トヨタ ハリアーハイブリッド 「真ん中グレードで充分いいクルマ！でも、足りないところもある」のユーザーレビュー

真ん中グレードで充分いいクルマ！でも、足りないところもある

2025.1.3

総評

全体的な質感としては値段相応と言えるレベルにある。ただ、改善すべき点もそれなりにある為、コスパの良さという点ではイマイチ。
クルマのジャンルが違うと言われかねないが、これより前に乗ったスバル・レヴォーグがこれより遥かに安く、それでいてトータルのコスパが高いことを考えると首を傾げざるを得ない。このクルマ単体として見ればよくまとまったSUVになっていると思う。

満足している点

・エレガントさがあって質感高く見えるデザイン
・ガソリンエンジンでは物足りないパワーもハイブリッドなら充分
・MC後はトヨタ車にありがちなバタバタと暴れるカタさがなく一段上質な乗り心地になっている
・100km／hまでの静粛性が高い。また、エンジンがかかった時の音や振動の侵入が少ない

不満な点

・ノーマルなら上品なデザインもエアロをつけると威圧感100倍
・シート座面が柔らかい。1時間以上運転していたら腰が痛くなった…。
・エンジンスタート（POWER）スイッチの謎配置
・一部の操作系の質感がヤリスクラスと同じなのは？
・ブレーキの容量不足。特にリヤがほぼ効いてない
・Aピラー、Cピラーのデザインと太さによって右左折時に死角が生まれる瞬間が必ずある
・スピードやドライブモードによってちょくちょく変化する電動パワステのフィーリング
・100km／hを超えると急激に出てくる大きな風切り音とタイヤノイズの強まり

デザイン

4

外装はエレガントでオシャレなデザインになっていていいと思う。ただ、それはあくまでGグレード以上でノーマルのままの場合の話。どう言うことかといえば、廉価なSグレードではG以上と見た目だけでも差が激しく、「無理して買う」感が否めない。
また、オプションのエアロは悪くないのかもしれないが、僕に言わせれば威圧感ばかりが増しているように見え、せっかくこのクルマの持つ上品な雰囲気を台無しにしている気がしてならない。
内装もG以上になれば目につくところにはソフトパッドや合皮などの質感の高く見える素材をしっかり使っていて良い。ただ、それだけに所々に見えるハードプラにコストカットの匂いを逆に強く感じてしまうのが悲しいところ。
例えばハンドルなんか一番分かりやすい。せっかくドライバーが握るスポーク部には触り心地の良い上質な素材を使っているのにホーンパッドはハードプラ。おまけにスイッチ類のグニャグニャした安っぽい質感は格下のクルマと丸っきり同じ。このギャップに萎えてしまうのだ。
その他も気になるところがある。先述のスタートスイッチの配置は多分国産車ナンバーワンレベルで謎だし、どう考えてもその奥のタイプC充電口のアクセスに差し支えるのでは？
シフトノブは操作感こそ悪くないのだが、どうしてこんな凝った形状なのか。もっとシンプルでいいのに。大事なのは握りやすさですよ？
シートは運転席の調整が電動になっていてランバーサポートもついてるのはありがたいのだが、どうして助手席にはないの？助手席のシート横にボタンではなくレバーがあるのを見て僕は驚きました。…ランバーサポート？何それ？美味しいの？
後席はリクライニング角度こそほとんどないもののデフォルトの背もたれの角度をゆったりとしてくれたのでそれでちゃんと帳消しになっている。座ってみたが、全然これで長距離でもいけると思う。

