トヨタ プリウス 「2023年式プリウスG感想文」のユーザーレビュー

ノイマイヤー ノイマイヤーさん

トヨタ プリウス

グレード:G(CVT_2.0) 2023年式

乗車形式:レンタカー

評価

3

走行性能
4
乗り心地
3
燃費
3
デザイン
3
積載性
3
価格
3

2023年式プリウスG感想文

2023.10.9

総評
●ハイブリッド新気流。
1997年冬、初めての受験を控えた中3の冬だった。私は自宅からほど近い奈良トヨタの営業所へ自転車で向かった。平日夕方のディーラーは閑散としており、自分以外の来店者はいない。やる気の無い薄暗い店内の奥にカタログ棚があった。私は青紫のカタログと小冊子を手に取り、奥から営業マンが誰も出てこなかった販売店を後にした。



「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーで発売された世界初の市販ハイブリッド乗用車であるプリウスは世界に大きなインパクトを与えた。翌年、工業系の学校に進学した私は職員駐車場に複数のプリウスを目にした。そのうちの一台は電気工学科の教授が買ったらしい。当時の私は機械工学科を名乗りながらTHSが何故燃費が良いのかを理解せぬままバック走行はモーターだけなんだよ、とかインバータに貼られた「TOYOTA HYBRID SYSTEM」のステッカーを補給品で購入して大事に持っていたりとその歴史的重要性は理解しつつも、徐々に街で見返る頻度が増えていくハイブリッド車をボーッと眺めているだけだった。

あれから26年、クラウンやカローラどころか路線バスやレース車両までもが当たり前のようにハイブリッドになった2023年にプリウスは5世代目に進化した。まだ各社が様々なハイブリッド技術でしのぎを削る群雄割拠の時代だがTHSは未だに一線で活躍している。

あらゆる面で革新的だった初代(1997-2003)、高圧化により燃費追求マシン化した2代目(2003-2011)、世界的普及期を迎えた3代目(2009-2015)、TNGAを得ながらも迷いのなかで攻めすぎた4代目(2015-2023)という歴史を経た5世代目は見る人の予想をブッちぎった「スーパーカー」の様なエクステリアデザインとなった。




個人的には国内導入されなかったカローラリフトバック(スプリンターシエロ)似でなかなかのバックシャンだ。



THSと組み合わせられるE/Gは従来の1.8Lだけでなく2.0Lが加わった。システム出力196ps(2.0L_FF)という一昔前の2.5Lクラスのハイパワーで1400kgの車体を引っ張り、全開加速をさせれば、従来のプリウスのイメージを覆す俊足を披露し、更に歴代モデルが苦手としていたコーナリングの身のこなしも進化を見せた。THS故のフィーリングの悪さは消しきれず決して諸手を挙げて賞賛できないが、キャラクターの変化はオーナー以外でもすぐに気づけるレベルになった。今まで僕らの宇宙船地球号の限りある石油燃料を大切にしてきた公共性の高いプリウスは何故ここへ来てエゴイスティックな変貌を遂げたのだろうか。

BEVシフトが叫ばれて久しいが、充電インフラなど解決すべき課題が多いなかでは総合的にHEV車の存在意義は大きい。みんなの手が届くエコカーとしてプリウスを更に普及させるべきでは?と言う議論があったらしい。豊田章男社長(当時)は「タクシー専用車にしたらどうか」「OEM車として他メーカーにも販売して貰ったらどうか」という「真のコモディティ化」提案をしたという。

一方で開発陣はコモディティ化の真逆を行く「合理性よりもエモーショナルな体験で選んで貰える愛車」プリウスを作ることを決意、社長の提案に真っ向対決をしたという。



豊田章男氏は「われわれは次の100年も、クルマは楽しい、単なる移動手段やコモディティではない。ファン・トゥ・ドライブなんだとこの先100年後もやれるように戦っていく」、「クルマは“愛”がつく工業製品である」と熱く語っていた人物である。一般的に企業はトップの指針を理解した上層部によって上意下達されて生き物のように意志を持って企業活動を行っている。数年前からトップが何度も訴えかけていた言葉をプリウス開発陣(社内の模範的存在)が知らないわけはない。開発推進を許されるためのプレゼンを成功させるために「愛車論」を熱心に説いて企画を通したただけのことだと思う。かくしてタクシー専用車云々というトップの逆張り質問をものともせず、テック感あふれるエコカーはエモーショナルなスペシャルティカーになった。

新型プリウスのボディサイズは下記の通り。



ホイールベースが伸びてルーフの頂点を後方に移したのはパッケージング的にも前席優先だからだ。詳しいコメントはデザイン項で述べるが、風洞が形状を決めると言わんばかりのエコカー的プロポーションから脱却し、仰角20度を切るという高橋レーシングのスタント後のような寝そべったAピラーがスーパーカー顔負けのエクステリアを作った。そこには空力的なんとやらの理論よりも情緒的な魅力を優先した。



インテリアはbZ4Xとの関連も感じさせる小径ステアリングとステアリング上から視認する液晶メーターが特徴である。

走らせると、人間の感覚に合わないTHSの嫌らしいところは残るが、見た目を裏切らないように出来るだけのことをやったと言う感じがある。特にスポーツモードで走るワインディングの楽しさは歴代モデルにない特徴だ。新たに2LのTHSはかつての2.5Lクラスのハイパワー(196ps)を発揮し、シャシー性能も飛躍的に向上している。

