現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > グリルの穴は絶滅危惧種になる!? アナタはどっち派!? EVグリル論争

ここから本文です

グリルの穴は絶滅危惧種になる!? アナタはどっち派!? EVグリル論争

掲載 13
グリルの穴は絶滅危惧種になる!? アナタはどっち派!? EVグリル論争

 2022年は新型EV(電気自動車)が数多くデビューしているが、これら新型EVは、機能や走行性能の面で、既存のエンジン車とは異なる新しさを感じさせる。

 ではデザインはどうかといえば、これもやはりEVならではの先進感を表現。特に、グリルがあるかないかで、フロントまわりのデザインは大きな変貌を遂げつつあるようだ。

グリルの穴は絶滅危惧種になる!? アナタはどっち派!? EVグリル論争

文/フォッケウルフ
写真/トヨタ、日産、ホンダ、スバル、BMW、アウディ、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、ステランティス、テスラ

■グリル本来の機能性と立ち位置は?

 デザイン的な観点からクルマの印象を決定づけるパーツとして、近年重要視されているのがフロントグリルだ。フロントグリルはクルマにおける「顔」となる部分の中心に配置され、工夫を凝らした造形とその付近に備えたロゴや左右のヘッドライトとの組み合わせによって成り立っている。

 さらに近年では、フロントまわりのデザインを統一化し、メーカーそれぞれの個性を際立たせ、それを見ればひと目でどこのメーカーのクルマであるかが判別できるものとしても機能している。

 このようなアイコニックな役割を持つ一方で、ラジエーターやエンジンルームに外部から風を取り入れて冷却し、ボンネット内の熱気を逃がすといった機能面での役割も与えられている。

 しかし、この役割はエンジン車にとって重要となるが、パワーユニット本体や周辺パーツも含めて発熱量が少ない電気自動車(EV)では、空気流入のた目のフロントグリルを設ける必要がないとされている。

グリルレスデザインが新鮮なテスラ(写真はモデルS)。ナンバープレートが付くと印象がまた変わってしまうが……

 今後EVが増えればフロントグリルを持つクルマは、確実に減っていくことになるだろうが、フロントグリルがブランドアイコンとして重要なパーツであることを鑑みると、必要性が薄いからといってすぐに廃止するわけにもいかない。

 たしかにこれまであった部品を廃したデザインは、既存のものと大きく差別化が図れることから、一歩先を行く先進性とか未来的なイメージが訴求しやすい。テスラのEVは最たる例で、グリルレスによって構成されるスッキリとしたフロントまわりのデザインが、ブランドとしての個性になっている。

■トヨタとスバルが示した方向性の違い

 日本においても、着実にEVが市民権を獲得しつつあり、カーデザインのトレンドに変化をもたらしている。ただし、グリルレスにするか否かは、メーカーによって考え方はさまざまだ。わかりやすい例を挙げるなら、トヨタとスバルが共同開発した電気自動車、bZ4X(トヨタ)とソルテラ(スバル)だ。

5月12日に発売されたばかりのトヨタ bZ4X。まずはリースとKINTOによるサブスクという形で販売される

 この両車は基本的なデザインこそ共通となるが、bZ4Xのフロントまわりは、空力アイテムが織り込まれたコーナー部と、上下に薄いバンパー形状によって従来のエンジン車とは明らかに異なる独自性を表現。特にフードからヘッドランプ上部へと連続する、特徴的なハンマーヘッド形状がEVらしさを主張している。

 一方ソルテラは、スバルを象徴する大型のヘキサゴングリルを装備。ロアグリルに冷却開口部を設けたEVらしいデザインとしている。また、アッパー開口をなくすことで、空力性能を高め、航続距離の伸長に貢献。さらにラジエーターに風を効率良く取り込む構造とすることで、空調性能とユニット、電池冷却性能を確保した。

 どちらがデザイン的に優れているかを判断するのはあくまで好みの問題だが、いまだエンジン車が主流であることを考慮すると、街なかで他車とは明らかに異なる個性を主張できるのはbZ4X。ソルテラなら既存の車種のなかに違和感なく溶け込みつつ、独自性をアピールすることができる、ということになるだろう。

■リーフを長く販売する日産の手法は?

