トヨタ アクア 「ハイブリッド専用のコンパクトハッチ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

ハイブリッド専用のコンパクトハッチ

2023.5.19

年式

2021年7月〜モデル

総評

ハイブリッド専用車として2代目となったアクア。コンパクトなサイズと、ハッチバックボディの使い勝手をそのままに、よりスタイリッシュになった。初代から受け継いだ優れた燃費数値は新しいハイブリッドユニットを得てさらに向上。「B」グレード以外の2次バッテリーにはバイポーラ型ニッケル水素電池を使う。従来比で約2倍の出力が特徴だ。

満足している点

動的なコンポーネントは「ヤリスハイブリッド」と同じものを使うが、乗り味はファミリーカーとしても使えるソフト路線に改められた。スタイリッシュになったものの、適度にフォーマル感もある。また、見た目以上に後席の空間が広く、大人が4名しっかりくつろげる。実用燃費も優秀で、激しい渋滞路に遭遇しなければ都市部でも30km/Lに届く。

不満な点

燃費数値、デザイン、乗り味、積載性能。これらをまんべんなく網羅しようとしたことだ。いずれも高い満足度が得られるのだが、飛び抜けたキャラクターではないため愛車としての愛着がわきにくい。ここを不満として捉えるユーザーは少ないだろうが……。2022年11月に追加された「GR SPORT」は別格で、走行性能が際立つ。

デザイン

4

個人的にアクアのデザインは好みだ。コンパクトながらボリュームがあり、リヤゲート周りにいたってはコンビネーションランプの光源面積が大きく、被視認性が高められている。空力との関係からボディ後端へとルーフ形状は傾斜が強められているが、リヤドアの切り込みは大きく、乗り降りはしやすい。その他にも、見た目の機能の両立が随所に。

走行性能

4

試乗したのは「Z」グレードのFF（前輪駆動）モデル。車両重量1130kgだが軽快に走る。トヨタ初採用の「快感ペダル」はアクセルオフ時の回生量を増やした走行モードだ。アクセルペダル操作だけで、おおよその走行シーンで加減速が可能になる。アクセルペダルをじんわり戻した際も回生ブレーキがしっかり連携するので扱いやすい。

乗り心地

4

ヤリスからスタートした「TNGA-B」新プラットフォームを採用。アクア向けにサスペンション設定などを専用に設計している。スポーティなヤリスに対してアクアの乗り味はとてもマイルドで、荒れた路面でのいなし方はとても優秀。後席の乗り心地にも優れている。GR SPORTは各部に手を入れややハード志向。

積載性

4

ラゲッジルーム容量は外観からイメージするよりずっと大きい。FFモデルの場合、リヤシートを使った状態で205／278L、倒した状態で618／691Lだ。最大の横幅は1153mm、荷室長は656mm、高さは824mm。リヤシートは6:4分割可倒式で、地面からリヤバンパーまでの高さが抑えられているから、かさばる荷物も積み込みやすい。

燃費

5

WLTC値の総合モードでは29.3〜35.8km/Lと優秀な値。29.3km/LはスポーツモデルであるGR SPORTだ。後輪に独立した駆動モーターを備えるE-Fourでも燃費数値の悪化は少なく、たとえば上級のZグレードの場合、33.6km/Lに対して30.0km/Lと10.8％の悪化（車両重量は100kg増）に留まる。

価格

3

エントリーグレードである「B」グレードが199万7000円と200万円を切る。一般的にベーシックモデルは快適装備が削られる方向にあるが、アクアの場合、リヤウインドの開閉が手動式になるものの極端な違いが見られない。むしろ2次バッテリーがリチウムイオン方式になり燃費数値も僅かながら向上する。