三菱 デリカミニ 「アウトドアがよく似合う軽ハイトSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

アウトドアがよく似合う軽ハイトSUV

2023.7.23

年式

2023年5月〜モデル

総評

人気の軽スーパーハイトワゴンにSUVテイストを盛り込んだデリカミニ。愛嬌のあるフロントマスクは幅広いユーザーに好評で、やや高価なモデルにもかかわらず大人気となっている。スペーシアギアやタントファンクロスといったライバルに対して、ラフロードの走破能力に配慮した設計がなされている。もちろん日常使うシーンにおける快適性でもライバルをリードする出来映えだ。

満足している点

従来モデルのeKクロススペースよりも幅広い層に受け入れられるやんちゃなフロントマスクがいい。しっかりとした操舵フィール、しなやかな足まわりがもたらす乗り味のよさも光る。ワイドな視界がもたらす運転のしやすさ、広々とした室内空間、多彩なシートアレンジと積載能力の高さも見逃せないところ。

不満な点

最小回転半径は2WDが4.5〜4.8ｍなのに対して、165/60R15タイヤを標準装着する4WDは4.9ｍと大きめ。試乗中はとくに扱いにくさを感じる場面はなかったが、車庫入れの際に入れにくさを感じることもありそう。燃費についてもマイルドHVを採用するにもかかわらず、WLTCモード燃費ではライバルに一歩及ばない。

デザイン

5

eKクロススペースの実質的な後継車。スタイリングにSUV的な要素を盛り込みながら、親しみのあるフロントマスクを採用することで大いに注目を集めている。4WDモデルは15インチタイヤを装着することで見た目の安定感にすぐれ、ロードクリアランスも5mmプラスの160mmを確保している。

走行性能

4

試乗したのは4WDのターボ、Tプレミアム。ボディは1060kgとやや重めながら、マイルドHVを備え、効率にすぐれるCVTとの組み合わせでスムーズかつ力強い加速性能が確かめられる。アイドリングストップからの立ち上がりも違和感がなく、走行中の静粛性もハイレベル。高速走行ではビシッとした安定感がさらに欲しく感じる場面もあるが、マイパイロットを用いたクルーズは安全性や快適性に大きく貢献。よく出来ている。

乗り心地

5

4WDはダンパーを専用開発しており、非舗装路でもゴツゴツ感の抑えられた安定した乗り味が印象的。グリップコントロールとヒルディセントコントロールは全車に標準装備で、積雪路の下り坂でも安全に走行することが可能だ。舗装路では接地性にすぐれ、しなやかな乗り味が確かめられる。

積載性

5

後席は320mmのスライド機構を採用。4人乗車時でも前方にスライドさせることで荷室を拡大することができ、5:5分割の後席をアレンジすればかさばる荷物も積み込める。プレミアム系には樹脂ラゲッジボードを装備し、後席シートバックにPVC（塩化ビニール）を採用することで濡れた荷物や泥で汚れたアウトドアグッズも気にせずに積み込むことができる。

燃費

3

WLTCモード燃費は4WDが17.5〜19.0km/L、FFは19.2〜20.9km/L。車両重量が重めなこともあってライバルよりもやや低い数値だが、遠出ならばターボでも15km/L前後の実用燃費は得られそう。

価格

4

もっともベーシックなGグレードで約180万円ほど、4WDの最上級モデルTプレミアムで223.85万円と安くはない。だが、走行性能や走りの質感にすぐれ、装備内容も充実したスーパーハイトワゴン4WDでこの価格は納得できるものだ。