フォルクスワーゲン ID.4 「普通に乗れて普通に快適なEV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

普通に乗れて普通に快適なEV

2023.7.21

年式

2022年11月〜モデル

総評

第一印象では、あまり目立った特徴のないSUVのように感じますが、むち打ちのリスクを軽減するフロントシートや、パワーユニットが冷却用のエアを必要とする時だけ開く、フロントの電動ラジエーターブラインドなどなど、たくさんの最先端技術が当たり前のように結集しているのがID.4だとわかりました。人間中心の設計による、広く快適な室内空間と、EVビギナーでも運転しやすい走行フィール。派手さはなくても、人生の相棒として長く愛用できるEVを求める人にオススメします。

満足している点

ID.4のバッテリーは、冷却水回路が組み込まれたフロアプレートによって温度管理され、あらゆる状況で約25℃に保たれるため寿命が延び、出力向上や充電時間の短縮に貢献するとのこと。バッテリーは8年／16万km稼働後も容量の70％維持を保証しています。EVを選ぶ上で、こうしたバッテリーの耐久性や保証というのは大切な要素となりますので、そこはさすがフォルクスワーゲンですね。

不満な点

あざとい未来感の演出や、これみよがしの強烈な加速フィールもなく、いたって普通に快適に乗れるところがフォルクスワーゲンのEVの良さなのですが、そこが物足りないと感じる人もいるのではないかと思います。充電中のエンタメ機能など、もう少し斬新なサービスがあるともっとワクワク感が伝わったのかなというところに、今後の期待を込めて。

デザイン

5

端正なフロントマスクとクーペライクなルーフライン、安定感を感じさせる大径タイヤと、老若男女誰にでも好まれ、違和感なく乗れるデザインだと感じます。暗いところでライトをつけると、少し先進的な雰囲気も醸し出す、とてもスタイリッシュな一面も見せてくれます。充電口もさりげなくついているので、知らない人が見たらEVとは思わないかもしれない、スッと馴染むデザインです。

走行性能

4

速度が160km/hに制限されているため、爆発的な加速フィールをウリにしたEVでもないですが、発進から落ち着いた上質な走りで、踏みはじめからマイルドな加速をするので、どことなくガソリン車を運転しているのとあまり変わらない感覚。理想的な50:50に近い前後重量バランスのおかげもあり、高速道路での安定性はもちろん、カーブを曲がる際にも低重心でバランスの良いハンドリングを感じることができるので、運転ビギナーにもピッタリです。

乗り心地

4

静かで穏やかな乗り心地です。路面のギャップ形状によっては、前後の揺れが収まりにくいところもありますが、おおむね快適に乗れると思います。とくに静粛性に関しては、防音フロントガラスなど車体の高度な防音対策をはじめ、ほとんどノイズを発生しないモーター特性、ドアミラーハウジングの形状など細部までのこだわりによって、EVの中でも特別に静かな室内を手に入れていると感じます。

積載性

5

ラゲッジルームは5人乗車時でも543Lの大容量を確保。後席は6:4分割で倒せるようになっており、すべて倒せば1575Lの大容量スペースに拡大。やや傾斜は残りますが、旅行やアウトドアレジャーの大荷物にもしっかり対応します。ただ荷室の高さはあまりないため、自転車など高さのある荷物は事前にチェックしたほうがいいでしょう。室内は、走行中に揺れてもドリンクがしっかり固定される工夫のドリンクホルダーや、小物を分けて収納できるセンターコンソールボックスなど、使い勝手も優秀です。

燃費

4

電費は「ID.4 Lite」がバッテリー容量52kWh、125kW／310Nmのモーターで132Wh/km。最大航続距離が435km（WLTCモード）です。上位グレードとなる「ID.4 Pro」がバッテリー容量77kWh、150kW／310Nmのモーターで139Wh/km。最大航続距離が618km（WLTCモード）となっています。アクセルペダルがスイッチのようなEVもある中で、自然に操作しやすいID.4はエコドライブもしやすいと感じます。

価格

4

Liteが514万2000円〜、Proが648万8000円〜という価格は、ライバルとなるアウディ・Q4 e-tronが620万円〜737万円程度なので、良心的な価格と感じられます。初めてEVを購入する方にもトライしやすいよう、買取価格保証型残価設定ローンのフォルクスワーゲン ソリューションズもあり、3年と5年のどちらかを選ぶと月々の支払いを抑えられます。ボディサイズも大きすぎず、ファミリーでも使えるEVとしてお買い得と言っていいと思います。