見た目がかっこ良くなり、走りも進化したプリウスだが、内装の質感の低さや後席の冷遇、装備品の廃止や静粛性への配慮は更なる改善が欲しい。緩急つき過ぎているというか、空力についてアレコレとうんちくを語る割にはバックドアとルーフの隙間(一般的にチリが広いと風切り音に影響するだろう)が歴代プリウスのなかで最も広いなんてちょっと情けないなと思う。

新型プリウスは、近年のトヨタ車のなかでは久々に格好いいデザインを実現してくれた点が好ましい。その見た目から来る期待に応えようとした結果、プリウスという概念を塗り替えるほどの存在になった。ただ、これが本来のプリウスなのかと問われると疑問が湧くのは私だけではないだろう。

お得意の群戦略で「プリウス・セリカ」とでも名乗るなら私も快く受け入れたが、1997年の京都会議(温室効果ガス削減について話し合った)直前に発表した「社会派未来カーのプリウス」が、急に個人的都合を重視する姿勢を見せた事にどうも納得がいかない。

勿論、従来の流れの中にあっては競合に埋没し、売れず、収益にならないことは分かる。だからこそ真のエコカーとして最大公約数的に性能を確保して実用燃費30km/Lを目指すとか、人生の先輩達をミサイル搭乗員にしないために運転のわかりやすさと支援機能を充実させた「プリウス・ユニバーサル」とかタクシー専用「プリウス・キャブ」などプリウスブランドが取り組む意義が有る商品領域があったと思うのだ。それはつまらない車に見えるが、大きな意義がある。「自動車をみんなのものに」という創業以来のトヨタの理念にミートした商品になった事だろう。グローバルに使える国際派タクシー専用車にするとか、OEMで世界中にTHSをばら撒いてBEVシフトに抗い、デファクトスタンダードを狙う作戦こそが公器プリウスに相応しい役割だったのでは無いかと感じてしまう私は天邪鬼だろうか。

世界初のハイブリッド量産車プリウスは今更FCEVにもBEVにもなれない。この様な時代になるとプリウスの存在意義は消えつつあり、スペシャルティ化はその焦りの中で生まれたのだろう。ハイブリッド車の価値は何か?確かにBEVよりもスタイリッシュに仕上げやすい。そして航続距離が長いのでツーリングカーにも向いている。新型プリウスはそこをウリにしているのだが、プリウスが持っていた誰にでも優しい性格が無くなっている点が寂しさを感じる。

絶対評価なら3★だ。動力性能とシャシー性能の良さはデザインにマッチしていてスペシャルティカー的性質だけなら★4だ。しかし価格に見合わない内装質感やシフトレバー位置の酷さ、悪化した燃費、みんなへの優しさを失ったため1を減じて★3とした。
満足している点
1.スーパーカー世代に突き刺さるエクステリアデザイン
2.ドアミラーの鏡面サイズが適切
3.セーフティセンスの運転支援の自然さ
4.操縦性へのこだわり
5.その気になれるスポーツモード
不満な点
1.寂しい室内の質感
2.雑味のあるE/Gノイズ
3.人間工学を無視したシフト位置
4.右左折時の死角
5.グレードと価格設定のバランス
デザイン

3

●エクステリアデザイン
新型プリウスの最大の特徴はこのスーパーカー世代が泣いて喜びそうなスペシャルティ感あふれるエクステリアデザインではないだろうか。

新型プリウスは走りを大切にした86と方向性が異なり、セリカやサイオンtc以来のデザインを重視したパーソナルカーになった。Frマスクはハンマーヘッドというテーマでヘッドライトにバンパーが食い込んでいるが、コの字型の部分はデイライトと方向指示器を兼ね、その下のブラックアウトされた狭い領域に目立たないようプロジェクター式ヘッドライトが配置される。




正面から見るとまるで往年のスーパーカーのような佇まいだが、ふと見た時にヘッドライト下の空間が広く退屈なのでモディリアーニの人物画のように少し間延びして見えてしまうのは残念だ。(斜め前から見ると違和感は消えるが正面視が弱い)

サイドから見るとプリウスのトライアングルシルエットを継承したようにBピラー頂点に前後は下がっている。2代目プリウスでセダンからLBに変わったときに水平なルーフをもたずに頂点から一気に駆け降りるシルエットは新しかった。空力的な意義は、全高ポイントが前の方がその後の気流を滑らかに後方に流せるので渦ができにくく空気抵抗が小さくなる事だ。



2代目は運転席頭上にピークがあり後席ヘッドクリアランスを犠牲にしていたが、3代目ではピーク位置を後方にずらし後席居住性を改善し、悪化した空力はRrスポイラーの長さを伸ばして先代並みの数値を確保した。そして4代目では再び燃費のために前方にピークを戻し、着座位置を下げることで居住性を確保していた。新型ではさらに着座位置を下げ、手足を投げ出した姿勢にしたうえでホイールベースを伸ばすことで、再びルーフ頂点を後方に飛ばして情緒的なスピード感を手に入れた。



