フォルクスワーゲン ID.4 「意外と楽しい走りにも注目」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

意外と楽しい走りにも注目

2023.7.20

年式

2022年11月〜モデル

総評

日本でフォルクスワーゲンの電気自動車を買おうと思ったら、現時点（2023年夏）ではこのクルマしか選択肢がありません。「ゴルフ」からの買い替えだとサイズも含めてちょっと違和感あるかもしれませんが、同じセグメントであるガソリン車のSUV「ティグアン」からの買い替えだったらアリかもしれません。

満足している点

ハンドリングの良さは想像以上でした。実は運転好きに強くオススメしたいクルマです。

不満な点

大きな問題ではない……のですが、システム起動をはじめ操作系のインターフェイスがこれまでの概念と大きく変わっているので慣れが必要です。慣れればいいのですが。

デザイン

3

電気自動車だからといってあからさまな演出はありませんが、見る人が見ればロングホイールベースとボンネットの短さでEVだとわかるかもしれませんね。逆に言えば、ガソリン車からでも違和感なく乗り換えられる雰囲気と言えるかも。フォルクスワーゲンらしい親しみやすさは……しっかりあると思います。

走行性能

5

EVだから滑らかでスムーズに走る……というのは当たり前として、意外なのは峠道での素直なハンドリング。徹底したニュートラルステアでよく曲がるから、楽しいんです。そして驚いたのは滑りやすい路面でのコントロール性の良さ。圧接路と同じくらい滑りやすい路面のテストコールで運転してみたら、ドリフト（カウンターステアを当てすぎるとスタビリティコントロールが介入するのでほぼカウンターステアを当てない状態をキープ）して遊べるので驚きました。そうそう、このクルマは昨今のフォルクスワーゲンとしては珍しい後輪駆動なのです。

乗り心地

4

いいですね。とてもいい。まず車体がしっかりしているうえで、サスペンションのチューニングなども絶妙。EVの中には、ときどき乗り心地の悪い車種もあります（路面の段差を超えたときなどの突き上げが大きい）。でも安心してください、ID.4は違いますから。

積載性

4

荷室の使い勝手はEVだからというデメリットは皆無で、同じクラスのガソリン車やディーゼル車と同じ水準。大型スーツケースもガンガン積めて実用的です。

燃費

3

日常領域の電費は、肌感覚で6km/L前後（大型バッテリー搭載モデル「Pro」のローンチエディション）。街中領域だともう少し伸びるし、高速道路はもう少し減ります。このサイズのEVとして悪くはないですね。カタログ記載の一充電走行距離は618km（バッテリー搭載量の少ない「Lite」は435km）。実際は2割程度落ちますが、それでも日常利用なら気にしなくて大丈夫です。ただ、ほかのEVも同じですが、遠出は充電器の設置場所などを考えてプランを練らないと厳しいのが正直なところ。

価格

3

エントリーモデルは500万円強。同クラスのガソリン車に比べて安くはないですが、65万円の補助金を受けられるのでそれを加味すれば同クラスのガソリン車「ティグアン」のベーシックグレードよりも安く買えたりします。さらに東京都に住んでいると追加で都から45万円の補助金を受けられるので……意外に高くない!?