三菱 アウトランダーPHEV 「自宅に充電環境がある人向け。乗り心地も感動」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

工藤 貴宏
工藤 貴宏(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
5
積載性
5
燃費
4
価格
3

自宅に充電環境がある人向け。乗り心地も感動

2022.11.22

年式
2021年12月〜モデル
総評
自分のクルマの使い方とこのクルマの長所がガッチリはまったら、他に選択肢はないといえるほど魅力的なクルマになると思います。ライバルはトヨタRAV4やハリアーのプラグインハイブリッドになると思いますが、メカニズムの大きな違いをみるとまずアウトランダーは急速充電に対応していること(トヨタ勢は非対応)。もうひとつは、ハンドリングに関してはアウトランダーに分があることです。ただ、走りでいうと発進加速はRAV4やハリアーのほうは速いですね。加速のトヨタ勢、コーナリングのアウトランダーと言っていいでしょう。
満足している点
滑らかで心地よい加速と、高速走行時の快適性、乗り心地の良さ、そして運転する楽しさ。単なるエコカーだと思ったら大間違い。運転していて心躍るし、乗ってリラックスできるクルマです。そのうえ実用性も高いし、使い方によってはガソリンをほぼ減らさずに走れるし、ニーズにぴったりとハマれば満足度は相当高いでしょうね。
不満な点
これはアウトランダー固有のウィークポイントというよりもシステム上のこと(プラグインハイブリッドカーであればどの車種でも基本的に同じ特性)なのですが、外部充電なしで使う場合の燃費はそれほど良くありません(同じクラスのピュアガソリン車よりはいいですが)。そこだけはしっかり理解しておきたいですね。
デザイン

4

「ダイナミックシールド」と三菱のファミリーフェイスは個性的でアクが強いとは思いますが、個人的には(いい意味で)見慣れてしまい嫌悪感はまったくありません。みなさんはいかがでしょうか? ちなみにヘッドライトはボンネットフードの下ではなくバンパー内に組み込まれています。全体的なフォルムは先代に比べてシャープな仕立てとなり、スッキリしたように思います。個性的でコクはある顔なのにスッキリしているのって見事じゃないですか? 
走行性能

4

かなりのハイレベル。注目したい部分は2つあります。ひとつはモーター走行による滑らかさとシャープな加速感。プラグインハイブリッドですが日常的な走行領域のほとんどで駆動力をモーターで生み出すので、走行感覚はEVに近いですね。高速走行時はエンジンの力をそのまま駆動力とすることもありますが、その際もエンジンが静かすぎてエンジンの存在感がないのがいい感じです。ふたつめはハンドリング。これだけ重いSUVなのに曲がり方が素直で、峠道でも運転を楽しませてくれるのだから大したもの。4WDの制御技術も、クルマを曲げる制御技術も素晴らしいです。
乗り心地

5

乗り心地に関しても、期待を超えてきます。20インチタイヤを履いているのにここまで乗り心地がいいなんて、だれが予想したでしょうか。初めて乗った時は驚きました。こんなにも車体がフラットで、段差や路面の荒れた場所でも突き上げ感がないとは。素晴らしいです。
積載性

5

どの状態を基準とするかによって評価が変わってくることでしょう。3列目を展開した状態の容量は、このクラスのSUVとしてはちょっと物足りない水準。それでも大型スーツケース1つ、もしくは機内持ち込みサイズのスーツケースであれば3つ積めるので日常生活には十分ですけどね。3列目は床下へスマートに収まり、その際は大型スーツケースが3個収まります。その状態ならこのクラスのライバルをリードする実力と言えますね。加えて、2列目にシートスライドがあるから2列目を畳むことなく奥行きを拡大できるのもいいところ。ちなみに2列目を倒した状態の床は、段差が残ると同時に水平でもないので車中泊派は要注意!
燃費

4

燃費の評価は、このクルマをどう活用するかによって大きく変わってきます。ベストは、自宅に充電環境があって日常的に外部充電する人。近距離(カタログ値で83〜87kmなので現実的には最大60キロ程度)であれば、エンジンを掛けず、つまりガソリンを減らさず電気だけで走ることが出来ます。だからガソリン代はほぼかからず。ソーラーパネル充電との組み合わせなら電気代も節約できるからサイコーです。いっぽうで外部充電を考えず普通のハイブリッドカーとして使うのであれば、大型バッテリーを積んだことで車両重量が重いので燃費には不利。カタログを見ても、ハイブリッド時の燃費はWLTCモードで16km/L台に留まっています。自分がどう使うかをしっかり考えてから買うといいでしょう。
価格

3

このクラスの一般的なSUVと考えるとやや高めの価格も、高価なバッテリーをたくさん積んだプラグインハイブリッドカーだと納得できるもの。ちなみに2022年だと購入時には国から55万円、加えて東京都などでは45万円(条件によってはそれ以上)の補助を受けられます。それを受けられる環境であれば……控えめに言ってかなり割安ですね。
工藤 貴宏
工藤 貴宏
自動車ジャーナリスト
1976年生まれ。クルマ好きが高じ、大学在学中に自動車雑誌の編集部でアルバイトしたことをきっかけに、そのまま就職。そして編集プロダクションを経てフリーランスの自動車ライターに。日々新車を試乗し、日夜レポートを書く日々も気がつけば10年以上。そろそろ、家族に内緒でスポーツカーを買う癖はなんとかしないと。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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