ベルトラインはウエッジシェイプゆえに後方になるにつれて切りあがるが、円弧を使っているのできれいにバランスが取れている。ドア断面はシンプルだが力強い。SUV的なホイールアーチモールと大径タイヤをさらに大径に見せ。また、空力的に整流効果のあるFrタイヤ前の平面が大胆に削られているのは驚いた。サイドから見たときのオーバーハング部の重さが消えて美しい。Rrはコンビランプに特徴的な切れ込みを入れてサイドから見たときにオーバーハングを短く見せてスポーティに見せている。また3ドア感を出すためにRrドア開閉用のハンドルはC-HRの様にベルトライン上に隠された。

Rrビューは離れ文字のエンブレムが今風だし、最近のトヨタデザインの例に漏れず横一文字テールになった。更に特徴的なエクストラウィンドウがなくなった。バックドア斜面の高さが低くなったために実現したのだが、これと同時にRrワイパーまで廃止されてしまったことは残念だ。特に角度の寝たガラスは積層した砂埃で視界を遮りがちだから視界確保のためRrワイパーが必須だ。Rrワイパーを廃止することで風切り音の発生源が消え、構成品がないのでコストダウンでき、軽量化出来たのかも知れないし、Rrビューがスッキリしたことも事実だ。先代のPHVの場合は湾曲したバックドアガラスなので設定できない理由があったが、新型プリウスでRrワイパーが設定できたはずだ。



新型プリウスは、理屈では無く情緒を優先した形状になった。21世紀型セダンパッケージや風洞が形作ったトライアングルシルエットの歴史を考えると異例だ。いくら4代目のデザインが失敗だったからと言え、全てをデザイン優先にする必要があったのだろうか。プリウスのテクノ優等生的なキャラクターには合っていないと思う。ただ、近年ここまでスタイリッシュなクルマが無かったことも事実でありその存在感は認めざるを得ない。

全肯定出来なくても、放っておけない存在感は初代カリーナEDを彷彿とさせた。やはりこのクルマはプリウス・セリカ、或いはEDであるべきなのだ。



●インテリアデザイン
エクステリアの凄さと比べるとインテリアは少しインパクトに欠けている。インパネを横イメージのフローティング風にしたのは2代目プリウスを思い出すちょっとプリウスらしい部分だ。3代目のように風紋をイメージしたシボとか水面の波をイメージしたシフトとかそういうエコイメージは一切廃されている。ただただ奇抜さを追い求めるのでは無くちょっとクールにまとめている点は外観とイメージが合わせてある。



横一列のアンビエントランプは前の車が発進した際にモタつくと運転者に発進を促すなど機能が与えられた。他にはPHEVでグレアだらけで不満だったあの忌々しい縦型ディスプレイが一般的な横型ディスプレイになった事はありがたいのだが、スペシャルティを感じさせる質感に乏しい点が引っかかる。指で触ると堅く、コンコンと叩くと乾いた音がする点が興醒めするほど酷い。2代目ヴィッツのインパネと同じ素材ではないだろうか・・・。



例えばbZ4Xでは樹脂部品の各部のシボが合っておらずチグハグだったインパネと隣り合うトリムとの見栄え(シボ)の差を直してきた。シボの差は素材や成形法、型抜き方向が違うだけで見栄えが変わってしまうもので造り込みに時間がかかる部分だ。プリウスの場合はドア取り側に緩衝地帯を設けて視覚的に分離したのでその差が目立ちにくくなった。また、右左折時に視界に入りやすいAピラーだがガーニッシュを2色にすることでウインドシールドガラスへの映り込みを軽減すると共に視覚的妨害感を緩和しているのも興味深い。



エコカーの尖兵であるbZ4Xと同じステアリングの上方奥に位置するトップマウントメーターもこれまたbZ4Xっぽい。メーターの内周部分から表示を読む旧来のメーターでは無く、ステアリングの外周上から読むデザインになった。ステアリングが小径なのでステアリングを低めにしておけば私の体格ならメーターが見えなくなることはない。むしろ、今までステアリングの内周からメーターをのぞき込んでいたときはメーターの意匠に大きな制約があったし、それを無視した残念なクルマも多かった。



コンソールは比較的高さがあってコックピット感を演出する高さにある。前から後方にカップホルダー、エレクトロシフトマチック、EPB、アームレストという配置だ。面白いのはシフト横に長方形のスリット上の収納スペースがあるのだが、スマートフォン置き場になっている。これなら落ちにくいし運転中によそ見しないように置けるので便利だ。(必要があればスマホ画面をディスプレイオーディオに映せる)

内装で、強く指摘したいのは後方過ぎるシフト位置である。余った位置に置きましたという感じで本来はもっと前に置くべきだ。カップホルダーとの場所取りに負けたのだと思うが、せっかく積極的に走りたくなるシャシー性能を身に着けても車とドライバーをつなぐ部分がこれだと片手落ちだ。

デザインの総評は3★とした。 外観はトヨタの新しいスペシャルティとしては4.5★をつけて良い。しかし新型「プリウス」としてはもっと公共性が欲しかった。失ったものも大きい。内装は、クールな見た目は好ましいが質感の低さとシフト位置がよくない。2★と判断。
走行性能

