新型エンジン搭載
先日、マイナーチェンジを受けたフォレスターに試乗してきました。試乗したのは、新型エンジンを搭載したノンターボモデル。新開発の第三世代
2010.11.28
- 総評
- 新型エンジン搭載
先日、マイナーチェンジを受けたフォレスターに試乗してきました。試乗したのは、新型エンジンを搭載したノンターボモデル。新開発の第三世代ボクサーエンジン、ロングストロークボクサー。一部誌上では史上初とか書いているところもありますが、厳密に言えば現行のインプレッサ1500は三年前からロングストロークボクサーを搭載している。だから今回の新型エンジンは、“更にロングストローク化した新型”という表現が正確なのかもしれません。試乗前にエンジンルームを見させて貰ったのですが、とてもスッキリした感じで、ロングストローク化したお陰か、左右シリンダーヘッド周辺がコンパクトになった印象。エンジンの幅自体は然程以前のEJ20型と変わらないかも。ボンネットを閉め、運転席に乗り込み、エンジンスタート。最近の車だからキーはインテリジェンスキーですか。私が“時代遅れの男”だからか戸惑います。ハンドル右にあるプッシュボタンでエンジン始動。お~!ラリーカーみたい♪と少し興奮。各部を確認し、出発!
スバルのディーラーを出て、国道を丁寧に加速する。ラジオ等の音声を切った状態の室内で、まず気になったのは聞き慣れない金属音。コレなんの音ですか?と助手席に鎮座していた営業の方に聞いたら、『新型エンジンには、タイミングベルトではなくタイミングチェーンを採用しているので、そのチェーンの音です』との説明があった。なるほど、以前のEJ20の頃と違って新型エンジンでは10万㌔走行ごとに実施するタイミングベルトの交換が不要となった。なるほど!などと感心しながらアクセルを更に踏み込む。明らかに中速域のトルクは増して乗り易くなっている。試乗車に搭載されている4速ATとの相性も良好な感じ。タコメーターのレッドゾーンは6500回転から。このエンジンだとMTであってもそこまで回しても、別段楽しい感じは無いかも。などと感じる。そして、試乗も終盤。前方の信号が赤。数台の車が並んで止まっている。「あ、これブレーキ踏まなくても勝手に止まってくれるんですね?」と質問したら『お客さん、この車にはアイサイトは搭載されていませんので、速やかにブレーキを!』と笑いながら返答された。解っていますとも。助手席の営業の方に御断りをして、少し強めにブレーキング。充分な制動力も備えています。
十数分の試乗をさせて頂き、終えてみての感想を書きに記したいと思います。
- 満足している点
- 今回のマイナーチェンジでは、外観の仕様変更は殆ど無いようで、主にノンターボモデルの
エンジンを新型エンジンを搭載した事。これに尽きると思います。ターボモデルは従来からの
伝統あるEJ20ターボ。このEJエンジンは、思えば1989年デビューの初代レガシィから
20年以上の年月を、連綿と受け継がれてきた伝統ある名機でした。思えばこのエンジンで
WRCのタイトルを幾つも獲得し、私自身も初代セダンRSから三代続けて愛着を持って走り
続けたエンジンでした。さて、新型エンジンですが、これは次世代を見据えた、今後の
スバルのメインになるエンジン。これから長きにわたり活躍する事でしょう。
では長所を幾つか書いてみると。。。
①発進時から低速~中速域のトルクが増した。エンジンのロングストローク化に伴い、当然
ながら高回転のパンチを抑えて、中速域のトルクを増してきた。フォレスター等の一般的な
日常使用を前提にした車には、有効な進化と感じました。
②エンジンルームのスッキリ感
新型エンジンではロングストローク化に伴い、旧世代であるEJエンジンの時のような
ビッグボア&ショートストロークの特徴であるシリンダーヘッドが大きく張り出す感じが
無くなったように思います。それと、インテークマニホールドが以前のエンジンより細く
なっているように感じました。これもロングストローク化に伴うメリットなんでしょうね。
実際にはどうか判りませんが、エンジン自体も以前のエンジンよりも随分軽量になって
いるのではないでしょうか?そんな印象を感じました。
③車体のシッカリ感
4年ほど前に北海道旅行に行った際に、当時最新だった旧フォレスターをレンタカーで借り
旅をした事があります。以前のモデルに比べて随分車体剛性&製品としての質感が上がった。
そう感じました。スバルのシンメトリカルAWDならではの直進安定性は勿論ですが、製品
としての精度が随分上がった。そう感じました。
室内とかは以前のマイナーチェンジ前と殆ど変らない事と思いますので、感想は割愛したく
思いますが、新型エンジンを搭載したフォレスター。このエンジンが次世代のスバルを、
どのように発展させていくのか?期待したいです。
- 不満な点
- この新型エンジンを搭載したフォレスターを発売した直後に、新聞でこのような報道を目にした記憶があります。“スバル、今後フォレスター等にCVTを積極的に搭載予定”と。次のマイナーチェンジ時の予定を今の段階で発表してしまうなんて。正直な会社ですわ(苦笑)。
さて、短所ですが取り立てて思い浮かぶ事はありません。敢えて書くなら。。。
①ロングストロークエンジン搭載に伴い、エンジンを高回転まで回して走る楽しみは、ほぼ無くなった。環境性能を考えると正常進化とも言えますが、初代レガシィや2代目BGの頃の、レッドゾーン付近を駆使したEJ20の楽しいフィーリングは終焉の時が来たと言えます。水平対向エンジンと環境性能の融合。今後の味付けの仕様変更に期待したいです。
②インプレッサベースだからの部分、前後15インチのディスクブレーキ。制動力に特に不満は無いけれど、長い下りの峠道だと、どうなんでしょうね?インプレッサよりも200Kgは重い車重ですから。あとインテリアのデザインもほぼ同じ。仕方無いけど。
思い当たるのはそれぐらいで、他に不満は特にないです。リアシートはボタンを押すと勝手に倒れてくれるし、後席はそこそこ広いし、荷室の広さも充分。もし自分で買うならのば安いグレードであるXを購入し、足りない部位は自分で手を加えていけば良いかな。そんな気がします。
最後に、新型エンジンの感想を書くと、イマイチ物足りない。そう思ってしまいます。
敢えて書きますが、少し前に同じセグメントに入るエクストレイルのディーゼルターボに試乗した事が、心の奥に強く残っています。あの中速域で溢れ出るようなトルク感。本来フォレスターには欧州地域で販売しているボクサーディーゼルの方が合っているのではと、ずっと思っています。正直申して、私はずっと日本での発売を待っている。これが本音です。勿論、今回のガソリンでのロングストロークエンジンも素晴らしいとは思いますが、もどかしい部分でもあります。今後、この新型エンジンがスバルを支えていく事と思いますが、今のままでは役不足を感じてしまうのも事実。将来的には、80年代前半に売られていたサーブ900のような低圧縮ターボを組み合わせた中速域の加速を重視した環境型ターボに発展して行けば、環境に優しく、乗り易くて楽しいエンジンになるのではと感じました。これからのスバルエンジニア達の開発&製品展開に期待したいです。
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