日産 マーチ 「ポケットに収まる切れ味の良いハサミ」のユーザーレビュー

ポケットに収まる切れ味の良いハサミ

2022.8.22

総評

日常の中にほんの少しだけ非日常を

オーテックが架装したK12マーチ
自動車検査証の類別区分番号と型式指定番号は空欄です

当時のカタログではカテゴリーがスポーティではなくスポーツ扱い
SRはSports Revolutionの略らしい

12SR専用のその気にさせる内外装アクセサリーを纏っている普通のK12マーチかと思ったらそんな事はなく
ボディの補強とサスペンションのセッティングまで12SRと同等
（アンダーブレースバーが1本※12SRは2本、なのとサスペンションスプリングの自由長が長いと言った違いがあります)

さらに純正装着のタイヤは185/55R15のポテンザだったりします
正直硬いとは思いますがスポーツに振っているのだから当然です
そんな構成の車ですから通勤や買い物に使っていても踏めば答えてくれるので日常でもスポーツカーの匂いを感じることができます

ところで12SRはエンジン型式こそCR12で他と同じですがピストンは専用で排気系も専用で可変バルブタイミングすらも廃止して専用カムシャフトを使っているかなり割り切ったハイオク仕様のエンジンですが
15SR-Aは他種車流用のエンジンとミッションなのでレギュラー仕様でマフラーのみ15SR-A専用品といった構成
正直特別感で言うならスポーツリセッティングまで用意されていた12SRのほうが上です
もう話を聞いてるだけでワクワクする感じ
12SRは良く切れる銘の入った小刀といった所でしょうか

ですがどちらの車も上手に他車種の部品を流用し一部部品に専用品を使ってやることでコストを掛けず上手に質感と性能を高めている事は同じだと思います

オートマチックのマーチだからと侮る事なかれ
ハサミだからどんな使い方をしても怪我をしないなんて事はありませんよ

満足している点

•5ナンバーサイズで全長3.8m以下
•軽自動車に毛が生えたくらいの小柄なボディに1500ccで109ps/15.1kgf・mのHR15DEユニットが押し込まれている
•上記ユニットにより生み出されるそこそこの動力性能
•元々が他車種の流用ユニットなのでレギュラーガソリン仕様
•CVTによりイージードライブ
•車重が増えた分ブレーキも他車種流用で大型化
•12SRと同じ内外装とボディ補強類
•インテリジェントキー仕様車なのでカラードアハンドル
•視界がよく見切りが良い
•全体的に丸く親しみやすいデザイン
•リアハッチのオーテックステッカー

不満な点

•1010kgの車両重量
•純正ハロゲンヘッドライトが暗い
•室内灯も暗い
•朝方太陽に向けて走るとボンネットの縁に太陽光が反射し眩しい
•ドリンクホルダーの位置とハザードスイッチの位置が近い
•専用サスペンションと185/55R15のポテンザが作り出すハードな乗り心地
•少々雑に感じる電子制御スロットルの制御
•賑やかな風切り音やその他ノイズ
•生産台数の少なさから来る流通部品の少なさと純正品以外の適合確認が難しい事

デザイン

4

もう誰が見ても丸く親しみやすいデザイン
まんまるお目々
見た目は確実に可愛い部類に入ります
グリルはちょと髭っぽいですが

適度にスポーツ感を演出する外装部品
外装部品の12SRとの差異はマフラー形状とSRのバッジがない事くらい

内装も余計なものはなくスイッチ類も多くないので操作に困る事はありません(何もついてないとも言う)
ピラーより下はブラックアウトされていてカーボン風パーツも多用されているのでスポーツカーとしての雰囲気造りもしっかりされています

メタル鏡餅なんて言ってたのは内緒です

走行性能

4

小柄なボディにある程度力のあるユニットが入っているので過度に期待しなければ日常の使用で困る事はありません
新東名や東北自動車道の120km/h区間でも矢板の登りでも特に不自由なく乗れます