4

●市街地試乗
レンタカーを借りて試乗した。ドアを開けて運転席に座るとクーペのような包まれ感がある。先代もTNGAによって低重心化が図られたが新型はそれを上回る着座姿勢だ。

起動ボタンを操作してREADYを立ててシフトDレンジに操作したが、位置が後ろ過ぎて非常に操作しにくい。手足を投げ出すパッケージで後方に座っているにも関わらず操作しにくいというのは余程ひどい配置である。事故に繋がる誤操作の懸念もある悪質な配置だ。今更直すにしても恐らく全部やり直しになってしまうから不可能だろう。



オルガン式アクセルペダルを踏んで走り始めて感じるのはトヨタのHEV車は近年グッとモーター駆動の頼もしさがアップし続けていることだ。ちょっと強めに加速しても30km/h手前まではE/Gがかからないし、丁寧に加速させると60km/hを超えてもBEV走行が可能だ。ただ、40km/h当りでキーン音が目立つ。未来の車っぽいという演出に騒音を使う三菱アウトランダーPHEVとは違い、プリウスの場合は単なる歯科クリニックのような耳障りなノイズであり、音を聞くだけで思わず「痛いです!」と手を上げてしまいそうになる。

更に残念なことにE/Gがかかった後の回転数が高めでエンジンノイズが目立つ。音質そのものも快くないので本当にガッカリする瞬間だ。BEVが躍進しているなかでのHEVであるから、このがっかり感をユーザーに感じさせたら負けである。加速Gは増えているのに起動した後のE/G回転が高いので非力な軽自動車のようなラバーバンドフィールを感じるのは勿体ない。E/G起動時の回転数は恐らく最大効率点なのでその回転数で回しつつ、最適な配分で駆動力と発電貯蔵に割り振っている。理屈の上では分かるのだが感性に合わないのだから、それを緩和するプロの味付けが見たかった・・・。

発進加速を続け。E/Gが起動しても50km/h当りを超えてスロットルを戻すと(旧AT車でロックアップが作動したみたいに)スッとE/Gが切れてBEV走行になる。これがガソリンCVT車だと、いっきに低回転駆動になってロックアップこもり音が鬱陶しくなるところだが、E/Gが切れてくれるのはHEVならではと言える。せっかくうっとうしいE/Gの音を聞かなくて済むのに今度は盛大なロードノイズが目立ち始める。路面変化に敏感で荒れたアスファルト路面では会話が難しいほどだ。先代のプリウスと比べるとレベル感は良くなったが、それにしたってまだ満足いくレベルではない。

交差点を右左折させて見たがAピラーは予想通り存在感がある。格好いいデザインの背反なのだが、右折時は後方に引いたドアミラーのお陰で三角窓から何とか見えるものの、左折時はドアトリムが切れ上がっていて死角が多い。どうしても開放感がある方ではないので市街地走行では気を遣う。作り手もそれを理解して全方位カメラやソナーが備わるものの、物理的に見えていないのは事実。
スペシャルティカーならまだしもプリウスとしては割切りすぎだろう。



信号待ちで制動をかけるが、回生感覚は随分と改善されている。カックンブレーキが特徴だったプリウスも一段レベルアップできた。
ただ、停止直前にスティックスリップが起きているのかググググという異音が出ている点はお行儀が悪く、あと少しだ。

市街地での印象はこれまでの自らが作り上げてきたハイブリッド車な的特徴があるに過ぎない。すなわち、モーターによる発進、起動時のE/G音によるがっかり感、アクセルオフですぐにBEV走行、という感覚だ。私のクセでBEV走行が楽しくてできるだけBEVでは知らせようと努力すると、SOC(充電量)が減ってきて発電のためにE/Gを起動させてしまう。この時の回転数が思いのほか高くて悪目立ちする。今までのプリウスも同様に発電をしていたはずなのだが新しいE/Gは効率の良い回転数が高いのだろうか?

●高速道路試乗
ETCゲートを超えて深くアクセルを踏み込むとE/Gがうるさく回りながら車速はどんどん上がっていく。加速感だけならカムリクラスの力強さがあり、かつて2代目プリウスで感じた感動に近い。

全開加速させるとき、E/Gは高回転で出力を出し、更にバッテリーに蓄えた電力をモーターに流している。E/G回転が高いとステアリングが振動し出す。TNGA世代の新型車はステアリング振動が増えたように感じる。



しかし、以前の空力低減に全振りで頼りない乗り味だったプリウスの面影は無く、19吋を履いている割に橋の継ぎ目の乗り越しも印象がいい。FR:ストラット・RR:ダブルウィッシュボーンのサスペンション自体は先代と同じ形式でカローラ系のトーションビーム式サスペンションよりも上等な(複雑な)システムが与えられている。その意味では先代と同じように良路では静かだがやはり路面変化に敏感でゴーという音が盛大に車内に響く路面もある。軽量な複数のリンクで支えられた動きやすいサスは路面からの入力で動かされやすくボディに伝わる経路も多いため気になりやすい。最近のトヨタ車のロードノイズの悪さは制振や振動伝達の遮断がうまくやれていないのかなと個人的には感じた。



