トヨタ プリウス 「役割が変化した「ハイブリッド車の金字塔」」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

瓜生洋明
瓜生洋明(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
3
燃費
5
価格
4

役割が変化した「ハイブリッド車の金字塔」

2023.11.30

年式
2023年1月〜モデル
総評
ハイブリッド車の金字塔であるプリウスも、電動化が進んだ現在ではその役割を終えつつある。そうした流れを即座にキャッチしてエクステリアデザインに大胆な変更を加えるあたりは、さすがトヨタといったところ。見た目の印象は大きく変わったとは言え、高い燃費性能はもちろん健在。走りや使い勝手も含めた総合力は非常に高い1台であり「間違いのないクルマ」であると言える。ただ、かつてのプリウスのような衝撃はもはやなく、良くも悪くもトヨタのラインナップの1台となっているため、圧倒的な先進性を期待してはいけない。
満足している点
大胆に生まれ変わったエクステリアデザインばかりに目が行きがちだが、燃費性能や走り、使い勝手、価格などが高いレベルでバランスされていることが大きな魅力であり、やはり多くの人に向けられた大衆的なエコカーであることは間違いない。そのうえで、スポーティかつ先進的なエクステリアデザインにより「妥協の結果として選ぶクルマ」ではなく「積極的に選びたくなるクルマ」となっているのは、トヨタの底力がなせる技と言えそうだ。
不満な点
挑戦的なエクステリアデザインは大きな魅力である一方、クルマ全体として見るとエクステリアデザインだけが先走りしすぎているようにも感じる。特に、インテリアのデザインや機能性は先代と大きく変わっておらず、ややチグハグな印象を覚える。また、エントリーグレードはサブスクリプションサービスの「KINTO」のみとなっているなど、売り手優位な姿勢が見られる。プリウスというネームバリューがなせる技と考えることもできるが、過去の栄光にすがっているようにも思える。クルマとしての出来は申し分ないが、そもそものコンセプトの面で、理想と現実の狭間で苦悩した様子が随所に見て取れるのが気になるところである。
デザイン

3

エクステリアは歴代プリウスに見られる「モノフォルムシルエット」を受け継ぎつつも、より低くなった全高や「ハンマーヘッド」をモチーフとしたフロントマスク、そして大径タイヤの採用などによって近未来的なデザインとなった。これからのプリウスの方向性を示す意欲的なデザインであることは評価できるが、万人受けするものではないことも事実であるため、「プリウス」という名前だけで選ぶことは避けたほうが無難かもしれない。インテリアはエクステリアほど挑戦が見られない印象。トヨタとしては初採用となる「イルミネーション通知システム」など先進的な要素は見られるものの、せっかくならインテリアにも大胆なデザインを採り入れてほしかった。
走行性能

4

TNGAプラットフォームや剛性感の高いボディ、そして進化したハイブリッドシステムから得られる走りの良さは、先代をはるかにしのぐ。燃費性能の高さも含めて、その走りは現代のハイブリッド車における到達点のひとつと言っても過言ではない。ただ、そのルックスからスポーツカーのような走りを期待しすぎると、やや物足りなさを感じてしまうかもしれない。そう考えると、あくまでも「スポーティなエコカー」であると考えたほうがよさそうだ。
乗り心地

3

低い全高とは裏腹に、運転席と助手席は一定のヘッドクリアランスが用意されている点は好印象。ただし、後部座席はやはり多少の窮屈さを感じざるを得ず、後部座席を常に利用することを想定している場合には注意が必要。走行中の室内は非常に静かではあるものの、大径タイヤの影響などからやや固さを感じる部分も。乗り心地を重視するなら、ホイールのダウンサイジングは必須かもしれない。
積載性

3

ボディサイズやパッケージングを考えると、ラゲッジスペースの広さは必要十分。室内の収納もオーソドックスな内容ではあるが、実用上大きな不満はなさそう。このプリウスを見るのであれば「4ドアのスポーツカー」として、使い勝手はむしろ十分すぎるほどと言えるかもしれない。ただ、先代プリウスと比較すると大きな変化が見られないのも事実。
燃費

5

燃費性能を追求するクルマとしての役割はすでに終えているため、カタログ燃費を見ても先代と比べて数値が大きく向上しているわけではない。実際のところ、燃費性能だけを求めるならプリウス以外の選択肢は多くあるのは事実。しかし、走りやデザイン、使い勝手などクルマとして高い総合力を持っているうえでこれほどの燃費性能を実現していることを考えると、やはりプリウスにはハイブリッド車として一日の長があると感じる。
価格

4

総合力を考えると、十分妥当な価格帯。むしろランニングコストやリセールバリューの高さを考えると、コストパフォーマンスは非常に高い1台と言える。その一方で、エントリーグレードがサブスクリプションサービスの「KINTO」専用車となるなど、ユーザーの選択肢が狭まってしまっているのが気になるところだ。
瓜生洋明
瓜生洋明
自動車ジャーナリスト
1987年生まれ。大手IT企業や外資系出版社を経て2017年に株式会社ピーコックブルーを創業。現在では平均年齢25歳のメンバーとともに毎月300本超の記事を配信している。愛車のボディカラーを社名にするほどのエンスージアストだが、新しいテクノロジーへの関心も強く、最新モデルは常にチェックしている。
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