トヨタ・クラウン 3代目S5#型(1968年)
かつて日本車には、セダンをベースに創られた素敵なクーペや美しい2ドアハードトップが多く存在した。その中から筆者の心に残る10台を紹介する。かなり旧いクルマもあるが、自動車博物館を巡る感覚でご覧になっていただきたい。
【画像】心に残る美しき2ドアたち……。セダンベースの国産クーペ10選! 全28枚
2代目までの公用車のイメージを脱却して、3代目クラウンはオーナー層に強くアピールした。『白いクラウン』のキャッチフレーズを聞いたことのある方もいるだろう。それがまさにこの世代のクラウンである。クラス初、またクラウン初となる2ドアハードトップは、そんな3代目のイメージリーダーになった。基本グレードのハードトップとスポーティグレードのハードトップSLをラインナップしていた。
トヨタ・コロナ・マークII 3代目X30/40型(1976~1980年)
コロナの上位機種として、クラウンとのギャップを埋めるべく誕生したマークII。3代目は当時のアメリカ車を思わせるマスクやボディサイドのキャラクターラインが存在感満点だが、当時のクルマ好きは『ブタ目』という謎のニックネームで呼んだものだ。マークIIの定番グレードとなるグランデや、兄弟車のチェイサー、3ナンバー仕様や輸出版のクレシーダは、この世代で設定された。なお、正式な車名はこのあとの4代目までコロナ・マークIIだ。
トヨタ・コロナ 4代目T80/90型(1970年)
残念ながら全く関係ないところでイメージを損ねてしまったコロナの名前だが、かつてはトヨタの屋台骨を支える車種のひとつで、発展型のマークIIへ統合が検討されながら、この4代目が登場したほどの人気を誇った。それまでに多く見られた三角窓を廃止したスタイリングは『シルエット70』と銘打ち、先進性を主張。2ドアのハードトップは、後端が跳ね上がったサイドウインドウとCピラーで描き出すラインが流麗で、高級感を演出するレザートップも用意された。
トヨタ・カリーナ 初代A1#/3#型(1972~1977年)
コロナに近いサイズで、1970年に2ドアと4ドアのセダンが登場したが、メカニズム的にはセリカとの関連性が色濃いカリーナ。 1972年には、同じ2ドアでもセダンとは異なるピラーレスのハードトップを追加した。シャープなボディラインに、ボンネットのダクトやCピラーのルーバーなどを備え、『足のいいやつ』をキャッチフレーズに、同時期のコロナ・ハードトップよりスポーティなイメージで人気を博した。
日産セドリック 3代目230型(1971年~1975年)
230型と聞いてピンとこなくても、『西部警察でよく潰されていたセドリック』と書けば、丸目4灯でスラっとしたセダンの姿が思い浮かぶかもしれない。この230型から設定されたハードトップは、角型2灯ヘッドライトと、アメリカンクーペを思わせる小型テールライトがセダンとの識別点。1972年に登場した日本初の4ドアハードトップは、その後の世代でも人気車種となるので話題になりがちだが、2ドアのスタイリッシュさもなかなかのものだった。
日産ローレル 2代目C130型(1972年~1977年)
ケンメリこと4代目スカイラインとメカニズムを共用しつつ、高級感を前面に打ち出した2代目ローレルだが、2ドアハードトップの通称は『ブタケツ』。テールライトをバンパーに組み込み、塗装面が広いテール周りを指したのだろうが、実はリアフェンダーからこのテールへかけての造形も凝っていて、呼び名にそぐわぬバックシャン。もっとも、当時はシャコタンにされることが多く、不良のクルマというイメージが色濃くなってしまった。
日産サニー 2代目B110型(1970~1973年)
700kg前後の軽量FRクーペとして、モータースポーツを志す若いドライバーなどの支持を集めた通称『ワンテン・サニー』。スポーツグレードのGXは、SUツインキャブユニットを搭載し、黒い砲弾型ミラーやタコメーターが走り屋心をくすぐった。さらに、フェアレディZやスカイラインGT-Rと同じ5速MTを積んだのがGX5。5速直結のクロスレシオという本気仕様で、ZやGT-Rが無理でもこれなら……という、手が届きそうな憧れの存在となった。
日産バイオレット 初代710型(1973~1977年)
上級移行したブルーバードに代わり、サニーとのギャップを埋めるために登場したバイオレットは、曲面を多用したスタイリングが特徴。2ドアハードトップはL型テールライトが個性的だが、トランクリッドとの連続性を持たせるためリアウインドウに逆Rガラスを用いるという、大衆車クラスでありながら贅沢な作りもポイントだ。ブルーバード譲りの四輪独立懸架を採用したスポーツグレードのSSSも用意され、1977年には第12回サザンクロスラリーを制している。
ホンダ・レジェンド・クーペ 初代KA3型(1987~1990年)
上位ブランドのアキュラで展開するべく、英国のブリティッシュ・レイランドと共同開発しホンダ初の3ナンバー仕様を設定したレジェンド。1985年に登場したセダンに続き、1987年には2ドアハードトップが追加された。2.7LのV6を横置きするFFで、アメリカ市場を見据えた3ナンバー専用モデル。スタイリングは、ブリスターフェンダーを備えるボディの伸びやかさを、ピラーの細いキャビンが強調している。
マツダ・ファミリア・ロータリークーペ(1968~1970年)
コスモスポーツで実用化に成功したロータリーエンジンを、より普及しやすい5座ボディに搭載したファミリア・ロータリークーペ。491cc×2でありながら2.0L級の動力性能を発揮する10A型ユニットと空力を追求したボディを組み合わせ、最高速度180km/hに達した。そうした技術面が語られることの多いクルマではあるが、伸びやかなテールが目を引くスタイリングや、T型ダッシュボードなど、デザイン的な美しさもトピックだ。
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みんなのコメント
当時、10年落ちの中古で8万円で買いましたよ。
ピラーレスの開放感は最高で、ドライブデートを盛り上げてくれました。
でも、当時パワーウィンドウなんてないから、一々後席に移動して手で回して開けなければならなかったw