トヨタ ハリアーハイブリッド 「都会派ラグジュアリーSUVの真打ち」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
5
積載性
5
燃費
5
価格
4

都会派ラグジュアリーSUVの真打ち

2022.12.21

年式
2020年6月〜モデル
総評
大容量バッテリー搭載の強みを活かした充実の快適装備や、踏めば一瞬で高速域に到達するほどのPHEVのパワフルな走りは市街地でも長距離でもストレスフリー。1500Wの外部給電が手軽に使えるのも大きな魅力です。ハイブリッドモデルでも十分に快適で満足度が高いですが、乗り比べてしまうとPHEVが欲しくなってしまうほど、都会派ラグジュアリーSUVの真骨頂を演出していると感じます。
満足している点
ドレスアップした服装にもしっくりと似合うような、本革を贅沢に使ったインテリアがハリアーの魅力の1つ。PHEVモデルは見た目にはハイブリッドのZグレードと大きく変わるところはないですが、さすが最上級グレードだけあって、装備は各部がレベルアップします。例えばエアコンは「S-FLOW」という運転席集中モード付きなのはハイブリッドと同様ですが、さらに湿度調整機能、ヒートポンプシステムが付くのはPHEVだけ。非接触充電の「おくだけ充電」が標準装備となり、運転席と助手席のシートヒーター&ベンチレーションに加えて、後席シートヒーターも標準装備となっています。
不満な点
RAV4と同様にトヨタのPHEVは急速充電には非対応なので、自宅に充電器の設置はマストと言えるでしょう。最近ではいざとなればガソリンでも走れるPHEVが急速充電器を占領するのはマナー違反だという風潮も大きくなっており、トヨタとしても街中で充電するのではなく、基本的には自宅で充電して欲しいという意向のようです。充電ケーブルは200V用と100V用が標準装備されています。200V用ケーブルの長さは7.5mで、オプションで15mも選べます。
デザイン

4

2022年10月に初のマイナーチェンジを実施しました。元祖都会派ラグジュアリーSUVの磨かれたクーペフォルムのデザインに大きな変更はありませんが、これまで別モデル扱いだったPHEVが最上級グレードとなり、専用のフロントグリルやホイールなどが与えられ、さらにプレミアム感が高められています。最近はこうした都会派SUVがたくさん増えたので初代ほどのインパクトはないですが、やはりビジネスシーンやフォーマルに似あうSUVの代表には変わりないと感じます。
走行性能

4

2.5Lのハイブリッドシステムは発進直後からのなめらかな加速がプレミアム感たっぷりで、静粛性が高く高速道路での安定した走りは秀逸。市街地ではややアクセルペダルの開度に対するレスポンスが鋭く、スポーティすぎると感じる場面もあります。PHEVは大容量のリチウムイオンバッテリーを床下に置き、前後輪に1つずつモーターを搭載。メインのフロントモーターは182ps、リヤモーターは54psの高出力で、「e-Four(4WD)」となります。EVモードで街中を走ってみると、発進からストップ&ゴーを繰り返すような場面でまったく重さを感じさせない軽やかで上質な加速フィールが引き立ちます。
乗り心地

5

運転席でも後席でも実感できる上質な乗り味は「RAV4」でも評価の高い「GA-Kプラットフォーム」を採用し、ボディ剛性向上と低重心化をはかった効果。前後のサスペンションジオメトリを最適化し、ドライバーが疲れにくく重厚感としなやかさを併せ持つ乗り心地を追求したとあって、乗っている人にも優しいと感じます。さらにPHEVは重量アップの恩恵もあってか、丁寧で紳士的な身のこなしが特徴。乗り心地もプレミアムです。
積載性

5

ラゲッジ容量は5人乗車時で409L。左右にちょっとした小物が置けるデッキサイドポケットがあり、デッキボード下にも小物が入るボックスがあります。開口部は掃き出し口下辺がややすぼまっており、中間くらいの高さがいちばん広くなっています。横幅は最大で1265mm、高さは750mm。後席は6:4分割で前倒しでき、ほぼフラットになります。すべて倒すと奥行きは1805mmまで拡大するので、長い荷物が積みやすいラゲッジと言えそうです。ハンズフリーパワーバックドアも標準装備です。
燃費

5

PHEVはEVのみの航続距離が最大93kmと十分な距離を実現。ハイブリッドとしての走行も20.5km/L(WLTCモード)という低燃費です。2.5Lダイナミックフォースエンジンは小型・軽量・高効率が美点で、ハイブリッドモデルは2WDだと22.3km/L(WLTCモード)、4WDのE-Fourでも21.6km/Lと優秀。空気抵抗のよさも実感するので、実用燃費も期待できると思います。
価格

4

PHEVはハイブリッドモデルの上級グレード「Z」がベースとなっています。専用デザインの内外装となっており、価格は620万円から。ハイブリッドモデルとの価格差が約100万円あるため、ちょっと割高に感じるかもしれません。条件を満たせば国から55万円の補助金が受けられる、自治体によっては独自の補助金を設定しているところもあるので確認したいですね。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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