この記事をまとめると
■ホンダ・ステップワゴンの歴代モデルを振り返る
後席に乗ろうと思ったらドアがない!? 左右でドア数が異なる結構レアな「ワンツードア」のクルマ4選
■初代は「クリエイティブ・ムーバー」の第3弾モデルとして登場した
■他社のモデルにはないような個性的なキャラクターが常に話題になっていた
個性派ミニバン「ステップワゴン」を振り返る
トヨタ・ノア/ヴォクシー、日産セレナとともに国産Mクラスミニバンを牽引するステップワゴン。2022年に登場した現行モデルはオラオラ系ミニバンが多いなか、初代に通じるプレーンなフォルムを採用したことが大きな話題を呼びました。
そんなステップワゴンは初代登場からすでに27年。長年、人気を得てきたステップワゴンの歴代モデルを振り返ります。
ステップワゴンとは
1996年5月8日、オデッセイ、CR-Vに続くクリエイティブ・ムーバーの第3弾として登場したのがステップワゴン。クリエイティブ・ムーバーとは、直訳すると「生活創造車」を意味し、ホンダ的にはユーザーが自らの生活に合わせクルマを思いのままに創造するための道具と説明していました。
初代ステップワゴンは当時主流だった商用車ベースのキャブオーバー・ワンボックスワゴンとは異なるFFレイアウトの乗用車ベースのミニバンとしてデビュー。ボクシーなボディスタイルを採用し、広く快適な室内空間を実現していたことが特徴でした。
いわば現代ではあたりまえとなった乗用車ベースの箱型ミニバンを世に広めたエポックメイキングなクルマだったのです。
当然、初代は大ヒットとなり、トヨタ・ノア/ヴォクシー、日産セレナなどキャブオーバー型ミニバンがステップワゴンに追従。現在もステップワゴンとノア/ヴォクシー、セレナはモデルチェンジを繰り返し、Mクラスミニバンジャンルでそれぞれライバルとして激しい販売競争を繰り広げています。
初代(1996年)
ボディサイズ:全長4605mm、全幅1695mm、全高1830mm。ホイールベース2800mm
1995年に開催された東京モーターショーに「F-MX(ファミリームーバー)」の名で出展されたコンセプトカーそのままに、1996年にデビューした初代ステップワゴン。
トヨタ・エスティマや三菱RVR、またひと足先にデビューしたオデッセイなど、乗用車ベースのミニバンは存在したものの、世の中はまだ商用車ベースのワンボックスミニバンが主流。そんな時代にFFの背高ボディを身につけてデビューした初代は大きな反響を呼びました。
FFレイアウトを採用したことでキャブオーバー車よりフロアを低くでき、ゆとりある室内高を確保できたことで5ナンバー枠にボディを収めながらも室内空間は広大。ライバルとなるワンボックスミニバンをおさえ、クラストップの広さを誇っていました。
パワーユニットはB20型2リッター直4エンジンを搭載。最高出力は125馬力でしたが、コラムシフトの4速ATを組み合わせ、1450kgのボディを過不足なく走らせました。
が、筆者がいまだに覚えているのはコラムシフトATの操作性。社用車が前期型ステップワゴンだったことでよく運転したのですが、PからD、またDからBなどへの変速がとにかくシフトしにくく、正直、運転するのが苦になるレベル……。
1999年に行われたマイナーチェンジでシフトフィールは改善されたようですが、コラムシフトの操作性は初代の大きなデメリットといえました。
2代目(2001年)
ボディサイズ:全長4670mm、全幅1695mm、全高1845mm。ホイールベース2805mm
約48万台を売り上げ大ヒットとなった初代からフルモデルチェンジで2001年に登場した2代目ステップワゴン。人気車種となった初代の後を受けたこともあり、コテコテのキープコンセプトで登場しました。
2代目は初代同様、5ナンバーサイズにおさまるよう設計されましたが、全長を70mm伸ばすなどボディを拡大。ただ、少なからずいる女性ユーザーに対し、運転しづらさを感じさせないようにボディを大きく見せないようデザインしたといいます。
室内空間も初代から拡大し、シートアレンジも対座などを加え多彩になりました。シートアレンジを増やしたことで、シートサイズやバックレストが小さく取られるなどのデメリットも発生したようです。
パワーユニットはK20A型2リッター直4エンジンにチェンジ。最高出力は160馬力となり、前述したシフトフィールが悪すぎるコラムシフトATはインパネに設けられながらスムーズに変速できるストレートタイプに変更されました。
市場にはFFとなったミニバンが数多く存在するようになったことで、2代目は初代ほど人気を得ることができませんでした。そこで2003年にフロントマスクなどを意匠チェンジするマイナーチェンジを実施。また、専用エアロパーツを装着するスパーダも追加されています。
それでも初代ほど販売は成功せず、総販売台数は約28万台。2005年に3代目へバトンタッチしました。
ホンダらしい個性全開なキャラクターは不変
3代目(2005年)
ボディサイズ:全長4630mm、全幅1695mm、全高1770mm。ホイールベース2855mm
3代目に生まれ変わったステップワゴンは2005年に登場。2代目があまりにも保守的だったことで見た目やコンセプトを大きく変更し誕生しました。
大きな変更点のひとつが、3代目オデッセイ同様、低床・低重心化した新設計のプラットフォームを採用したこと。ハイト系ミニバンにもかかわらず、全高は2代目比マイナス75mmの1770mm。ライバルとなるノア/ヴォクシーやセレナと比較して70~80mmほど低い全高です。