風切り音など目立つ騒音は無く淡々と走らせている限り大きな不満はない。状況が良ければモーターのみで走らせてSOCを消費し、再び最大効率でE/Gを回す。(高速域では他の騒音に紛れてE/G音は目立たない)

そして、ジャンクションなどの中高速コーナーでは誰もが操縦性の良さに気づくはずだ。過敏な印象がないのに「曲がらないかも?」という不安感がない。

高速域の上り坂でも力不足を感じるシーンは無く、低い姿勢で挙動が乱されにくい長距離ツアラーとしては中々良いのかも知れない。特に運天支援機能はかなり良くなっており、一旦セットしてしまえば速度管理と進路の維持は車がやってくれるし、その加減速のマナーは人間のフィーリングにもマッチしている。前走者追従の機能故に、ついていく車の運転が怪しい場合は苦しいが、適切な前走者を見つければコバンザメ走法で疲労感を少なく走れる実力がある。

PDA(プロアクティブドライビングアシスト)という装備は、周囲をモニタリングした上で危険になる前に先回りして車が制御を入れるシステムである。例えば今までは車線がはみ出しそうになったらLTAによって操舵支援を行っているが、PDAの場合、もっと早めに支援が入る他、前方車両との車間距離を読み取って減速度を調整している。疲れているときはまぁ悪くないのだが、意のままの走りを味わえるかというと私の気持ち良いスタイルには合わないので基本的にはOFFにして運転した。例えば人に貸す時や、自身が長距離で疲労が蓄積しそうなシーンに限りにお守り代わりにONにしても良いかなと思える。

<乗り心地項へ続く>
乗り心地

3

<走行性能項の続き>

●ワインディング試乗
せっかくなのでワインディング路へ新型プリウスを連れ出した。元々2代目以降のプリウスなら上り坂でパワー不足を感じることはなかったが、そこに確かな操縦安定性が加わった。低転がり抵抗という燃費に直結する性能に囚われてコーナリング時のグリップ感がまるで無かった先々代は、すぐにタイヤが根を上げてスキール音が響いていたワインディングでそれなりの手応えを感じさせながら曲がって見せることに私は驚いた。燃費を捨てたことの最大のメリットはこの操縦性では無いだろうか。



コーナー手前で減速させながらステアリングを切って前輪に荷重を乗せて旋回を開始、アクセル一定で我慢しながらコーナーを曲がり、立ち上がりでは気持ちよく加速できるようになった。

ブレーキフィールが先代よりもリニアになったので踏力で効きをコントロール出来るようになり、積極的にフロントに荷重を乗せる姿勢作りが可能になっているのは評価したい。

操縦性改善の為にFrエンドの剛性対策に力を入れ、ラジサポアッパーサイドの板厚を上げたり
ラジサポ内にBMWの様な筋交いを入れてコーナリング時にボディが変形せずに入力を受けられる様に対策を入れた効果が現われたのであろう。



普段の試乗ではノーマルモードのみを試すのだが今回はSPORTモードを試した。メーター表示にほとんど変更は無いがアクセル操作へのツキが格段に良くなる。小さなアクセル操作で大きく開くような感覚で駆動力が立ち上がる。スポーティに走らせるときはこれくらい強めに駆動力が出ても許容できる。

再びコーナーが近づいてきた。アクセルをオフして軽く制動をかけるがNORMALと違うのはアクセルオフでE/Gを切らずに回転数をほぼ維持したまま待機していてくれる。ターンインして立ち上がりではスロットル全開にするのでここでのレスポンスが格段に良いのがSPORTモードである。加減速を繰り返すワインディングを積極的に走る際はNORMALよりお薦めだ。



段々右へ左へと続くコーナーが楽しみになってくる。たくさんステアリングを操作する機会が増えるのだが、小径正円ハンドルのなんと素晴らしい事か。回す度に位置関係が狂う軸ズレ・楕円・異形ステアリングに対して私は否定的立場だ。新型のステアリングはメーター視認性を気にしなくて良いので更に回しやすい。

操舵時に過大なロールも無く気持ちよく旋回できる。この感覚は主治医チューンのAE92に似ている。4輪のアライメントを調整するときに「よく曲がるように…」と純正+αで調整してくれた今のAE92の感覚を思い出させるのだ。キツめのコーナーで曲がりきれないかも…と思うことが無い反面、曲がりすぎてるかも?と思うシーンがあった。万人のためのシャシーチューニングだともう少し安定志向でも良いのかも知れないが、決して危険なレベルとかそういうことは無い。ちょっとしたワインディングで楽しむのなら充分かもしれない。
重い電池を積んだハイブリッドカーということを考えれば新型プリウスはCR-Z以来の運転が楽しいハイブリッドカーだと言える。

残念なのは車幅が大きいので今回試乗したコースでも旧い区間ではライン取りに気を遣う事だ。車幅が広い車というのはどんなに全長は昔と変わっていなくても車幅による扱いやすさは残る。プリウスを気持ちよく走らせるコースを選ぶ事が必要だ。

新型プリウスの走りをまとめると、ワインディングで類い希な輝きを放つが、それ以外のシーンでは凡庸でさえある。歴代プリウス最大の2.0THSはパワフルだが、そのE/G音質や起動時の回転数などが足を引っ張っている。嫌な言い方だがこの分野で進んでいる日産に学んでいただきたい。日産は自らの技術の弱点(燃費)を分かった上で上質感を訴求する作戦を採っている。トヨタは驕る事無く日産を研究して肩を並べないと、将来的に脅威になる可能性がある。



