走りは素晴らしいが・・・
仕事用のサンバーがぶつけられて中破したため、代車で借りました。前から気になっていたので色々とチェックしながらたっぷり乗ってみ
2011.10.11
- 総評
- 走りは素晴らしいが・・・
仕事用のサンバーがぶつけられて中破したため、代車で借りました。前から気になっていたので色々とチェックしながらたっぷり乗ってみました。
総評ですが、走りの面では素晴らしいものを持っています。標準グレードで、乗り心地も良いセッティングなのに、峠道を飛ばしても破綻の無い、「軽トールワゴンとしては」びっくりするほどハイレベルなコーナリング性能を発揮します。ボディ剛性は新型にも劣っていません。シートも作りがしっかりしていて、ハイトアジャスタが付いているので腰への負担のかからない、楽な姿勢を取れます。ペダル配置も悪くありません。車両感覚も比較的つかみやすく仕上がっています。
でも、この車が結局、他社のトールワゴンに勝てなかったのも他車と乗り比べるとよくわかります。走行性能では勝っていても、「実用を求める軽ワゴン」としては、発売当時型落ちの2代目ワゴンRや3代目ムーヴにも負けているのです。
- 満足している点
- 走りに関する部分は近年の軽ワゴンの中ではダントツでしょう。燃費も悪くありません。
【走行性能】
直4ツインカムで、NAでもなかなかパワー・静粛性に優れています。燃費も良好です。乗り心地は悪くないのに、急ハンドルを切っても破綻しにくく、他の軽ワゴンでは緊張を強いられるような高速コーナリングも、何も考えずにハンドルを切るだけでクリアします。サポート性の優れたシートは長く乗っても疲れません。
【燃費】
はっきり計測していませんが、乗っている個体の実用燃費は概ね20km/l前後です。サンバーバン(14km/l)やムーヴRS(16km/l)など、他の4気筒軽と比べればはるかに優秀です。
【ボディ】
ちょっと車体をノックしたり、ドアを開け閉めするとわかりますが、軽としてはかなりシッカリしています。ドアヒンジ周りがダイハツと同様、ほぼ90度開くようになっているのは便利です。反面、傾斜地や強風時は注意が必要ですが。
- 不満な点
- 走行性能がいくら優れていても、実用車としての仕上げは他車と比べてかなり劣ります。この手の車を求める層の多くは、スポーツ走行での速さや動的安全性、走りの質感などよりも実用性や見た目の豪華さを重視します。R2の基本設計やパーツを流用した結果、走りの質感は普通車並になった反面、実用性を追及しきれなかった感があります。結局、そこが致命傷となって起死回生成らず終わってしまい、ムーヴに兄弟車として併合される事となってしまいました。
【乗降性】
太いサイドシルは、高剛性をもたらす反面、乗り降りの際に足が引っ掛かるなどの弊害を生んでいます。軽ワゴンのユーザーは女性や老人が多く含まれます。試乗時にこの点を嫌って敬遠した人もいるのではないでしょうか。
【収納】
最終型では小さなポケットが多く設けられて改善されましたが、それまでのモデルでは、軽ワゴンの中では異常なほど小物収納が少ない車でした。ここは軽ワゴンとしては落第点です。(最終型除く)
【積載】
致命的な欠点です。荷室はあまり広くは無く、リアシートがスライドしないため、前後長の調整もできません。シートを倒しても段差は大きく、この点はセダンを名乗るプレオカスタムRS(ミラカスタムRS)にも劣り、この時代の軽ワゴンとしては失格レベルです。
【その他】
CVT車はインパネシフトになっていますが、突き出た台座がどうしてもドライバーの左足に当たります。当たる位置によってはコーナリング時に体を支える台にもなりますが、体型によっては膝の角や脛に当たり、不快に感じる人もいるでしょう。
内装の作りは悪くないのですが、標準車では色調もあって下半分の安っぽさが感じられます。インパネシフト周りのパネルも、上位グレード向けのスイッチ穴が目立つ位置に凹みとして存在するため、如何にも「低グレードですよ。」感を醸し出してしまっています。
走りの質感においてはスバルの軽は非常に優れているのですが、こういう細部への気配りが最後まで決定的に欠けていました。その結果がダイハツ軽との兄弟車化という末路です。
個人的には、スバル製軽自動車の系譜を絶やさず、ダイハツと互いの美点を出し合った共同開発車として2代目を作って欲しかったのですが、それは叶いませんでした。恐らく、5代目ムーヴと同じ車体を持つ2代目ステラは初代より多く売れるでしょう。例え走行性能では劣っていたとしても・・・。
- デザイン
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- 走行性能
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験