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もう普通のクルマには戻れない! 【メルセデス・マイバッハ EQS SUV】【工藤貴宏】

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もう普通のクルマには戻れない! 【メルセデス・マイバッハ EQS SUV】【工藤貴宏】

新車試乗レポート [2025.03.18 UP]


もう普通のクルマには戻れない! 【メルセデス・マイバッハ EQS SUV】【工藤貴宏】
文●工藤貴宏 写真●内藤敬仁、澤田和久

新型プレリュード[プロトタイプ]実走テスト

金持ち喧嘩せず。

メルセデス・マイバッハEQS 680 SUVをひところでいえば、そんな世界観じゃないですかね。


イマドキのショーファーカーはSUVがトレンド

メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV
まず佇まいからして普通じゃない。単に巨体なだけじゃなく、オーラが凄いんです。2トーンカラー(それだけでオプション価格300万円弱!)の個性も普通じゃないし、まあそれは選んで塗る色だからすべてのメルセデス・マイバッハEQS 680 SUVに当てはまるわけじゃないとしても、メチャメチャ押し出しの強い縦桟グリル(実際にはグリルじゃなくて穴が開いていない板状)や、バンパー左右の開口部の模様がマイバッハのロゴを表現しているなど細かい部分まで「どうだっ!オレはマイバッハだぜ!」っていう主張がスゴい。

Bピラーまでクロームにしたキラキラ感も個性的だけど、それはおそらく日本のVIPカー文化から影響を受けたんじゃなくて、中国市場の好みなのだろう。

「そもそもどうしてSUVスタイルなの?」って思うかもしれないけれど、それは理屈で考えればごく当たり前のこと。と言うと床下に大型バッテリーを置くEVはSUVとのパッケージング的な相性がいいから……と思われるかもしれないけれど、EQSはSUV以外もあるのでその理由は当てはまらない。じゃあどうしてSUVかといいえば乗り降りのしやすさであり、室内の広さなのだ。

センチュリーだってSUV(とトヨタは呼んでないけれどSUVみたいに背が高いパッケージング)が登場しちゃう昨今のショーファーカー事情。次期レクサスLSというか、“LS後継車”も純粋なセダンをやめて背の高いSUVパッケージになるっていう噂もあるほどで、ショーファーカーがSUVパッケージの方向に向かうのは当然といえば当然。「ビースト」と呼ばれるアメリカ大統領の専用車だってSUVでしょ?

というわけでこれからのショーファーカーはSUVなのだ。決してオフロードを走ろうなんていう狙いは微塵もなく。


これぞ現代の魔法の絨毯だ!

メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV
スイッチを押せば自動で開閉するドア(ドアは4枚とも電動開閉式)を開いて後席に入ると、その広さに驚くばかり。

本来なら3列シート配置も可能な室内を、2列目を後方へ置くことで足元を広く活用というのだから当然といえば当然だ。いわゆるリムジン仕様である。リヤシートは当然左右独立で、大きくて見るからに立派。感覚的にはファーストクラス……とまではいかないまでもビジネスクラスくらいの気分で、ソフトな座り心地とマッサージが織りなす極上の居心地はさすがとしか言いようがない。これに慣れちゃうと、もう普通のセダンには戻れないよなあ……。

余談だけど、天井までレザー張りでラグジュアリーっぷりが激しすぎる。


メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV
ドライバーとしては気になる運転感覚だが、それも凄い。何が凄いかといえば余裕だ。パワーはどこまでも湧き出すように有り余っていて、アクセルを踏めばワープするかのように加速する。だけどそれはスポーツカーのように刺激的ではなくて、あくまでジェントルに(だけど驚異的に速い)。そんな(ローするロイスみたいな)味付けが異次元感覚過ぎる。「本気出せばすごいんだけど、そういうのは普段は見せないもんね」という余裕がなせるワザなのだろう。

そのうえ、動的面でさすがだと思うのは加速だけにとどまらない。曲がるのも止まるのも“安定感”が信じられないのだ。3トンもあるのに車体がぐらつくことなんて皆無でしっとりと安定して旋回するし、ブレーキも「おっとっと」じゃなくてスーッとフツーに止まるのが凄い。制動距離も、車体の姿勢も。

でも、このクルマにとって重要なのはそんなことより後席の乗り心地。もちろん文句はあるはずなんてなくて、もうすぐに寝てしまうんじゃないかってくらい快適でリラックスできる。路面の凹凸なんてきっちり遮断されて、まるで空を飛ぶ魔法の絨毯に乗っているかのようだ。このクルマを買うってことは、そういう世界を買うってことなのかも。


超高級車こそ電気自動車がいい

メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV
それにしても、ショーファーカーはEVに限る。これまでの高級車の歴史は快適性を求めてマルチシリンダーの滑らかさを磨いてきたわけだけど、モーターのスムーズさはどんなマルチシリンダーにも勝る。V12だろうがV18をもってこようが、スムーズさでは断然モーターなのだから。ロールスロイスが全車モーター化するのも素直にわかりますって。エコじゃなくて、快適のためのEVなんですよ。

でも、いくらEVが超高級車に向いているといっても、航続距離の問題はどうするかって? そこは心配不要。

本当のお金持ちはある程度の距離になると飛行機(もちろんプライベートジェット!)やヘリを使うので、クルマは空港やヘリポートまで行けるだけの航続距離があれば十分なのです。超余裕をもっても200キロも走れればそれでいいのですよ。だったらEVで問題ないでしょ?

それに、「それを言っちゃおしまいよ」を理解したうえで言うと、このくらいの車を買う人はとうぜん複数台所有なんだから、長距離移動用にはこれとは別にガソリンかディーゼルかハイブリッドを持っていればOKという世界。何か問題でも?

というわけで、金持ち喧嘩せず。

こういうクルマで移動すれば、とうぜんゆったりと余裕溢れる移動になるでしょうね。移動がリラックスタイムですから。本気出せば速くて戦闘力抜群だけど、それは「能ある鷹」として普段はさらけださないのが余裕ってやつですよ。

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みんなのコメント

1件
  • Lore in
    何度か見かけたけど、太くてミニバンに近い見た目でスタイリッシュさが皆無なんだよ。
    最近のオデッセイのような感じが近いかな。
    SUVではなくミニバンのような丸く太ったフォルム。
    同じSUVならウルスやベンテイガの方が存在感がある。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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