ディーゼル規制に現実的な対応をした
一昔前はパジェロのようなクロカン四駆といえばディーゼルが常識でしたが、ディーゼル車の排出ガス規制が厳しくなってきて
2008.10.14
- 総評
- ディーゼル規制に現実的な対応をした
一昔前はパジェロのようなクロカン四駆といえばディーゼルが常識でしたが、ディーゼル車の排出ガス規制が厳しくなってきて姿を消していましたが、久しぶりの復活ですね。
昔のパジェロやデリカのディーゼルといえば、とにかく猛烈な黒煙でしたが、新型は全くそのようなことはなく、時代が変わったんだなと感じさせられます。
ただ、下記に詳しく書きますが、最新のポスト新長期規制ではなく一つ前の新長期規制に適合であり、この車が三菱ディーゼルの真打というわけではないのでしょう。新長期規制適合車は約2年ほど販売できるようなので、この間にポスト新長期規制適合車を開発するという段取りかもしれません。
それゆえか、エクストレイルディーゼルほどのインパクトはなく、とりあえず旧型ディーゼルの代替用として発売されたという印象は否めませんが、現実的な対応をしたなという気がします。
- 満足している点
- ・排出ガス規制に現実的な対応をしている
先日発売された日産エクストレイルディーゼルが、最も厳しい最新の排出ガス規制「平成22年排出ガス規制(ポスト新長期規制)」をクリアしているのに対し、パジェロはその一つ前の規制「平成17年排出ガス規制(新長期規制)」をクリアしています。
エクストレイルはポスト新長期規制をクリアするための触媒を装着することで、オートマチックとの組み合わせができなくなりましたが、パジェロは5速オートマチックとの組み合わせになります。
エクストレイルが最高水準の規制をクリアしたことは確かに大事なことなのですが、MTだけに限定してしまうことでユーザー層を狭め、せっかくの技術も幅広く普及しなくなってしまうのではないかと感じます。パジェロはポスト新長期規制クリアにこだわらず現実的な対応をしていると感じます。新長期規制も現時点では十分に高水準な規制ですから、このままで数年間販売して、ポスト新長期規制に適合させるよう開発を進めていけばよいのではないかと思います。
試乗中やや強めの加速を試してみたのですが、ルームミラーを見ている限り黒煙の発生は全く見られませんし、テールパイプ付近へのススの付着もありません。
・快適で乗用車的な走り
車重が2.3トン近い超重量級ですが、動力性能に全く不満はなく、走りは快適そのものです。昔のディーゼルクロカン四駆のような車体の重さ、ダルでインフォーメーションの不明確なステアリング、ドタつく足回りとは全く無縁で、極めて快適な乗用車的運転フィールです。
・取り回し性の良さ
全長4.9m(スペアタイヤカバー込)×全幅約1.9mという巨体ですが、背筋を伸ばして上体を立てて座席に座るという本格クロカン四駆らしい運転ポジションや、ボンネットが見やすい角ばったデザインが幸を奏して、市街地での取り回しは良好です。狭い道でのすれ違いもあまり苦になりません。最小回転半径は5.7mですが、これは全長が40㎝以上短いVWティグアンと同等です。
- 不満な点
- ・音・振動がやや大きい
エクストレイルディーゼルにも騒音はあるのですが、相当低レベルに押さえこんでいますし、振動はほとんど気になりません。
パジェロに積まれた4M41型エンジンは全くの新開発ではなく、先代パジェロに積まれていたものを改良していますが、音や振動はガソリン車から比べるとかなり大きく、設計の古さを感じます。アクセルを踏み込むとゴロゴロした音が相当聞こえてきますし、ステアリングやペダルには常に微振動が伝わってきます。
もちろん昔のパジェロなどから比べると相当頑張っているのですが、現代のレベルからするとちょっと厳しいですね。
・燃費や動力性能に驚きがない
試乗中の燃費については市街地主体のコースで8㎞/Lと、まずまずだったのですが、昔に比べガソリン車の燃費性能が向上していることや、原油価格高騰で軽油の値段も上がってしまったため、あまりディーゼル車の魅力がありません。
・年間15,000km走行
・ガソリン価格(レギュラー)155円、軽油140円
・10・15モードの7掛けの実燃費
・・・と仮定してEXCEEDのディーゼル(6.9km/L)とガソリン(6.0 km/L)を比較してみると、年間の燃料費の差額は約83,000円。車両価格の差は約37万円なので、約5年で元が取れなるということになりますが、その間ディーゼルの騒音振動と付き合い続けることを考えると?・・・という感じです。
また、動力性能に不満はないのですが、ガソリン車をも凌駕するような圧倒的な動力性能を持つエクストレイルディーゼルに比べるとインパクトが弱いです。
スペックを比較すると・・・
パジェロ :3.2Lターボ 170PS・トルク37.8kgf・m
エクストレイル: 2Lターボ 173PS・トルク36.7kgf・m
・・・と、排気量がはるかに大きいにもかかわらず、出力・トルクがほぼ同等です。
エクストレイルを乱暴に言うと「オートマがないけどとりあえず売っちゃえ!」っていう感じで国内発売された車だと思いますが、高い環境性能とすさまじい動力性能を両立しているところに、何か底知れない魅力というか可能性を感じます。
それに対してパジェロは、旧型からの買い替えの受け皿に過ぎないのでは?という、なにか後向きな印象があります。
未来につながっているエクストレイルに対し、過去の延長にあるパジェロ・・・という感じです。
- デザイン
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