日産 オーラ e-POWER 「看板に偽りなし」のユーザーレビュー

看板に偽りなし

2022.7.6

総評

「電動シティレーサー」はこの車をかなり正確に表現しています。要は街乗り中低速番長です。
この車は得意不得意がかなり明確に出ており、合う人には最高の車ですが、特性を理解せずに買うとガッカリする事があると思います。

一番理解しておくべき特性は、出力とバッテリー容量についてです。
ざっくり言えばガンガン走るとすぐ電池切れになってパワーが大幅ダウンします。
この車でサーキットに行ったり山ですっ飛ばすのは無謀です。スイスポを買いましょう。

この車の最高出力は100kW, 最大トルクは300Nmですがこれは「バッテリー満充電時」の値です。
この車はエンジンで発電した電気とバッテリーに蓄えた電気を組み合わせてモーターを動かしています。
最高出力100kWはモーターの最高出力であり、発電用エンジンの最高出力は60kWしかありません。
最高出力を出すにはバッテリーから40kWを持ち出す必要があります。ざっくりバッテリー40+エンジン60=100(kW)という事です。
つまりバッテリーを使い果たしたら1.2L 60kWのエンジンで1270kgのボディを走らせることになります。なので、山やサーキットは無謀です。

一方で、そんなに飛ばさないのであれば上質かつ快適な走りが楽しめます。発進時の滑らかながらも力強いフィーリングは他の車にはまず負けません。

満足している点

モーター駆動ならではのスムーズかつパワフルな加速(低中速に限る)
「ほぼ」ブレーキ要らずの強力な回生
ハードな旋回中にも全く不安を感じないNISMO謹製の足回りと高いボディ剛性
高い静粛性
使いやすい電制シフト

不満な点

プロパイロットで停止する際のブレーキ制御が雑すぎる
燃料タンクが36Lしかない
内外装にピアノブラック使いすぎ(掃除と洗車が面倒)
信じられないほど洗いにくい前後バンパーと純正ホイール
何故か走行モードがNORMALだとチャージモードをONにできない仕様

デザイン

3

■流行りのデザインでいい感じだと思います。
シフト周りを光沢樹脂ではなくフェイクでもいいのでレザーにしてほしかったのと、バカみたいに太いメーターのベゼル以外はスタイリッシュでいいと思います。

■良い点
・天井やピラーがブラックで統一されておりスポーティ
・電制シフトの形や操作方法がよく使いやすい
・メーター画面が大きく見やすい
・外装に無塗装樹脂部分がほぼない(経年劣化しにくい)

■悪い点
・よく触る電制シフトやその周辺に光沢樹脂を使いすぎていて指紋が目立つ
・メーターまわりも同上
・メーターのベゼルが太すぎて先進感ゼロどころかマイナス。昔のテレビかよと思うほど太い
・リアバンパーは白一色が良かった

走行性能

5

0~60kmくらいまでは同クラスの大体の車より速いと思います。
特筆すべきは足回りで前後の接地感かなり高いことで、旋回中の安心感はピカイチです。

山や峠道は、走行用バッテリー容量が少ないこともあり普通のペースなら問題ありませんが結構飛ばすペースだと上りでバッテリー不足となり走行制限がかかります。
元ZC33Sオーナーですが、「速さ」は普通にスイスポのほうが上です。コーナーの安心感はオーラニスモの圧勝ですがそれ以外はすべてスイスポの勝ちです。

ただ、滑らかな加速感や回生ブレーキによる減速のスムーズさはスイスポ含めエンジン駆動車には絶対に真似出来ない強みです。常用する速度域での満足感はかなり高いです。

高速域は130km/hくらいまでは快適かつ力強く走ってくれて巡航も問題ありませんでした。

乗り心地

5

スポーティグレードの車としては良い方と思います。タイヤが厚めということもあり細かな段差や振動は上手くいなしてくれます。

積載性

4

ノートとしては十分広いと思います。
172cmくらいまでの人は後席倒して前席との隙間を埋めれば車内で真っ直ぐ寝れると思います。

燃費

4

純粋な実燃費はトヨタのハイブリッドに完敗です。
一方でパワー感と燃費の両立という観点ではかなりハイレベルです。これまで2800km走った総合燃費は19km/Lとなっています。

価格

3

オプションの抱き合わせが酷いのが一番大きな不満です。プロパイロットをつけるにはメーカーOPナビとETC2.0とSOSコール、挙句の果てには置くだけ充電器までセットにされた約35万円のセットオプションが必須です。

一方で寒冷地仕様がお買い得で良かったです。
革巻きステアリングが選べるのと、シートヒーターやミラーヒーターをお手頃価格で装備できるのは良かったです。

故障経験

走行中たまにリアゲートが閉まっているのに開いていると警告が出る
ドア内張りからの雨漏り