とはいえショートノーズ化や底床化により室内空間は2代目と同様のスペースを実現していました。
また、初代、2代目が片側スライドドアを採用していたことに対し、両側スライドドアを装備。日常的な使い勝手が大きく向上したことが3代目の特徴です。
パワーユニットは先代から流用したK20A型2リッター直4とともにK24A型2.4リッター直4エンジンを用意。両エンジンとも可変バルブタイミング&リフト機構を備えたi-VTEC+VTCでした。
3代目は、白色合わせガラスをルーフに用いたトップライトルーフや木目調フローリングフロアを採用するなどライバルとの最別化を図りましたが、初代ほどの人気を集めることができないまま(新車登録台数は約30万台)4代目へモデルチェンジされました。
4代目(2009年)
ボディサイズ:全長4690mm、全幅1695mm、全高1815mm。ホイールベース2855mm
3代目が提唱した低床・低重心コンセプトがイマイチ受け入れられず、ライバルに販売面で一歩劣ってしまったステップワゴン。2009年に登場した4代目は、ミニバンの定石といえる「室内の広さ」を重視。先代に取り入れた低床・低重心コンセプトを組み合わせ、利便性や実用性を大きく高めたモデルチェンジとなっていました。
室内空間を向上させるため先代と比べ全高を45mm高め、全長も50mm拡大し5ナンバーサイズいっぱいまで大きくしています。
低床・低重心プラットフォームはそのままにボディを拡大した結果、室内空間はクラストップの広さを実現。また、グラスエリアも拡大したことで車内の開放感は大きく増しました。
実用性でいうと、3列目シートをライバルのノア/ヴォクシーやセレナとは異なる床下格納式を採用。ラゲッジルームの利便性や効率が大きく向上したのも特徴です。
パワーユニットは2.4リッターエンジンを廃止しR20A型2リッター直4エンジンを搭載。CVTを組み合わせたことやエコドライブ支援機能を装備するなどで、とくに燃費性能が向上しました。
とはいえ専用チューニングを施した足まわりを装備したスパーダの走りは、ミニバンの基準を超えた走りを実現。走行性能を重視するミニバンユーザーに好評を得ることに成功しています。
ある意味、原点回帰した4代目は2代目、3代目と比べ販売はやや持ち直し、新車登録台数は約32万台を記録しました。
5代目(2015年)
ボディサイズ:全長4690~4735mm、全幅1695mm、全高1840mm。ホイールベース2890mm
ミニバンに求められる室内の広さを追求した4代目の販売が持ち直したことで、5代目もコンセプトを追従。居住性や利便性を先代からさらに高め2015年にデビューしています。
5代目は全長こそ先代と変わっていませんが(※スパーダは専用パーツを装備したことで拡大)、ホイールベースを延長しエンジンルームを短縮したことで室内空間を拡大。全高も高め室内高は先代から30mm高くなり頭上に大きなゆとりを確保しました。
そんな5代目の大きなトピックスはいくつかありますが、まず記したいのが「わくわくゲート」の採用。縦にも横にも開くことができる新設計のテールゲートは大きな話題を集めました。
また、パワーユニットを一新したことも大きなトピックスといえるでしょう。
デビュー時に用意されたパワーユニットは、ホンダ初のダウンサイジングエンジンとなるL15B型1.5リッター直4ターボエンジン。排気量は1.5リッターながら2.4リッターNAエンジンと同等のパワーを備えていました。
2017年のマイナーチェンジでは、ステップワゴン初となるハイブリッド車を新たに追加。商品力を大きく高めています。
ただ、販売的にはライバル車たちに及ばず2022年に販売終了となりました。
6代目(2022年/現行モデル)
ボディサイズ:全長4800~4830mm、全幅1750mm、全高1840~1845mm。ホイールベース2890mm
6代目となる現行モデルが登場したのは2022年。同年はノア/ヴォクシー、セレナもフルモデルチェンジを行い、Mクラスミニバンが一気に世代交代を果たしています。
現行モデルでもっとも注目を集めたのはエクステリアデザイン。初代や2代目に原点回帰したようなプレーン&スクエアなフォルムを身につけ登場しました。
また、ボディサイズが全グレードとも5ナンバーサイズをオーバーしたことも6代目の特徴。ボディが拡大したことで室内の広さが向上したのはもちろん、利便性&快適性を追及したことでミニバンらしさがより高まっています。
利便性でいうと先代モデルの大きな特徴だった「わくわくゲート」は廃止。テールゲートはパワーテールゲートを新たに採用しましたが、個性的だったわくわくゲートの廃止を惜しむ声はけして少なくありませんでした。
パワーユニットは先代同様、2タイプを用意。L15C型1.5リッター直4ターボエンジンとLFA型2リッター直4エンジン+モーターの「e:HEV」ことハイブリッドユニットがラインアップされています。
まとめ
昨年登場した6代目ステップワゴンはライバルたちに比べると販売的に劣ってはいるものの、ほかのミニバンとは異なる個性を備えていることで指名買いが増えたといいます。
初代が人気を得たのも、他に類を見ない存在だったからこそ。
今後、現行モデルに改良が加えられていくのでしょうが、ステップワゴンがどのように進化し、ライバルとどのように違いを得ていくかが興味深いものです。
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