スバル インプレッサ（ハッチバック） 「売りは安全性能だけではない」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

売りは安全性能だけではない

2023.11.29

年式

2023年3月〜モデル

総評

「インプレッサスポーツ」から「インプレッサ」となった5ドアハッチバック。ボディはフルインナーフレーム構造で剛性を高めたことにより、走りの質感を大幅に向上させている。操縦性と乗り心地のバランスがよく、Cセグメントのモデルとしては快適性にも優れる。SUVが台頭する中にあって存在感はいまひとつだが、その実力を侮ることはできない！

満足している点

まずはアイサイトを核とする予防安全性能の向上だ。ステレオカメラの画角がワイド化され、ソフトウェアの改良とともに、より広く、遠くまで認識可能になった。さらに広角の単眼カメラにより低速走行時には二輪車と歩行者の認識が可能。ドライバーモニタリングシステムも設定されるなど、安全性能は大きく進化している。ハンドリングも洗練されており、操舵フィールが心地よい。

不満な点

基本デザインがクロストレックと変わらないので目立ちにくく、内装もグレー系のみの設定なのでクロストレックと差別化されていない。インプレッサならではといった明るいカラーコーディネートも欲しいところ。11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイの操作性についてもさらなる検討をお願いしたい。

デザイン

4

エクステリアは歴代モデルの伝統を受け継ぎ、よりスポーティな仕上がりを見せている。全長4475mm×全幅1780mm×全高1515mm（ST-H）のボディサイズは、先代よりも幅で5mmワイド化されただけで、2670mmのホイールベースも共通だ。内装はグレードによってシート表皮が異なるが、グレー系のカラーコーディネートはすべてのグレードで共通。2023年登場のモデルとしては新鮮味に欠ける印象も。

走行性能

4

インプレッサには「e-BOXER」と呼ばれるマイルドハイブリッドと、クロストレックにはないガソリン車を用意。試乗したe-BOXERは負荷の掛からない状況ではモーターのみの走行も可能だが、アクセルを踏み込むとすぐにエンジンは始動する。FF車のほうがより軽快だが、AWDでも動力性能に不満は感じられない。操縦性はFF＆AWDともフットワークが軽快。ハイペースのワインディングでも安心感のある走りが確かめられる。

乗り心地

5

ボディは軽量化と高剛性化を両立させたフルインナーフレーム構造を採用。全高はクロストレックよりも60mm低く、サマータイヤの装着もあってハンドリングの正確性はインプレッサのほうが良好に感じられた。しっかりとしたボディはしなやかな乗り心地をもたらし、車内騒音も低く抑えられている。シートの造りもよく、ロングドライブでも快適な走りが確かめられる。

積載性

3

ラゲッジルームはクロストレックと同形状でST-GとST-Hが315Lを確保する。ハイブリッドバッテリーを搭載しないSTは368L。リヤシートは6:4の分割可倒式を採用し、荷物の量に応じてアレンジすることが可能。リヤゲートの開口部が大きく、荷物の出し入れがしやすいのもいい。

燃費

3

クロストレックよりもボディが軽いこともあって、WLTCモード燃費はe-BOXERで16.6km/L。ライバルのハイブリッドと比べてしまうと物足りなさもある。実際にFFのST-Hで高速道路6割、一般道4割の合計250kmで計測してみたところ、燃費は13.3km/Lだった。

価格

5

ベーシックなST（ガソリン車）は229.9万円と安価だが、装備内容が充実しているのはe-BOXERを搭載するモデル。FFならば300万円以下でアイサイトセイフティプラスなどの安全装備が充実したST-Hもターゲットに入る。高度な駆動力制御が行われるAWDも22万円高で選択可能とリーズナブルな価格設定も見どころ。