2010年以来販売され続ける日産 リーフ。現行型となる2代目モデルでは、初代モデルになかったグリルが形取られることになった

 不要になったグリルの代わりに、その部分全体をスモークがかったパネルでカバーしながら、内部に日本の伝統的な組子パターンを立体的な造形を組み込んで、次世代感を表現したのが日産だ。

 クロスオーバーEVとして登場したアリアは、「スリーク」「シック」そして「シームレス」というキーワードを用い、シンプルでありながら力強く、かつモダンな表現で「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」をデザインに反映した。

 さらに軽電気自動車のサクラでは、アリアのデザインテイストを継承し、次世代の日産らしさを感じさせるフロントフェイスと光るエンブレムによって、既存の軽自動車とは一線を画すスタイルに仕上げた。フロントまわりを含めた落ち着いた大人の雰囲気を感じさせるスタイルは、安価で手頃なクルマという、これまでの軽自動車のイメージを払拭している。

日産 サクラは今年発売された軽自動車クラスのEV。三菱のeKクロスEVとは共同開発された兄弟車となる

 フロントグリルが機能性とデザイン性を両立させるパーツであることは間違いない。しかし、EVではフロントグリルが必ずしも必要ないというのは、現在市場で販売されている車両を見れば分かるとおり。

 これからのフロントグリルは、エンジンルームを冷やすための冷却口という役割であったり、機能的に必要であるという固定観念からも解放され、新しい時代に即した、刺激的なエクステリアデザインの構築という点で大きな役割を担っていくことなる。

 現時点では、既存のクルマと並んだときに「先進的だな」と感じさせる程度の変化に過ぎないが、将来的には機能的な要素をあえて隠しながら、よりアイコニックな要素として新しいデザインを打ち出し、いつしかそれが主流になっていくだろう。

