ディーゼル復活の第一歩になるか?
石原慎太郎東京都知事によるディーゼル車規制によって、ディーゼルエンジンの乗用車が壊滅してしまいましたが、久しぶりの復
2008.9.24
- 総評
- ディーゼル復活の第一歩になるか?
石原慎太郎東京都知事によるディーゼル車規制によって、ディーゼルエンジンの乗用車が壊滅してしまいましたが、久しぶりの復活ですね。ディーゼル規制により大都市部での大気汚染が改善するという光の部分もありましたが、同時に低燃費なディーゼル車の開発が停滞し、ヨーロッパの各メーカーに水をあけられてしまったという負の側面もあります。
現状のエクストレイルディーゼルは下記のようにまだまだ未完成な部分は多いと思いますが、日本国内においてディーゼル乗用車が復権していく大きな一歩になることを期待したいと思います。
現時点では価格などの問題もあり、
・降雪の可能性がある地方在住
・車でかなり長距離を通勤している
・アウトドア系の趣味がある
・・・という方にお勧めできるという感じでしょうか。
- 満足している点
- ・環境性能と動力性能、快適性を兼ね備えた先進のクリーンディーゼル
平成21年から施行される、世界トップクラスの厳しさの「ポスト新長期規制」をクリアした優れた環境性能です。試乗中、旧来のディーゼル車なら盛大な黒鉛をまき散らすような、0→60㎞/h程度のアクセル全開加速を何度か試みたのですが、バックミラーで見る限り黒煙の発生は全く確認できませんし、テールゲート付近に煤が付着しているということもありません。このように目に見える黒煙(=PM(粒子状物質))の浄化性能も優れていますし、NOx(窒素酸化物)を無害なN2(窒素)とH2O(水)、CO2(二酸化炭素)へ浄化するLNT(リーンNOxトラップ触媒)も採用されています。
優れた環境性能でありながら、排気量2リッターにもかかわらず36.7kgf・mのトルクと173PSの出力を発生するM9R型ディーゼルターボエンジンは、スポーティな動力性能も兼ね備えています。
2,000rpmも回っていれば街中の流れを十分リードすることができますし、上述のような強い加速だと、豊かなトルクで軽々とスピードを乗せていくという感じで、かなり迫力のある加速です。ターボの力を借りているとはいえ、旧来の2リッターディーゼルエンジン車とは比べ物にならない圧倒的な動力性能に感動します。
環境性能の高い車だから運転の楽しさがないというのはもう昔の話であり、コモンレールシステムや、ダブルスワールポートによって燃焼効率が向上していることが動力性能の向上にもつながっているのではないかと思います。
また、騒音振動の少なさも特筆すべきで、窓を閉めていればかなり強い加速中でも車内騒音・振動はガソリン車並みです。エンジン始動直後の車外ではややディーゼル車を感じさせる音で、周りに建物が建て込んでいる状況ではガソリン車より気になるかもしれませんが、エンジンが温まればほとんど気になりません。
・MTを設定したこと
現在日本ではほとんど売れないマニュアルミッションの乗用車ですが、個人的にはこの車にMTが設定されていることは歓迎したいと思います。CVTやトルコンATの燃費性能が向上したとはいえ、実燃費は依然としてMTの方が優れており、MTというだけでエコだと思います。
- 不満な点
- ・MTのみの設定
個人的にはMTの設定が長所だと書いたのですが、一般的にはデメリットですね。日本国内で販売される新車の圧倒的多数が自動変速である現在、手動変速は面倒と思われていますし、そもそもAT限定免許を取る人の割合が増えている現状、MTのみの設定は今後の販売面でかなり厳しいでしょう。
エクストレイルのようなSUVは若い人がスノボやアウトドアの足に使うことも考えられますが、ATがないというだけで若い人から敬遠されそうです。日本市場で本気で販売するならCVT、トルコンATなど自動変速の早期投入は必須でしょう。
この車がMTのみで発売されたことについては、日産がクリーンディーゼルを早く発売したいがために、自動変速の開発を待たずにMTの発売を先行させたという報道がありますが、恐らくそれが真相でしょうね・・・
・燃費のより一層の向上を
試乗中は街中でのゴーストップ&空いたバイパスで強い加速を何度か試してみるという燃費にとってはかなり厳しい条件でしたが、積算燃費計表示値で10.4㎞/Lと、1.6トンを超える車重を考慮すればまずまずの数値でした。
ただ、最近はガソリン車の燃費が格段に向上したので、以前ほどディーゼル車のコスト面でのメリットが少ないです。
・年間15,000km走行
・ガソリン価格(レギュラー)165円、軽油150円
・カタログ数値(10・15モード)の7掛けの実燃費
・・・と仮定してディーゼルの20GT・MT(10.6km/L)とガソリンの20X・4WD・CVT(9.5 km/L)を比較してみると、年間の燃料費の差額は約48,000円。車両価格の差は約63万円もあるので、13年以上乗らないと元が取れないということになり、ちょっと現実的ではありませんね・・・
・DPFの取り扱いに注意が必要
カタログに書いてあるのですが、近距離や低速での走行が続くと黒煙を主成分とするPMを捕集するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)がPMを捕集できず、手動再生スイッチを押してPM除去を行う必要があるそうです。
「近距離や低速での走行が続く」ということは日本での走行パターンのかなりの部分に当てはまると思いますが、この状況で問題が生じるというのは、日常使用ではかなり厳しいものがありますね。
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