細かい部分だとエンジンルームとカウルのつなぎ目で音が漏れない様にウェザーストリップでシールしているが両側では成形品のウレタンブロックで隙間が出来ないように塞いでいる。更に運転席側だけは別体のヒレをつけて音が侵入しにくいようなラビリンス構造を採っているなど地道なこともやっている。決してサボっているわけでは無いのだが、まだまだキャラクターチェンジしたプリウスは学ぶことがあると思う。

燃費のために我慢させるのでは無いスペシャルティカーとして考えるならば、もっと静粛性を上げてE/Gの荒々しさを目立たせない方策が必要だ。旧来のエンジン車ならツインカムエンジンの官能的なサウンドを聞かせておけば良かったが、プリウスでは機構上、人間の感性にそぐわない動かし方をせざるを得ない。せっかくE/Gに最も効率の良い働きをさせて居るのにその主役のE/Gによって印象が悪化するなんてE/Gにとってはお気の毒な話である。



いっそのことE/G音が気にならない静粛性を与えて電動感あふれる電動スペシャルティカー的な立ち位置まで昇華させるべきだ。そうすれば、操縦性の良さと相まって令和のスペシャルティカー的な乗り味となるだろう。

動力性能は4★、操縦安定性は4★、乗り心地は4★、静粛性は3★である。
積載性

3

初代プリウスは21世紀型セダンのパッケージとして、キャブフォワードでアップライトな着座姿勢を採らせることで短い全長を有効活用していたが、新型はその真逆を行くパッケージングである。



先代と比べても全高を落とし、寝そべった姿勢を取らせ、それを成立させるためにホイールベースも伸ばした。なるべくシート位置を下げサンバイザ取り付け位置が迫ってこないようにシートバックを倒した。MT車では無いのでペダルに対して座る場所の自由度はあるのでクーペライクなポジションを取れば、ヘッドクリアランスは私の座高(高い)でもこぶし1.5個分の余裕があるし、RAV4やカムリと違いステアリングオフセットは比較的小さく、オルガン式アクセルペダルを採用しているのでまぁ何とか運転する姿勢は取れている。ただ、前述した通りシフト操作性は最低レベルで悪いのでこの点は注意が必要だ。

このギリギリ成立した運転姿勢が許されるのはMT車が無いからであり、同じようにECT-Sだったからうまく行った初代カリーナEDを思い出した。

後席は流石に広々とは呼べないが、ヘッドクリアランスはこぶし0.5、膝前スペースはこぶし2個分を達成。太もも裏のサポートが不足気味で実際は尻を前にずらしてダランと座らせるパッケージである。後席はRrクーラー吹出し口が無い事からも分かるように座れることは保証しているが、正しさ・快適性は二の次である。

セリカやカリーナEDも2+2であるように新型プリウスは現代の2+2なのである。



それでは後席を重視するなら正統派セダンのカローラの方が真っ当かと問われると話はそんなに単純では無い。カローラの場合はホイールベースが短い(プリウス比△110mm)ため、レッグスペースが狭く、Frシート下に足を入れたくなるのにTNGA式シートの取り付け構造(シートをボディに直付け)のせいで綺麗に足が収まらず、斜めに入れる他無いのである。プリウスの場合はホイールベースがその問題を有耶無耶にしてくれるので、むしろプリウスの方がマシなのだ。トラディショナルな本流セダンよりハイブリッド新気流のプリウスの方が見方によってはマシだなんて皮肉なものだ。(カローラアクシオはさすがにマシだ。)

ただし、私は意外とプリウスのパッケージングを評価しているのはBEVの様に床が高くなっていないからである。プリウスの外観でBEVを作ることは難しい。それは床下に広大なバッテリーを搭載するからだ。必要最低限のバッテリーを後席乗員の下に追いやってフロアの低さを確保しているから、あの様なデザインが可能となったのだ。そう言えばカリーナEDの場合はFFとすることでセンタートンネルを小型化し、乗員のカップルディスタンスを接近させデザインに寸法を使っている。プリウスの場合は内燃機関を搭載するハイブリッドカーだからこそスーパーカールックを実現したのである。



ラゲージはVDA方による測定でPHEVが342Lと広くは無いが、2.0HEVで410L、1.8HEVで422Lというスペースがある。5ドアHBの容量としては寂しいが、本格的クーペやHTと考えるならまぁまぁ実用的な容積と言える。特にPHEVはレイアウトの工夫でデッキ床面を下げることに成功しており、先代PHVの携帯歯磨きセットやジャポニカ学習帳くらいしか積めない(比喩)うすうすラゲージとは一線を画す進化を見せた。こういう部分は着実に進化している。更に荷物が当たってトリム・荷物双方を傷つけないカーペット式にグレードアップしたのはペラッペラであることを差し引いても朗報である。



