この記事をまとめると
■日本で圧倒的な人気を誇る軽自動車に乗らない理由をあえて探した
王者N-BOXの新型は先代に比べてちょっと割高感あり!? そこのところをライバル車と比べてみた
■乗車定員や車内空間の余裕さなど、軽自動車として制限されている部分が最大のネック
■パワートレインや安全運転支援機能などが乗用車よりも劣っていることが多い
軽自動車でこと足らないのはどんな理由?
軽自動車の快進撃が止まりません。2023年の国内の車名別新車販売台数は、ホンダN-BOXが23万台以上でダントツのトップ。ダイハツ・タントが15万台以上、スズキ・スペーシアが12万台以上、ムーヴが10万台以上と、トップ10には4台もの軽自動車が並びます。
それもそのはず、近年の軽自動車は内外装の質感が上がり、走りは高速道路でも十分にパワフルで、室内はヘタなコンパクトカーよりぜんぜん広く、使い勝手がいいという仕上がりのよさ。そのうえ税金などの維持費が抑えられるし、手放すときのリセールバリューもいいときており、「乗らない理由がない」とまでいう人もいるほどです。
でも、そんな軽自動車にも弱点はあるはず。今回はあえて、軽自動車に乗らない理由を探してみました。
ひとつめは、やはり規定により「4人しか乗れない」ということで、どうしても5人で出かけたい人にとっては、乗らないというより乗れないのが残念なところ。2020年3月に自工会が発表したデータによれば、軽自動車に乗る人数は50%以上の人が「ひとり」と答えており、約30%が「ふたり」で、じつに80%近くの人が「1~2人」で軽自動車に乗っていることがわかります。3人以上乗ることが多い場合には、軽自動車以外を選ぶ傾向が強いのでしょう。
ふたつめは、ボディサイズに規定があるだけに、大きな荷物が積みにくいというのも理由のひとつ。ふたり乗車なら、後席を倒せばある程度の大きな荷物は積めますが、たとえば4人乗って海外旅行に行くようなスーツケースを4人分積むとなると、ラゲッジだけでは厳しいのでルーフキャリアを付けるなど、工夫が必要になると思います。
軽自動車の規格では、ボディサイズは全長3.4m、全幅1.48m、全高2m以下となっており、そこからエンジンを積むスペースなどを差し引くと、室内の広さはたとえばN-BOXで、室内長が2.215m、室内幅が1.35m。後席や助手席を倒したとしても、物理的にそれより長い荷物は入らないことになりますね。
また、大柄な人が並んで座る場合にも、カップルディスタンスが多くの乗用車よりタイトになっているので、ちょっと距離が近く、ギュウギュウに寄って座る感覚になってしまうこともあります。
コスパが求められる軽自動車は乗用車よりも装備面で不利
3つめは、これも物理的な理由になりますが、ボディが小さいということは搭載できる燃料タンクの大きさも限られてくるので、タンク容量が小さく、1回のガソリン満タンで走行できる距離の長さも、多くの乗用車より短くなってしまいます。たとえばN-BOXのタンク容量はFFモデルで27リットル。WLTCモードの燃費がNAモデルで21.6km/Lなので、単純計算で走行距離は最大でも583.2kmです。
乗用車ではタンク容量が50リットル以上のモデルも多いので、同じ燃費なら1回の満タンで1080km走行できる計算。ロングドライブが多い人はちょっと物足りないと感じたり、ガソリンスタンドが少ない地域では給油回数が多いと面倒に感じることもあるのではないでしょうか。
4つめは、走行中のノイズがうるさいと感じるシーンがあること。軽自動車のエンジンは排気量が660ccまでと決まっています。なかには4気筒エンジンを搭載するモデルもありますが、多くは3気筒エンジンで、アイドリング時や加速時に音や振動が大きくなる傾向があります。
もっと価格が高く設定できたり、ボディサイズに余裕のあるモデルであれば、防振材や防音材、工業用接着剤などを多用して音や振動を室内に侵入させないような対策が取れますが、軽自動車はコストが限られており、なかなか十分な対策が取れないモデルもあるのです。
近年の軽自動車はそうした静粛性も飛躍的に進化していますが、同時に登録車も進化しているので、相対的にどうしても「うるさい」と感じることが多いのではないでしょうか。人間が不快に感じる音というのは、ずっと聞いていると知らないうちに疲労感につながったり、体調不良の原因となってしまうこともあるので、室内の静かさを重視する人には「乗らない理由」になり得ると思います。
5つめは、パワートレインの選択肢が少ないこと。日本ではガソリンの自然吸気とターボ、ハイブリッド、マイルドハイブリッド、PHEV、BEV、クリーンディーゼル、FCV、LPガスとさまざまなパワートレインのクルマが選べる時代になりましたが、軽自動車ではガソリン、マイルドハイブリッド、BEVのみ。
日本では、いまやガソリンモデルの販売比率をハイブリッド車が上まわっている状況で、その多くはトヨタやホンダが展開する2モーターハイブリッドや日産のe-POWERです。それらを搭載する軽自動車はないということで、選択肢から外す人もいるのではないでしょうか。
6つめは、先進の安全運転支援技術のレベルや内容。軽自動車にも、全車速追従機能付きACCが搭載されたり、ステアリング支援や半自動で車庫入れをサポートする技術などが続々と搭載されたりしていますが、まだハンズオフ機能やドライバーモニタリング、会話型コネクテッド機能などは搭載されていない状況です。そうした技術を手に入れたいと思うと、登録車から選ぶほかはないということになると思います。
ということで、現時点であえて探した、軽自動車に乗らない理由。ですが何年後かには、それもクリアされているかもしれないですね。今後の軽自動車の進化に注目です。
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みんなのコメント
ハッキリ言ってあの速度で事故れば一瞬で終わりなのに見ていて可哀想になる。
60年以上前の草創期ならいざ知らず、今の軽自動車規格に何ら技術的な合理性・妥当性はありません。