ブランドに不可欠な存在
アウディは新型のスポーツモデルの発売を検討中で、そのインスピレーションの源として、初代『TT』が有力視されている。
【画像】シンプルな機能美を体現したプレミアム・クーペ【初代アウディTTを写真で見る】 全23枚
過去1年半の間にTTとR8が生産終了となったことで、現在のアウディのラインナップからは、数十年ぶりに2ドア・スポーツカーが外れている。しかし、ゲルノート・デルナー最高経営責任者(CEO)は製品ラインナップの大幅な見直しの一環として、このセグメントへの再参入の可能性を示唆している。
2024年の業績発表の席で、記者からスポーツカーの導入を検討するかどうかを問われたデルナー氏は、「もちろん検討します。それ(スポーツカー)はブランドのDNAの一部であり、適切なタイミングでポートフォリオに組み込まなければなりません」と答えた。
デルナー氏は、アウディは7500人の人員削減を含む大規模な組織再編の最中であるため、ラインナップの拡大に言及することは適切ではないとしながらも、「アウディがどこに向かうべきか、そしてアウディがどこに向かっているのかについて、大局的に見ています。その方向性において、スポーツカーはそうした体制に不可欠です」と述べた。
同氏は、1980年代の四輪駆動車クワトロを「自動車の新時代を切り開いたクルマ」として挙げ、スポーツカーがアウディの過去において果たしてきた重要な役割を強調した。
また、アルミニウム構造をベースとした第2世代のA8や、燃費効率を重視したA2のようなクルマが、現在のラインナップにおいても引き続き重要な役割を果たしているという。
そして、特に重要なクルマとして名前が挙がったのが1990年代後半の初代TTだ。アウディの新しいデザイン責任者であるマッシモ・フラセラ氏(JLR出身)は、TTの熱烈なファンであるという。
「わたしはマッシモとあのクルマについて何度も語り合いました。あれは彼のキャリア全体を通してインスピレーションの源となったクルマです。彼がジウジアーロの下で働いていた頃、イタリアでTTが発売された日に休みを取ってミラノのアウディディーラーに行き、1日中ショールームでただクルマを眺めていたんです」
「素晴らしいのは、彼がキャリア全体を通じて、常にアウディを念頭に置いていたように見えることです。今こそ、マッシモ・フラセラの心からアウディを解き放つ時です」
フラセラ氏は前職で新型ランドローバー・ディフェンダーの開発に深く関わっていた。ディフェンダーはそれまでの伝統を継承しながら、現代的でミニマルな新しいデザイン哲学を取り入れている。デルナー氏は、こうしたアプローチがアウディにぴったりだと考えている。
「彼は、表現に必要なもの以外はすべて取り除くことで、可能な限りの最適化を図ろうとしています。それは、彼ならではのユニークな才能だと思います」とデルナー氏は言う。
初代TTのシンプルで機能的なデザインは、バウハウス芸術運動から多大な影響を受けている。そうした特徴の一部は、現代に合わせた再解釈が可能かもしれない。
しかし、デルナー氏は自動車メーカーとして「過去を模倣することはできない」と強調し、「アウディの本質とは何かを分析し、その本質を活かしてまったく新しいものを生み出さなくてはならない」と述べた。
「過去の名車の模倣は、明らかに間違ったやり方です」としたが、アウディが歴史的なモデルを復活させる可能性は「考えられる(thinkable)」と付け加えた。
復活するならEVか
初代TTは1998年に発売され、25年間3世代にわたって累計65万台以上を販売したが、後継車の計画がないまま2023年11月に生産終了となった。
その後まもなく、V10エンジンを搭載したスーパーカー、R8も引退し、アウディは1980年のクワトロの発売以来初めて、ラインナップから2ドア・クーペを外すこととなった。
アウディがスポーツカー・セグメントへの復帰を計画しているとしても、実現はしばらく先のことだろう。販売台数と利益率の低減に見舞われた2024年を経て、当面の優先事項は、フォルクスワーゲン・グループとリビアンとの合弁事業から恩恵を受けたソフトウェアアーキテクチャを市場投入すること、そして2025年に重要な新モデル(A5、A6、Q3、Q5など)の生産を拡大することである。
その後、「その時こそ、これらのニッチ分野における適切なポートフォリオについて語る時です」とデルナー氏は言う。
新型スポーツカーの発売時期については明言を避けたが、まずはコアセグメントに力を入れ、強固な基盤を築きたい考えだ。スポーツカーの導入を検討するとすれば、その後だろう。
パワートレインに関する質問に対して、デルナー氏は「オープンマインド」であるとしながらも、日常的な使用という観点ではEVの方が理にかなっていると示唆した。
「長期的には、スポーツカー・セグメントにおけるEVの居場所はあると言えるでしょう。サーキット用ではなく、アルプス越えや田舎道でのドライブを楽しむためなら、EVに反対する理由はありません。コーヒーブレイクをとれば、その間に充電され、何も問題ありません」
デルナー氏は技術的な計画については触れなかったが、合理的に考えると、ポルシェの718ボクスター/ケイマンの次世代EVモデルと部品を共有する可能性がある。
AUTOCARでは以前に報じたが、第3世代となる次期型R8の計画もある。これは、ランボルギーニの新型テメラリオをベースとするだろう。
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みんなのコメント
TTRSが積んでる直5は名機。
今も同様で『見た目優先』『機能より見た目が大事』を守り続けるアウディ。
特にこの初代TTはリア構造に問題あり、スピードを出せば出すほど
車が浮き5人が死ぬという最悪の状況に。
R8GT3も途中で開発費用が無くなり中途半端に終わったのも有名。