2019年7月
■2019年7月
ポルシェジャパンは、「911カレラカブリオレ」をフルモデルチェンジした。先行して「911カレラS」、「カレラ4S」を同年2月12日に受注開始し、同年7月5日に発売した。
8世代目となる911シリーズは、従来まで一部モデルだけだったワイドボディを全モデルに採用。後輪のトレッドを拡大し、バランスを取るために前輪のトレッドも全モデルで拡大。装着されるホイールもフロントは20インチ、リヤを21インチとした。
ボディにはアルミなどを多用することで軽量化を行い、サイズ拡大に伴う重量増を相殺。ボディ単体重量は先代よりも12kg軽い240kgとする一方、ボディの曲げ剛性とねじり剛性をそれぞれ5%向上させている。さらにリヤスポイラーをはじめとする空力パーツを電子制御化することで走行安定性と燃費のバランスを最適化したという。
エクステリアはひと目で911だとわかるもので、新型では曲線や直線をよりシンプルに表現する一方、ワイドなボディを力強い造形で包み込むことで存在感のあるスタイリングに仕立てられている。インテリアでは1970年代の911をモチーフとした水平基調のダッシュボードを採用。10.9インチの大型モニターを装着し、センターのタコメーター以外をデジタル化することで先進的なイメージに仕立てられている。
新型911では初のラインアップとなった「カレラS」、「カレラ4S」には、これまでと同様に3.0リッター水平対向6気筒ターボエンジンを搭載。ターボチャージャーを大型化して過給圧を高めたほか、吸排気系の効率を高めることで従来型を30ps/30Nm上まわる、最高出力450ps/6500rpm、最大トルク530Nm/2300~5000rpmの最大トルクを発生。組み合わされるのは8速デュアルクラッチトランスミッション(PDK)のみとなっている。
安全運転支援システムで注目したいのは新開発のウェットモードで、路面の水を検知し、それに基づいてコントロールシステムが調節されるという。また、衝突被害軽減ブレーキ、自動再発進機能付きアダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシストを装備するほか、84素子のLEDを用いたマトリックスLEDヘッドライトなども採用された。
コネクティッド機能も進化しており、スマートフォンを通じてドアの施錠状態や駐車位置を確認できるほか、ナビゲーションシステム、エアコン、オーディオなどを音声で操作するボイスコントロールも充実。万一の事故の際もポルシェアシスタンスに連絡できる機能も装備されている。
ボディサイズは全長4519mm×全幅1852mm×全高1300mm、ホイールベース2450mm。0-100㎞/h加速はカレラ4Sで3.6秒(スポーツクロノパッケージ装着車3.4秒)、カレラSでは3.7秒(スポーツクロノパッケージ装着車3.5秒、最高速はカレラ4Sで306㎞/h、カレラSでは308㎞/hと発表されている。日本仕様は右ハンドルのみが設定される。
■2020年5月
ポルシェジャパンは、新型「911ターボSカブリオレ」を2020年3月3日に発表、同年3月31日に予約受注を開始した。
「911ターボSカブリオレ」には最高出力478kW(650ps)、最大トルク800Nmを発生する3.8リッター水平対向6気筒エンジンを搭載。2つのVTGターボチャージャーを搭載するこのユニットは先代に対してパワーで51kW(70ps)、トルクは50Nmの性能向上を実現している。ターボ専用8速PDKとの組み合わせにより、0-100km/h加速2.7秒(0.2秒短縮)、最高速度は330km/hに達するという。
強化されたドライビングダイナミクスに合わせてボディサイズは拡大された。全幅はフロントアクスル上部で45㎜ワイドな1840㎜、リヤアクスル上部で20㎜ワイドな1900㎜。これに合わせてトレッドもフロントが42㎜、リヤは10㎜ワイド化されている。タイヤは前後で異なり、フロントが255/35R20、リヤは315/30R21サイズを装着。空力性能も向上し、アダプティブエアロダイナミクスにはフロントに制御式クーリングエアフラップを、リヤには大型のリヤウイングを採用した。ダウンフォースは15%強化されているという。
フロントにはよりワイドなエアインテーク、デュアルフロントライトモジュール、ダークインサート付きLEDマトリックスヘッドライトでターボSならではの外観とし、エアインテークを統合するリヤウイングセクションは流線型のボディを強調。ハイグロスブラック角型テールパイプを備えたリヤエンドもターボSの特徴となっている。