こんな記事も読まれています

ホンダ、新型フリードを6月28日に発売。e:HEV搭載ハイブリッドと1.5Lガソリンで250万円から
ホンダ、新型フリードを6月28日に発売。e:HEV搭載ハイブリッドと1.5Lガソリンで250万円から
AUTOSPORT web
ファッショナブルかつエレガントなメルセデス・ベンツCクラスの新しい4名乗りオープンカー「CLEカブリオレ」が日本デビュー
ファッショナブルかつエレガントなメルセデス・ベンツCクラスの新しい4名乗りオープンカー「CLEカブリオレ」が日本デビュー
カー・アンド・ドライバー
MotoGPオランダ|バニャイヤ絶好調! コースレコード更新でプラクティストップタイム。ビニャーレス2番手で追う
MotoGPオランダ|バニャイヤ絶好調! コースレコード更新でプラクティストップタイム。ビニャーレス2番手で追う
motorsport.com 日本版
ディフェンダーがピックアップトラックに!?ワイルド感あふれるモデルの正体は…?
ディフェンダーがピックアップトラックに!?ワイルド感あふれるモデルの正体は…?
グーネット
遂に「楽しい」電動スポーツ生誕! ロー&ワイドなボディにシザーズドア 新MGサイバースターへ試乗 
遂に「楽しい」電動スポーツ生誕! ロー&ワイドなボディにシザーズドア 新MGサイバースターへ試乗 
AUTOCAR JAPAN
人生初の愛車は日産「エクサ クーペ」部品取り車に「キャノピー」も所有するほど惚れた理由は、個性的なギミックにありました
人生初の愛車は日産「エクサ クーペ」部品取り車に「キャノピー」も所有するほど惚れた理由は、個性的なギミックにありました
Auto Messe Web
「未来のために白紙の状態から再スタート」新LMP2規定の仕切り直しにコンストラクター4社が同意
「未来のために白紙の状態から再スタート」新LMP2規定の仕切り直しにコンストラクター4社が同意
AUTOSPORT web
アストンマーティンF1、ストロールとの契約延長を発表。2026年までアロンソとのコンビを継続へ
アストンマーティンF1、ストロールとの契約延長を発表。2026年までアロンソとのコンビを継続へ
AUTOSPORT web
ハウガーがデュルクセンを0.008秒下して最速! フィーチャーレースのPP獲得。宮田莉朋大苦戦で21番手|FIA F2シュピールベルグ予選
ハウガーがデュルクセンを0.008秒下して最速! フィーチャーレースのPP獲得。宮田莉朋大苦戦で21番手|FIA F2シュピールベルグ予選
motorsport.com 日本版
名古屋まで100キロ信号なし“スーパー一般道”完成いよいよ秒読み! 国道23号「名豊道路」新IC名も決定!
名古屋まで100キロ信号なし“スーパー一般道”完成いよいよ秒読み! 国道23号「名豊道路」新IC名も決定!
乗りものニュース
ガスリーとの契約延長を喜ぶアルピーヌF1代表。オコンの後任は「時間をかけて決める」と主張
ガスリーとの契約延長を喜ぶアルピーヌF1代表。オコンの後任は「時間をかけて決める」と主張
AUTOSPORT web
異例の再有料化「八木山バイパス」 工事をNEXCOへ引き継ぎ 4車線化も間近!
異例の再有料化「八木山バイパス」 工事をNEXCOへ引き継ぎ 4車線化も間近!
乗りものニュース
「V12+6速MT」搭載! “700馬力”超え新型「斬新顔スポーツカー」世界初公開! 巨大ウイング&“センター4本出しマフラー”がカッコいい! 約4億円の「ヴァリアント」発表
「V12+6速MT」搭載! “700馬力”超え新型「斬新顔スポーツカー」世界初公開! 巨大ウイング&“センター4本出しマフラー”がカッコいい! 約4億円の「ヴァリアント」発表
くるまのニュース
メルセデスF1はついに殻を破った? ハミルトン悩ませた予選での苦戦原因を解明か。マシンよりも「単にタイヤの問題」
メルセデスF1はついに殻を破った? ハミルトン悩ませた予選での苦戦原因を解明か。マシンよりも「単にタイヤの問題」
motorsport.com 日本版
低調なペレスを擁護するレッドブルF1代表。一方で「今年の序盤の状態に戻る必要がある」と奮起を望む
低調なペレスを擁護するレッドブルF1代表。一方で「今年の序盤の状態に戻る必要がある」と奮起を望む
AUTOSPORT web
DSオートモビルの旗艦セダン『DS 9』に“エスプリ・ド・ボヤージュ”シリーズの最後を飾る特別仕様車
DSオートモビルの旗艦セダン『DS 9』に“エスプリ・ド・ボヤージュ”シリーズの最後を飾る特別仕様車
AUTOSPORT web
本家が作らない「トラック仕様」ディフェンダー オランダ発の高度な改造車、約3000万円で登場
本家が作らない「トラック仕様」ディフェンダー オランダ発の高度な改造車、約3000万円で登場
AUTOCAR JAPAN
「ル・マン24時間レース」が超人気のワケとは? 街あげての一大フェスの主役は昨年に続きフェラーリでした【みどり独乙日記】
「ル・マン24時間レース」が超人気のワケとは? 街あげての一大フェスの主役は昨年に続きフェラーリでした【みどり独乙日記】
Auto Messe Web

みんなのコメント

13件
  • グリルはあった方が好き。
    まだEVデザインは抵抗があって。。。
    ただどこのメーカーとは言わないが主張が激しいグリルは苦手。
  • グリルとマフラーのように、これまで機能美で備わってたものが、なくなるのって、寂しい。
    EVって見た目の差別化計るのが難しいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村