フォルクスワーゲン Tクロス 「マイチェンで質感向上、Bセグ輸入車を探しているなら要注目」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

マイチェンで質感向上、Bセグ輸入車を探しているなら要注目

2024.10.18

年式

2024年7月〜モデル

総評

全長4140mmのBセグメントSUVで、2024年7月にマイナーチェンジを実施。内外装のデザインや質感が洗練されているだけでなく、市街地でも高速道路でも、なかなかスポーティかつ快適な走りを堪能可能。そして荷室も後席も、ボディサイズから想像するよりはずいぶん広いということで、Bセグメント付近の輸入車を探しているすべての人におすすめできる。

満足している点

決して「高級感が強い」というタイプの車ではないのだが、いわゆるBセグメントのSUVとしては、すべての質感が高い。インテリアのしつらえやセンスは良好。そして動力性能が十分以上であることに加え、素直で安定感の強いハンドリング性能も有している点が、このSUVに「クラスを超える全体的な質感」を与えている。

不満な点

クラスを超えた質感の高さを全体から感じるのは事実だが、ひとつ上のCセグメントに属する同門「フォルクスワーゲン T-Roc」と直接比較すると、やはり「クラスなり」と感じてしまう部分はある。また1Lの直3 TSIエンジンは1000rpm台でのみ、少々非力である。

デザイン

4

エクステリアの基本的なフォルムはごく普通の2BOXスタイルなのだが、なぜか洒落た雰囲気に思えるのは決して“舶来物信仰”から来るものではなく、“デザインの力”ゆえだ。インテリアは、2024年7月のマイナーチェンジでダッシュパッドにソフト素材が採用されたことで、まずまずの高級感を得るに至っている。

走行性能

4

1L直3ターボエンジンは走り出しのみ若干非力だが、最大トルクが発生する2000rpm以上になれば、1Lターボであることが信じられないほどの力強さを発揮する。そしてサイズに似合わぬ落ち着いた乗り心地を披露するいっぽう、速度を上げていった際のスポーティな身のこなしと乾いたエンジンサウンドも心地よい。

乗り心地

4

端的に言うと良好。実用的なBセグメントSUVにふさわしい快適な乗り心地でありつつ、同時に「引き締まっている」とも評せるニュアンスの足回りおよびボディであるため、家族で使いたい人も、自分専用の一台としてスポーティに乗りたい人も、同時に満足できるタイプの乗り心地と言える。

積載性

4

車内はボディサイズから想像する以上に広い。ラゲッジスペースはフル乗車時でも600〜750mmの奥行きが確保されており、一般的なドライビングポジションを取ったうえでの後席居住空間は、身長175cmの人間が「ひざ元も頭上も普通に余裕があるな」と感じるレベル。180cm超級の乗員でも、余裕をもって後席に座れるだろう。

燃費

3

WLTCモード燃費は17.0km/Lで、普通に走っての実燃費は13〜14km/Lといったところ。抜群に低燃費なわけではないが、「まあまあ」とは言える。

価格

3

車両価格は、中間グレードである「TSI Style」の場合で359万9000円。同セグメントの国産SUVと比べて数十万円ほど高いが、総合的なクオリティ感とデザインの良さ、そして「輸入車である」という自己満足代を考慮すれば、リーズナブルではある。「輸入車であることの自己満足代などナンセンスだ」という人も多いことは理解するが、そこは人それぞれの感覚に基づく問題である。