走行性能

4

パワーユニットはアル／ヴェルやRAV4、レクサスにも多い2.5Lのものなので、1.7ｔ近くある車重に対してほぼこと足りている。もう少し欲を言えば、加速の際のトルクが専らモーターのトルクに頼っている印象なのでエンジン単体のトルクがもう少し欲しい。
いいと思ったのは、今までのトヨタHV車よりもエンジンがかかった時の音や振動の侵入が明らかに少なく抑えられていること。これだけでも質感の向上には大きく一役買っている。
ボディやサスペンションもしっかりしている。ただ、サスペンションの運動性能はフロントがリヤに対して負けてる印象。
その理由は、リヤには大きく重いHVバッテリーが載っている為、それを受け止められるだけのサスの剛性と併せて運動性能を両立することが必要なので、フロントより更に造りの良いサスが奢られている。結果的にリヤは安定感も良く出ている。対してフロントサスの造りが悪い訳ではないのだが、トータルでリヤの方が勝ってしまったが為にフロントが負けていると感じてしまうのだ。
その為、カーブではフロントタイヤの限界まではこんな重いクルマとは思えないほどよく曲がるが、限界がくると重さでフロントが押されてアンダーステアが出ると言った具合になる。
ここからは先述の不満点でも挙げたが、Aピラーが寝ていること、そしてCピラーが太いことで右左折の際に必ずと言っていいほど死角が生まれる。後方の小さな三角窓では巻き込み確認には全く役に立たない。
また、これはこのクルマに限った話ではないが、電動パワステのフィーリングがどうもしっくりこない。スピードやドライブモード、その時の状況によってクルマ側で色々考えてくれているのはありがたいのだが、実際乗っている身としては「え、今ですか？」というタイミングで軽くなってみたり、逆に妙に重過ぎる時などがあり、これが感じる感覚としてナチュラルではない。一言で斬れば気持ち悪い。恐らくこれは行き過ぎた制御である。駐車の時はラクでいいんだけどね。
また、ブレーキがあまり効かない。それもブレーキをかけても最初の2、3割は全く効いてる感じがしない。また、効いてきてもフロントばかりになってるようで、リヤが全くと言っていいほど効いてないように感じる。
実際、ブレーキをかけると重さが一気にフロントにいってるのが感じられるし、仮にリヤブレーキが効いてたとしても重さがフロントにいってしまってタイヤには荷重が全然かかってないのでそのパワーは恐らく全然伝わってないと思う。
これはもっとブレーキバランスをリヤ寄りに振らないといけないし、そもそもの容量も足りてないのでキャリパー、パッド、ローターなんか大きくしないといけないし、もっと言えばこれだけ重いクルマならピストンはシングルでなく最低でも2ポットが欲しいところ。
これは高速を走ってる時に気になったのだが、100km／hまでは静かに走ってくれて良かったものが、これを超えると急激に今までなかった風切り音がビュービューと大きな音を立てて入るようになる。その大きさは会話やオーディオの音に遮りを入れてくるレベル。100km／h以上で走ることなんてと思うかもしれないが、ハリアーでそのスピードなら普通に見かけるし、まして今やこの世には120km／h制限の新東名高速だってあるのだ。これは要改善だろう。

乗り心地

4

乗り心地は良い。ハリアーはMC前のにも一度乗ったことがあるが、それは高級車らしからぬカタさばかりが目立つものだった。
しかし、これは良くなってる。恐らくダンパーとショック、ブッシュ類が見直されている。本当はコイルスプリングも動かす方向にして欲しいのだが。
というのも、今までのカタい乗り心地の原因と思われるのはコイルスプリングがカタいセットになっており、きちんと運動していないせいだと思うからだ。
このクルマの場合、それ以外が見直されたことで良くはなっている。前に乗った時はガソリン車ということもあり、リヤにHVバッテリーがなかったこともあってか、コイルスプリング由来と思われるカタさが特に気になった。
ただ、今回はHV車だったのでHVバッテリーがリヤを抑え込んだことでリヤが跳ねる現象は影を潜めていた。しかし、フロントにはガソリン車の時から重さとして加わったものがなかった為、段差などではまだ跳ねる現象がやや見られた。
しかし、ここまでまるで難癖つけるように見るのは正直僕も面倒で、シンプルに8割ぐらい体に入ってくる感覚は間違いなく良かった。これでもし上記のことが改善されたら買うかもしれない。

積載性

4

大きなSUVボディということもあり、積載性は充分。後席も完全とまでは言わずともフラットにできるので、ある程度までなら大きな荷物も積めるだろう。

燃費

4

2〜3時間ほどの試乗だったが100km以上走った。それも街中、山道のワインディング、高速道路まで。それでトータル17km／L台。エアコンは常時つけていたが、電動ウォーターポンプなのでエンジン駆動に左右されないことを差し引きしても悪くなかったと思う。

価格

3

今回乗ったGグレードは新車価格400万ちょいとのことだが、オプションをつければ450万は必要だろうか。個人的にはトータル400万に収まってくれれば買いだと思う。ただ、リセールはいいと思うのでこれでもいいのかな。

故障経験

トヨタ車と言えば壊れにくいが昔からのウリだし、実際この車種で聞いたことはない。