トヨタ アクア 「経済性が高く運転の楽しさもアリで総合力の高い1台」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

5

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
4
積載性
3
燃費
5
価格
5

経済性が高く運転の楽しさもアリで総合力の高い1台

2023.5.22

年式
2021年7月〜モデル
総評
燃費性能はもちろん、乗り心地やファントゥドライブ、そしてあらゆる性能を高い次元でバランスよく実現している。優れたコンパクトカーが欲しい人には強くオススメしたいモデルだ。特に現行モデルは運転する楽しさもグッと増した印象で、クルマ好きの足車としても大いにアリな選択だと思われる。これほど総合性能が高いコンパクトカーは、なかなかないのでは?
満足している点
あらゆる性能を高い次元でバランスよく実現しているのが素晴らしい。エコカーというと走りは二の次なイメージだが、現行モデルになって走りもより楽しくなった印象だ。中でもPOWERモードでは、加速をアピールするようなBEVモデルらしいスロットルレスポンスが味わえる。現行モデルは複数のキャラクターを楽しめるようになり、またホイールベースが伸びて後部座席の快適性が高くなったのも嬉しいポイントと言える。
不満な点
不満が出るポイントは少ないが、最近登場したモデルで未だに手踏み式サイドブレーキなのはどうかと思う。EPB(エレクトリックパーキングブレーキ)の採用が望ましいところだ。正直EPBの採用は「ここさえ出来ていれば完璧!」と言えるぐらいで、実に惜しかったポイント。EPBが採用されることで、オートブレーキホールドが装備されるのが望ましい。
デザイン

4

先代のイメージを踏襲しつつも、新時代のエッセンスを見事に投入している印象。プリウスを始め、トヨタはこのようなエコカーのデザインを手掛けさせたら、広くイメージされるような車種ごとのデザインキャラクターを作るのが上手いと感じる。また、内外装共に共通の統一感が取れていて、馴染みやすく個性を演出しているデザインとなっている。インパクトが大きいわけではないが、飽きの来ないデザインと言える。
走行性能

5

先代モデルに比べて、かなり運転が楽しいモデルへと進化した印象だ。ボディ剛性が上がったため、サスペンションの動きも良くなり路面への追従性が上がり、よりしっかりとタイヤが接地している感触で、ロール感も程よく抑えられている。また、ストロングハイブリッドでありながら、アクセルやブレーキの感覚もナチュラルなフィーリングに仕上げられていて、クルマ好きが運転しても嫌になる癖がないところが嬉しい。
乗り心地

4

TNGAプラットフォームを採用したこともあり、先代モデルに比べて格段に良くなった。コンパクトカーでありながらチープな印象がない乗り心地だ。基本的に前席でも後席でも乗り心地には文句が出ないはずだ。強いて言えば、コツコツとした路面からの細かな入力に対する振動の角が気になる人もいるかもしれないが、「本当に細かく見てみれば…」なレベルである。金額やボディサイズを考えると上出来な乗り心地と言える。
積載性

3

あまり積載性は良いとは言えないだろう。特出して悪いわけではないが、ラゲッジスペースの広さはボディサイズからすると、「ちょっと期待外れ」と思ってしまう人もいるかもしれない。先代モデルに比べてバックドアの開口長が拡大したとはいえ、積み下ろしがしやすいとは言えない高さという印象。ただ、日常ユースで言えばほぼ不満が出ることはないだろう。
燃費

5

このモデルで燃費性能に関して文句が出る人は、ガソリンを使うクルマには乗らない方が良いだろう。国内トップレベルの燃費性能を有しているし(WLTCモード33.6km/L)、実燃費もかなり良い。当時、新開発のバッテリーなど燃費性能向上への大きなアプローチがあったが、クルマそのものが軽いのも大きく燃費に寄与している印象だ。THS(トヨタハイブリッドシステム)は燃費性能の飛び道具ではあるが、それだけではなく、クルマ造りの基本的な部分もしっかりと煮詰めた結果が表れた燃費性能だと感じる。
価格

5

およそ200〜260万円といった価格設定は、性能や装備を考えれば「買い」と言える。またグレードごとの価格差が少ないのが、実際に購入を検討する人にとっては嬉しいポイント。優れた燃費性能と比較的上質な乗り心地、そして不満の少ない走行性能。これらを高い次元でバランスよく実現しているため、他のコンパクトカーと比べてもお買い得感は高い。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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