内装はフルレザーインテリア、ライトシルバーのアクセントを組み合わせたカーボントリムが標準装備。18wayのスポーツシートには初めて911ターボ(タイプ930)に敬意を表するステッチが施される。さらに専用デザインのメーターパネル、GTスポーツステアリングホイール、新しいポルシェトラックプレシジョンアプリを統合したスポーツクロノパッケージ、BOSEサラウンドサウンドシステムなども装備されている。
■2020年7月
ポルシェジャパンは、「ポルシェ911」シリーズに「911ターボカブリオレ」を2020年7月16日に追加、同日より予約受注を開始した。
新たに設定された911ターボカブリオレは、先代に対して30kW(40ps)、40Nm上まわる最高出力427kW(580ps)、最大トルク750Nmを発生する。専用設定の8速PDKとの組み合わせにより0-100km/h加速は先代を0.2秒上まわる2.8秒、最高速320km/hの性能をもたらすという。
3.7リッターの水平対向6気筒エンジンは電子制御バイパスバルブ付きシンメトリカルVTGターボを備え、インタークーラーとピエゾインジェクター採用と合わせ、動力性能、レスポンス、吹き上がりを向上させている。
ボディはフロントホイールでの幅が45㎜拡大されて1840㎜に、リヤアクスル間は20㎜拡大されて全幅は1900㎜になった。フロントにはPDLS Plus付きLEDヘッドライトを、電子制御の冷却用のエアフラップ、大型化されたアクティブフロントスポイラーと、同様に大型化された可変リヤスポイラーを備える。
スポーツ走行から快適性重視まで幅広く対応するPASMシャシーを標準装備しており、より硬質かつ車高が10㎜低くなるPASMスポーツサスペンションをオプションで用意する。ブレーキはフロントにねずみ鋳鉄製で直径408㎜、リヤには380㎜のブレーキディスクを装着。オプションでPDCC油圧アクティブロール制御システムとPCCBセラミックブレーキシステムが選択できる。
インテリアは911カレラと同じく、ポルシェアドバンストコックピット、ダイレクトタッチコントロールを装備する。14ウェイ電動スポーツシート、スポーツクロノパッケージ、シフトパドル、マルチファンクション/モードスイッチ付きGTスポーツステアリングホイール、BOSEサラウンドサウンドシステムは標準装備。アダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシスト、ナイトビジョンアシスト、Burmesterハイエンドサラウンドサウンドシステムなどのオプションも用意されている。
■2021年6月
ポルシェジャパンは、新型「911カレラGTSカブリオレ」と「911カレラGTS4カブリオレ」の予約受注を2021年6月23日に開始した。
タイプ992の発売からおよそ2年半を経て発表された911カレラGTSカブリオレ/911カレラGTS4カブリオレは、911シリーズに対して運動性能を向上させたスポーティバージョンとなる。
リヤに搭載される3.0リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンは最高出力で先代を22kW(30ps)上まわる353kW(480ps)、最大トルクでも20Nm上まわる570Nmを発生する。8速デュアルクラッチトランスミッション(PDK)の911カレラ4GTSクーペの0-100km/h加速タイムは先代を0.3秒上まわる3.3秒に達する。
足まわりは「ポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)」が標準装備となり、10㎜低く設定されたスポーツシャシーが組み合わされる。
エクステリアはスポイラーリップ、センターロック式軽合金製ホイール、エンジンフードルーバー、ドアと車両リヤの“GTS”ロゴがサテンブラックで塗装される。これらとその他のディテールをハイグロスブラックで仕上げたエクステリアパッケージも用意されている。また、ヘッドライトとリムのデイタイムランニングライトの周囲はダークカラーとなり、「ポルシェダイナミックライトシステムプラス(PDLSプラス)」を組み込んだLEDヘッドライトが標準装備となる。テールライトはGTSモデル独自のデザインとなっている。
インテリアは電動4ウェイ調節機能を備えた「スポーツシートプラス」、「GTスポーツステアリングホイール」、「モードスイッチ付きスポーツクロノパッケージ」、「ポルシェトラックプレジションアプリ」、タイヤ温度表示が標準装備。車内の断熱材を削減することでエンジンサウンドを“強化”していることも見逃せない。ハンドル位置は左右どちらでも選択可能だ。