そして試乗車で驚いたのはラゲージ右側に現われたDINバッテリーである。一般的にはデッキ下の分かりにくいところに配置するのが常識的配置なのだがドーンと救急箱の様な箱が置いてあり、その中にバッテリーが置かれている。何とも粗雑な処理なのだが、ここを洗練させようとするとどんどん荷室が狭くなっていくのである。例えばサムソナイトやゴルフバッグ、車椅子など企画上どうしても積みたい荷物があるので見栄えより容量を選んだのだろう。しかもプリウスの場合Rrオーバーハングが先代より50mmも短く、絞り込まれた意匠なのでこうする他無かったのだろう。



居住性に関しては工夫も見られるが絶対的には万人に勧められるものでは無く2.5★、ラゲージはスペシャルティカー的としてみれば★3である。平均して四捨五入して★3。
燃費

3

21世紀に間に合いましたの初代プリウスはCO2削減のトヨタの出した一つの回答だった。当時は10・15モードで28km/Lという燃費を発揮し、度肝を抜いたが地道な改良によって31.0km/Lになり、35.5km/Lになり、38.0km/Lを超え、初代発売の20年後には更に厳しいJC08モードで40.8km/L(1.45倍)を達成するに至った。ただし、当時からこの手のエコカーの輝かしい燃費値は実燃費との解離が大きいことが知られていた。

2022年式の場合はWLTCモードで32.1km/Lを達成していたが、新型の場合、1.8THSが32.6km/Lと現状維持、今回試乗した2.0THSは28.6km/L(17吋は31.5km/L)であった。つまり歴代プリウスのなかで初めて燃費が悪化したモデルなのである。



良い機会なので歴代プリウスの燃費をまとめてみた。燃費測定モードが時代によって異なるが、併記されているものから単純な比率計算で見積もりを行っている。公式値ではないので注意されたし。

カタログ値そのものは水色、見積もったものは黄色→橙色の順に精度が悪化する。

参考のためe燃費とみんカラ平均も併記したのでおおよその傾向はつかめるのでは無いか。

歴代を見ていると2代目→3代目で実燃費が悪化しているが、これは排気量が1.8Lになったからで、欧州での燃費向上のためにはE/G出力を強化して回転数を下げる必要があったためだ。100km/h走行時の参考回転数は1.5Lの2代目が3000rpm、1.8Lの3代目は2400rpmに下がったとされる。その分、一般的な市街地が多い実燃費では数値が悪化するのである。新型も排気量が2.0Lとなったことで燃費の悪化が見られるが、カタログ値まで下がったのはその分を走りに振ったという結果だろう。

ちなみに私が走らせた結果は、市街地メインだと22.9km/L、燃費を意識して走らせると27.3km/L程度まで伸びた。(ワインディングを走らせたときは15km/L程度まで悪化した。)



その意味では今でも燃費を気にすればハイブリッドらしい燃費は出せるようだが、燃費のプリウスという名声からは少し距離を置いた様に感じられる。もちろん私は燃費至上主義に対して否定的立場の人間だが、そんな私でもプリウスが燃費を捨てたとするならばショックを隠しきれない。

例えるなら、まるでニュルの記録を諦めたシビックタイプRとか、遊んでばかりで桜吹雪を見せない遠山の金さんのような違和感である。

同じE/Gに旧世代THSを組み合わせるUX250hはWLTCモード燃費が22.8km/Lなので確かにそれよりは良いのだが、1滴のガソリンにどれだけの仕事をさせるのか、大人四人を乗せて最も燃料を使わずに移動できる世界一のクルマだったプリウスの燃費としては少しインパクトに欠けるというか寂しいものがある。
価格

3

新型プリウスの価格は下記のとおりである。



グレードがシンプルで分かり易い。PHEVは最上級のZのみの設定。2.0HEVは上級のZと普及版のGの二機種。1.8HEVはKINTO専用のUとビジネスユースのためのXと分かり易い。

従来のSやGツーリングの様なグレード構成は無くなった。

2.0PHEV/HEVは流面形セリカ風に表現すればPHEV_Z→GT-FOUR、HEV_Z→GT-R、HEV_G→GTとでも読み替えるとイメージがしやすいだろう。そのセリカには1.6GTがあったので、1.8HEVにもそれに相当する1.8G的な上級グレードがあってもよさそうなものだが、メーカーとして推したいスペシャルティとしての主役はTHS2.0のZとGである。

1.8Lも実は新世代THSを採用しており、未試乗ながらノアの経験からすれば進化が感じられるはずなのだ。ところが、設定されるグレードは全てエキセントリックで上級のUはOPTが豊富かつ購入後も機能の後付け(予約設計)が出来るのにKINTO専用である。興味を持った人も「あ、KINTO専用・・・・あ、そうなんですか・・・」で終わってしまいそうな予感だ。

エントリーグレードとしてのXもあるが、これは従来の営業車グレードを引き継いだキャラクターである。なるべく一般人に買わせないように・・・・だけど大口のお客様を失いたくないという切なる願いが垣間見える。

それこそ流面形セリカや初代カリーナEDの時代なら、1.8HEVの上級仕様や2.0HEVの廉価仕様など幅広く用意しただろう。18吋のアルミを作っておいて伝統のホイールキャップを履かせて、内装色も明るいものを用意して・・・という具合だ。

