フォルクスワーゲン ゴルフ R 「GTI から R に乗り換えて得たもの失ったもの」のユーザーレビュー

GTI から R に乗り換えて得たもの失ったもの

2021.4.18

総評

大きな欠点が無い代わりに、とがった長所も無いのがゴルフの長所です。

その中でゴルフＲは決してGTIの上位ではなく、別のベクトルを持ったモデルであります。装備やエンジン出力でＲに目が行きがちですが、Ｒが勝てないものがGTIにもあります。なので、どちらがご自身のスタイルに合っているか、ぜひ乗り比べて決めてもらえたらなと思います。

満足している点

高出力のエンジンとＡＷＤが織りなすデタラメなトラクションと走行安定性……だけがＲの魅力ではありません。

Ｒの冷却系は、標準のGTIとは別モノと言えるくらい強化されていて、パワーアップ分以上の冷却性能アップでエンジンを冷やし切ります。ホイールハウス内にはエアを誘導するダクトがあったり、噂ではボディの溶接も違うとか違わないとか。

と、カタログの内容が控えめに思えるほど別物なのです。

不満な点

ワインディングを走っていると、「GTIのほうが楽しかったな」と思います。

GTIはハンドルを切るとスッと曲がってくれました。FFらしいダルさは多少あるものの、フロントのグリップをめいっぱい使って切り込んでいく感じ。コーナー進入時、多少ラフでもオーバースピード気味でも気合いでなんとかなりました。

Ｒはそうはいきません。4WDだからなのか、それとも150 kgの重量差なのか、直進性が強く、ステアを切ってからクルマが向きを変え始めるまでに僅かにタイムラグがあります。GTIと同じタイミングで切り込んで行こうとすると、コーナー外側に向かって直進する瞬間があり、ヒヤッとしました。

アライメントをいじって改善はしましたが、それでもGTIと比べると丁寧に操作する必要があると感じました。

デザイン

4

７.５Ｒになって、表情のある顔つきになったなと思いました。しかし、フロントに抑揚が付いたぶんサイドののぺーっとプレーンなデザインが浮いているような気がします。

インテリアには高級感あります。デザイン自体はコンサバティブですが、デジタルメータなど流行りの先進デバイスは一通りあって、しかし操作系は今までの共通言語が通用する、ちょうどいいところ。

運転席助手席にはイルミネーションの加飾もあったりして華やかなんですが、それらが後部座席には全く無く夜は真っ暗で、前後座席で格差が大きいのが残念なところ。

走行性能

4

4-motionは麻薬的です。雨だろうが雪だろうが氷だろうがいかなる路面状況でも車体の挙動はド安定だし、乾燥路のコーナー立ち上がりはデタラメに加速してきます。

エンジンからシャシからブレーキまで電子制御の塊なんですが、そこにはドライバーの意思に応える懐の深さがあり、またドライバーに花を持たせるような味付けがニクいです。

Mk7.5 から採用された湿式７速 DSG はあまり好みではありません。今まで雑誌などで指摘されてきた低速時のぎくしゃくを改善するためか、発進時には半クラッチを多用するようになりました。たしかに滑らかにはなったのですが、ダイレクト感は失われ、はっきり言って下手くそのＭＴ操作みたいで恥ずかしいです。そもそも前のＤＳＧだって、クラッチが自動化されたＭＴだと思ってアクセル操作をすればぎくしゃくすることは無いし、前の６速のほうが好みです。

乗り心地

4

純正からしてかなり硬め。ダンパーが突っ張ってる感じがします。でもバネレートは低いから上屋の振幅は大きく……という純正にありがちな感じ。もう少し上手いことやってほしかった。

積載性

3

Ｃセグハッチバックとしはふつう。たぶん他社はゴルフを基準にしてるだろうから、ふつう以外にはなり得ないだろうなぁ。
ちょっとした荷物ですぐいっぱいに。ここはヴァリアントにしときゃよかったかな……と思うポイント。リヤデフ搭載のためにカーゴルームの床が上がってしまうのもマイナス。

燃費

5

ランエボインプ全盛期に育ったので、2Lターボ4WDで10 km/L 超えれば満足しちゃいます。

価格

5

この性能、この装備、内装の質感、知れば知るほどお買い得です。

故障経験

２年、２万キロの時点では特にありません。