トヨタ ランドクルーザープラド 「いま積極的に選ぶ理由はない」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

瓜生洋明
瓜生洋明(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

2

デザイン
2
走行性能
3
乗り心地
3
積載性
4
燃費
2
価格
2

いま積極的に選ぶ理由はない

2023.11.30

年式
2009年9月〜モデル
総評
発売からかなりの年月が経過してはいるものの、たび重なるアップデートによって実用面では大きな不満を感じることはなさそう。決して小さくはないものの、ランドクルーザー300と比べてひと回り小さいボディは取り回しもしやすく、ライトデューティなモデルというシリーズにおける役割を十分に果たしている。ただ、発売当初からランドクルーザー(200系)の廉価版という印象が拭えず、新型となるランドクルーザー300の登場以降はその傾向がさらに増している。さらに言えば、優れたクロスオーバーSUVが多く登場している現在では、「ライトデューティなランドクルーザー」にどれだけのニーズがあるのか定かではない。一方、実質的な後継であるランドクルーザー250がまもなく登場する予定。ランドクルーザー250は、高級SUVとしての性格が強いランドクルーザー300に対して、無骨なデザインをもったキャラクターの異なる1台となるなど、ランドクルーザー300の廉価版という印象はない。そう考えると、現時点ではランドクルーザープラドを積極的に選ぶ理由はほとんどないと言わざるを得ない。
満足している点
「ランドクルーザー」の名前を冠したモデルだけあり、堂々たるボディや高い悪路走破性能、そして耐久性の高さは抜群。また、ランドクルーザー300と比べて、車両価格はもちろん自動車税や燃費を含めたランニングコストが安いのも大きな魅力。リセールバリューも高いため、トータルのコストパフォーマンスはかなり高いと言える。
不満な点
2009年に登場したモデルということもあり、内外装のデザインや機能装備など、随所に古さが目立ちつつある。さらに、現在ではランドクルーザーシリーズの「本流」であるランドクルーザー300や、魅力的なクロスオーバーSUVが数多く登場しているため、そのポジションがやや中途半端となってしまっている。そうした中で、あえてこの年式のランドクルーザープラドを選ぶ理由がないというのが正直なところだ。
デザイン

2

マイナーチェンジによってフロントマスクは現代的にアップデートされてはいるものの、さすがに古さが目立ち始めている。ただ、それ以前に致命的なのは全高に対してやや寸足らずな全幅だ。ライトデューティモデルとしての実用性を考慮した結果と考えられるが、クルマのデザインの理想とされる「ワイド&ロー」の真逆となってしまっており、バランスの悪さが拭えない。インテリアのデザインには品の良さが感じられるが、こちらも全体的にひと昔前のデザインとなってしまっているのが気になるところ。その点、まもなく登場する予定のランドクルーザー250は、伝統的なクロスカントリービークルのデザインとモダンさを兼ね備えたデザインとなっており、ランドクルーザープラドの課題を払拭していると言える。
走行性能

3

ガソリン車もディーゼル車も、大柄なボディを感じさせないスムーズな走り出しを実現している点は好印象。また、ラダーフレームと本格的な4WD機能による悪路走破性能の高さは言うまでもなく、その点についてはさすがランドクルーザーシリーズの一員といったところだ。全高に対して全幅が寸足らずな点も、取り回しのしやすさには貢献している。ただし、燃費性能や高速走行時の安定性については一般的なクロスオーバーSUVとは比べるまでもなく悪い。
乗り心地

3

本格的な悪路走破性能を持ったクロスカントリービークルとして見れば、可もなく不可もなくといったところ。ただ、現実的な比較検討の対象となるであろうクロスオーバーSUVと比べると、地面からの突き上げや走行時の騒音が大きく、ゆとりのある室内空間を持っていることを差し引いても決して乗り心地のいいクルマとは言えない。
積載性

4

大柄なボディであるだけに、積載性の高さは一般的なクロスオーバーSUVをしのぐものとなっている。シートアレンジによってフラットかつ広大なラゲッジスペースを生み出すこともできるので、大きな荷物を積むことはもちろん、車中泊などにも向いている1台と言えそうだ。また、サードシートの格納はスイッチを押すだけの電動式であるなど、使い勝手は悪くない。また、それ以外の収納スペースも必要十分なものがそろっている。
燃費

2

燃費性能を重視するクルマではないと言ってしまえばそれまでだが、ディーゼル車で11.2km/L、ガソリン車で8.3km/Lというカタログ燃費はお世辞にもいいとは言えない。87Lという大型のタンクを満たすためには、1回の給油あたり1万5000円程度の出費が必要と考えると、なかなか厳しいものがある。強いて言えば、大型タンクのおかげで航続距離自体は1000km程度と余裕をもった数字となっているのがポイントか。
価格

2

367万6000円〜511万8000円という価格は、このクルマの持つ性能を考えたら割安というべきもの。リセールバリューも高いため、売却時には意外とお得感を感じることができるかもしれない。ただ現実的な問題として、この値段を支払うのであれば、トヨタ・RAV4のようなクロスオーバーSUVを選ぶこともできるし、あるいはそれを頭金にランドクルーザー300を選ぶこともできる。そうなると、ランドクルーザープラドを積極的に選ぶ理由が薄れてしまうのが実際のところだ。
瓜生洋明
瓜生洋明
自動車ジャーナリスト
1987年生まれ。大手IT企業や外資系出版社を経て2017年に株式会社ピーコックブルーを創業。現在では平均年齢25歳のメンバーとともに毎月300本超の記事を配信している。愛車のボディカラーを社名にするほどのエンスージアストだが、新しいテクノロジーへの関心も強く、最新モデルは常にチェックしている。
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