで開かれる「サウンド・オブ・エンジン」の冠スポンサーも務めているので、その名を耳にされた方も多いことだろう。
コンクールは、新型車とファッションが対象
話をシャンティイに戻すと、今年は9月10日にシャトー全体を使って盛大に行われた。メインプログラムである新型車の美を競う「コンクール・デレガンス」は、クルマだけを評価するのではなく、コラボレーションするファッションも含めて審査されるところが往年のコンクールを意識した部分だ。審査はジャン・トッド、マルゴー・ラフィ、ポール・ベルモンド、およびジャーナリストのクリストフ・バナードが担当した。
今回コンクール・デレガンスにはルノー・トレゾア・コンセプト、シトロエンCXペリエンス、プレジデンシャルDS7クロスバック、アストン マーティン・ヴァンキッシュ・ザガート・ヴォランテ、マクラーレン720Sの5台が参加した。
審査は拮抗し最終的に異例となる2台にベスト・オブ・ショーが与えられることになった。1台は未来的なデザインのルノー・トレゾア・コンセプト、もう1台は現実的なシトロエンCXペリエンスである。どちらもEV/PHVのコンセプトカーとして2016年のパリ・サロンで発表されているが、屋外で自走する姿は初公開となる。昨今のクルマに対する社会的な動向も考慮してベスト・オブ・ショーに選ばれたものと思われる。
クラシックモデルは別カテゴリーで
一般的なコンクール・デレガンスでは、クラシック/ヒストリックカーを主な対象として審査するが、往年のコンセプトで行われるシャンティイでは新旧別のカテゴリーに分けるのが特徴だ。クラシック/ヒストリックカーはコンクール・デタと称され、ベスト・オブ・ショーは戦前と戦後の車両からそれぞれ選ばれる。
通常のクラス分けとしては、コンクールの花形といえるブガッティ57を始め、戦前と戦後のアルファ ロメオ、フランスのコーチビルダーといったメジャーなものから、20世紀初頭の電気自動車クラスや、チェーンドライブ・レーシングカー・クラス、ミュージシャンが所有したクルマなど20ものクラスが設けられている。
ベスト・オブ・ショー ブガッティとフェラーリに
クラシック/ヒストリックカーのベスト・オブ・ショーであるコンクール・デタは、ベスト・オブ・ショーの戦前車クラスをアメリカ人のロブソン・ウォルトンとピーター・マリンが所有する1936年型ブガッティ・タイプ57アトランティック(S/N: 57374)が受賞した。戦後車のクラスは、オリビエ・ジャンドビアンとフィル・ヒルのドライブにより1958年のル・マンで優勝したヒストリーを持つフェラーリ250テスタロッサ58(S/N: 0728)(マイケル・カドリー卿所有)に与えられた。
ラリー/クラブミーティングと多彩に開催
このイベントで唯一の「動」のプログラムがラリーだ。クラシックカーとスーパーカーの2クラスに分けられ、30台ずつがシャンティイ城をスタート・フィニッシュするも、それぞれが別のルートで行われた。スーパーカー・クラスでは途中にサーキット走行が組み込まれるなど、変化に富んだルートが用意されていた。
シャンティイ城の回りのグリーンでは、42のクラブによるクラブ・ミーティングを開催。そこには800台が集まり、グリーンの上でピクニックする光景も見られ、ガーデンパーティーを成功させる一助となった。参加クラブの中で最も優れた展示をFFVEが表彰するグランプリ・デ・クラブは、フィアット・ファンクラブに贈られている。
クルマ以外のプログラムも充実
シャンティイでのコンクール・デレガンスでは、ファッションデザイナーによる新作を纏うモデルがクルマとともに会場を巡るのが特徴だ。それ以外にも往年のコンクール・デレガンスと同じように最新のファッションを紹介するショーやビューティ・ワークショップが城内で行われるほか、コンサート、フレンチアートの展示のほか、乗馬や城内見学、キッズカー走行会、ヨット試乗、クラシックゲームも行われ、家族連れでも一日飽きずに楽しめるプログラムが用意されていた。
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主催者の発表によれば来場者も年々増えており、今年の来場者は前年比20%増の1万6300人と発表され、着実に成長を遂げていることが分かる。
参加者も地元フランスが35%に対し国外のエントラントが65%を占めることから、開催4回目にして国際的なポジションを得ていることが理解できよう。ツアー・オートやル・マン・クラシックを成功させてきた主催者だけに、来年はより進化した内容で開催されるに違いない。
全27枚 「シャンティイ・アート & エレガンス・リシャール・ミル」詳細レポ
戦後車クラスは、1958年のル・マンで優勝したヒストリーを持つフェラーリ250テスタロッサ58が獲得。
今回のベスト・オブ・ショーは拮抗し、シトロエンCXペリエンスにも与えられた。
トリコロールのモチーフが印象的なドレスとプレジデンシャルDS7クロスバックのコラボがフランス的。
会場内で開かれたボナムス・オークションはマニアックなクルマが用意され、大いに盛り上がっていた。
フェラーリの70周年にあたることから、メインフィーチャーとしてフェラーリのクラスが設けられた。
250GT系だけのクラスが設けられ、SWB、ブレッドバン、250GTOプロトタイプ、250GTOが参加。
プロトタイプのクラスはオープンのほかクローズドに分けられ、250LMや312P、512Mが姿を見せた。
250GTOはオリジナルのスタイルと250LM風のルーフを備えたワイド&ローの64モデルが並んだ。
ガーデンではクラブ・フェラーリ・フランスのミーティングが行われ、歴代の貴重なモデルがズラリと並んだ。
アトラクションでは1/2サイズのキッズカーとオリジナルの親子デモランが行われ、ギャラリーの人気を集めた。
城内のプログラムのほか、ラリーが行われた。クラシックとスーパーカーでは性格を考えルートを変える拘りも。
お城の前にある池ではヨットやレガッタに試乗することができ、来場者の人気を集めていた。
食にこだわるお国柄だけに、ランチも本格的。VIPクラスはシャンパンバーとコース料理でもてなされた。
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