それをしないのは顧客の注意をそらさず、需要の分散を防ぎ、購入が視野に入り仕様にこだわり始めた見込み客に上級仕様へ誘い込むためだ。1.8HEVか2.0HEVかの選択肢では1.8HEVを買わせず、2.0HEVに誘導することでプリウスの持つスポーティな魅力が得られるだろう。

次にGかZかの比較となるのだが、自分がこの中で買うならGである。Zと比べて黒艶外装、アクセサリーランプ(フォグ風)など外装の違いや内装がワイヤレス充電や合皮シートに変更され、パワーバックドアや12.3吋ディスプレイオーディオなど機能面も充実する。更にボディカラーの選択肢が増えるため、予算に余裕があればZを買えば良いと思うのだが、私はGで充分だと思う。

プリウスの持つ走りの良さはGでも充分感じられるからだ。予算があればZを選ぶに越したことはないが税抜き290.9万円と考えるならまぁまぁ納得できるレベルかなと思う。(Zは336.4万円)

ただ、Zになると運転支援系の安全装備が専用で装着されるが、Gには設定すら無い。最近のトヨタをはじめとする各社の装備設定は上級には先進安全装備をアクセサリーとして装着、それ以外のグレードは限定的な装備展開とする例が多い。自動車の負の側面である交通事故によって不幸な人たちを量産しないために安全装備くらいは追加設定できるようにしておくのがトップ企業としての責任では無いだろうか。なぜUにはつけられる緊急時操舵支援がつけられないのか。自動駐車機能は快適装備として考えれば良いが緊急時操舵支援のOPT設定はあっても良いのではと思う。

最上級グレードとその下グレードの関係に関して、例えばST191系コロナは2.0EXサルーン(189.2万円)と2.0EXサルーンG(213.2万円)の価格差は24万円、ST202系コロナEXiVの2.0TR-R(192.3万円)、2.0TR-X(199.8万円)、2.0ツインカム16TR-G(228万円)は価格差7.5万円、28.2万円であり、これら相場と比べると新型プリウスは50万円(税抜45.5万円)はちょっと高すぎる。

現代の例で言えばカローラセダンの1.8HEVの最上級のW×Bと最廉価Xの価格差が42万円であることを考えると、やはりプリウスのZとGは開きすぎているのである。(中間のGとの価格差は23万円)

Gに対してもう少しグレードアップできるような安全装備や快適装備の一部をMOPで設定できるような配慮があっても良かったと思う。敢えてそれをやらないのは残価設定型クレジットでZを選ばせる作戦の一つなのだろう。

私が買う立場ならどうにもZとGの価格差が大きすぎて、メーカー側の思惑も分かり易すぎてGを選びたくなる。私以外にもそういう人は居て、会社の先輩は予約でプリウスを買ったが、装備と価格のバランスでGにしたと聞いた。ただ、5年以降は課金が必要なナビや安全装備が追加できない点などは不満だ。ボディカラーもZよりも選択肢が狭いが、マスタード色はST205/ZZT231っぽくて嫌いじゃない。流行的にはポリメタルグレー風のアッシュなのだろうけれど・・・・。

いつまでも215万円(初代の価格)で売れとは思わない。Zが370万円であることに異論は唱えないが、本当にプリウスをコモディティ化に反して愛車にしていくと言うのなら選択肢をキチンと残す事は必要だ。

価格は決して安くないしお買い得でも無い。スペシャルティカー的なキャラクターならそれは構わない。せっかく希少なスペシャルティカーとなったのだから予算に応じてプリウスに乗れる様にして欲しい。例えばセリカにはGTが君臨していてもLTやETもあったし、カリーナEDにもXだけでは無くLやFもあった。

1.8THSの上級グレードと2.0THSのGとZの中間を埋めるセットオプションなどがあると良い。
故障経験
大き目の問題としてバックドアの早期破損という事例がネット上で話題になっている。

今回取り上げるのは故障というわけでは無いが新型プリウスは品質「感」につながる部分で色々と勿体ない部分についてである。

例えばバックドアとルーフの間のチリが何だか広いなという感じがした。余りにも気になったので某正規ディーラーで過去の修理書を見せていただいた。修理書にはバックドアの隙の基準値が記載されているからだ。



調べてみると興味深いことに新型は歴代の中でワースト隙になっていた。実際の修理書は中央値が書かれていないものもあるので電卓を叩いて求めた。精度に対して鈍感な設計は建付け修正の手間を省いてくれるのだが、プリウスの該当部は大人の目線だとよく見える場所であり、隙間が空くことで中が見えて見栄えが悪い他、一般的には風切り音にも不利なはずである。(チリやダンチで気流が乱れるからだ)



マツダ3に乗ったときはここゴム製のシールが設定してあったのだがプリウスの場合、開閉軌跡を見れば設定できないくらい追い込んだ設計になっていた。デザイン優先のためにチリが大きくなるというのも本末転倒のように思う。



他にもパノラマルーフのシェード端末がぐにゃぐにゃだったり、ボンネット裏のインシュレータの
不織布の目付がしょぼ過ぎて風呂場の排水溝みたいになっている点はちっともスペシャルティじゃない。




車体の各部にPRIUSロゴを散りばめているのは愛着を高めるかも知れない新しい試みだと思うが、昔なら当然造り込んできたような部分は手を抜かずトヨタの良さを維持して欲しい。


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