実際の性能ですが
0-100km/h加速が11秒くらい
最高速度はGPS計測で175km/hくらいです

1600ccで110ps/15.6kgf・mのユニットとMTミッションを使う欧州日産の特装車160SRが
0-100km/加速が9.8秒
最高速度183km/h
とアナウンスされていたので比較しても十分な性能かと思います

この車でスイフトスポーツやヤリスGRMNや GRヤリス等の狂気を孕んだコンパクトカーと戦うユーザーさんはいないと思いますが
あくまでも同クラスのNAコンパクトカー同士であれば戯れあっても楽しめます
フィットRSとか移動中のヴィッツレース車両とかと戯れる事が多かったかな？

その気にさせる要素として排気音も大き目です
トンネル内でエンジンブレーキを掛けると前の車が気付いて退いてくれるくらいには大きいです

旋回性能も高く通常使用で困るような事はないです
ただし一定条件では曲がり過ぎる時もあったりしました
ホイールベースが短めなことを忘れて高い速度をキープしたまま下り道で旋回しようとするとまわりそうになります
純正装着のポテンザで釣り合いを取っているので当たり前のことですが
14インチ化したりしてハイトが高くグリップが低いタイヤだとタックイン傾向が強まっていくので注意が必要です
具体例を出すと東○高速自動車道の中井辺りのトンネルを抜けて現れる下りの連続S字区間で雨の時なんかは痺れます
速度を落としてタイヤと相談しましょう
FWD車でアクセルを開けているのにリアが自分を追い越そうとしたのを感じられたのはこの車が初でした

ちょっと危ないのを忘れるくらい楽しくて気持ちよく走れる車だと思って下さい

乗り心地

2

専用スポーツマフラー
スポーツサスペンション
ボディ補強
185/55R15のポテンザ
この4点で想像できるかもしれませんが振動も音もなかなか凄いです

突き上げ感はタイヤを175/70R14にしても消す事はできませんでした
音という観点で年式相応に内装のビビリ音などあります
スポーツマフラー故にこもり音もあるので本当に快適に乗りたいならデッドニングが必要かもしれないです

積載性

4

大人四人で乗っても長距離でなければ不自由はしません
荷物を乗せるにしてもリアシートが倒れるので積載性は悪くないと思います
フィット等と比較してしまうとどうしても不利ですがスポーツグレードなのであんまり求める人も居ないでしょう
積載性を求めるならそもそもマーチは候補から外れるか

燃費

4

可もなく不可もなく
10年以上前の1500ccとしては普通の燃費です

片道30kmの下道を通勤利用で12km/L〜14km/Lくらい
高速道路なら18km/Lくらいでした
もちろん元気よく走ると悪くなります
ただ10km/Lを割る事はあまりなかったと思います
45L満タンで大体530km〜600kmくらい走るかなって感覚なら間違いないです
走らなかったと感じる時でも450kmを超えたくらいでエンプティーランプが点灯し燃料残量が残り7Lになり少なく見積もってもそこから60km程度は走れるはずなのでやはり500kmは走ってくれます

細かいことを言うのであればほぼ同スペックのトヨタ1NZ-FEエンジン(110ps/14.4kgf・m)とCVTを使う車重が200kg程重いNCP81シエンタと同じ運用方法であまり燃費に差がなかった事は少々気になるポイントです
実際NCP81の0-100km/h加速は11秒くらい
最高速度はGPS計測で172km/h程度でした
あのボディでその結果だった事を考えるとK12マーチに1NZ-FEを積んでみたくなります
1NZの方がエレメント交換も簡単だし幸せになれそう

価格

3

新車価格は180万円らしいです
もらい事故をしたときに全損と言われて提示された金額が新車価格のら10分の1で18万円だったので

中古だと程度によるけど30万〜40万円くらい？

登場から10年以上経過した中古車と考えるちょっと高いかもしれない

故障経験

エアミックスダンパー破損
ヒーターコア水路切り替えバルブから水漏れ
ヘッドガスケット抜け
ダイレクトイグニッションコイル交換