トヨタ ランドクルーザー300 「あらゆる意味で「最も損をしにくいモデル」」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

瓜生洋明
瓜生洋明(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
3
走行性能
3
乗り心地
2
積載性
4
燃費
2
価格
5

あらゆる意味で「最も損をしにくいモデル」

2024.2.29

年式
2021年8月〜モデル
総評
その圧倒的な存在感と世界最高レベルの悪路走破性能、所有欲を満たすブランド力、そしてリセールバリューの高さなどを考えると、購入を検討しているユーザーに対しては掛け値なしにおすすめできるモデルだ。ただし、そもそもランドクルーザー300を入手すること自体に高いハードルがあることは覚悟しておかなければならない。逆に言えば、もし購入できる環境が整っているなら、迷うことなく購入すべきである。
満足している点
その悪路走破性能もさることながら、クロスカントリー車の世界最高峰のひとつであるという満足感は、ほかのモデルでは絶対に得ることができないものだろう。また、より現実的な視点で言えば、国産車としてはトップクラスのリセールバリューを誇っていることも大きな魅力だ。コンディションとタイミング次第ではあるが、新車価格と同等以上の価格で売却できる可能性のあるモデルは少ない。そういう意味では、ユーザーが最も損をしにくいモデルであると言えるかもしれない。
不満な点
モデルそのものに大きな不満はない。たしかに、乗り心地や燃費性能については一般的なクロスオーバーSUVなどと比べて格段に落ちるのは事実であるが、逆に言えば、そこに不満を持つようなら、そもそもランドクルーザー300を選ぶべきではないと言えるだろう。それ以外で不満があると言えば、やはり極端に入手が困難であること。苦労して入手する価値のあるモデルであることは言うまでもないが、せめてもう少し見通しが立ってくれれば、と切に願うばかりだ。
デザイン

3

歴代モデルから受け継がれるスクエアなシルエットは、ランドクルーザー300でも健在だ。ランドクルーザー300のデザインを構成するあらゆる要素は、「デザインのためのデザイン」ではなく、「どこへでも行き、生きて帰って来られるクルマ」というランドクルーザーシリーズのコンセプトを具現化したものであり、機能美を表していると言える。一方、フロントマスクに関しては、昨今のトレンドを反映させた押し出しの強いものが採用されている。ここは好みの分かれるところではあるが、個人的には「GR SPORT」のほうがそのほかのグレードのフロントマスクよりも収まりがよいように思う。
走行性能

3

オフロードにおける走行性能については、言うまでもなく申し分ない。一方、パワフル&トルクフルなパワートレインは、2000kgをゆうに超えるボディを軽々と走らせることができるため、オンロードにおける走行性能も決して悪くない。もちろん、一定以上の速度になると、静粛性や横揺れ、路面の突き上げなどを感じるが、市街地をゆったりと走る分には、意外なほどに運転しやすいと感じるかもしれない。この点は、先代から大幅な軽量化を果たしたことが大きく貢献していると言えそうだ。また、先進安全運転支援システムもアップデートされているため、その巨体の取り回しにさえ慣れてしまえば、一般的なクロスオーバーSUVのように利用することも難しくはないだろう。
乗り心地

2

オンロードにおける乗り心地という意味では、決して極上ではない。特に高速走行時においては、静粛性や横揺れ、路面の凹凸による突き上げなどさまざまな面で一般的なクロスオーバーSUVの後塵を拝している。もちろん、それはオフロードにおける世界最高レベルの走行性能を持つことの裏返しなのであるが、日本国内においてはほとんどのユーザーがオンロードでの走行に終止することを考えると、乗り心地についてはやはり厳しい評価をせざるを得ない。
積載性

4

国産車屈指の大柄なボディを持つモデルであるだけに、その積載性は必要十分以上のものと言える。さらに、多彩なシートアレンジも可能であるなど、使い勝手も悪くない。ただ、乗用車に比べてボディ全体が非常に強固につくられているため、見かけのわりに荷室の高さや幅が小さいと感じるかもしれない。日常的な利用で問題になることはまずないと思われるが、キャンプやサーフィンなどで大きな荷物を積載する予定の方は、事前によく確認しておいたほうが無難だろう。
燃費

2

燃費性能に期待してランドクルーザー300を選ぶユーザーはまずいないと思われるが、それにしても悪い。ディーゼルモデルを選ぶことによって燃料費を多少浮かせることができるものの、ディーゼルモデルは5人乗り仕様のみとなっているのが悩ましいところだ。いずれにせよ、燃費性能(燃料費)に関しては一定の覚悟が必要だろう。
価格

5

ランドクルーザー300は、ランドクルーザーシリーズのなかでは最も高級なSUVという側面が強いにもかかわらず、この価格帯に収めることができているのはトヨタの企業努力のなせる技と言うほかない。リセールバリューの良さも踏まえると、さらにコストパフォーマンスが高まるというのもランドクルーザーシリーズの大きな特徴だ。ただ、新車の供給が追いついていない現状、新車価格がほとんど意味を成していない点には注意が必要だ。
瓜生洋明
瓜生洋明
自動車ジャーナリスト
1987年生まれ。大手IT企業や外資系出版社を経て2017年に株式会社ピーコックブルーを創業。現在では平均年齢25歳のメンバーとともに毎月300本超の記事を配信している。愛車のボディカラーを社名にするほどのエンスージアストだが、新しいテクノロジーへの関心も強く、最新モデルは常にチェックしている。
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