マツダ MX-30 「新しいマツダ車の提案」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

新しいマツダ車の提案

2021.9.30

年式

2020年10月〜モデル

総評

マツダ初の市販モデルの電気自動車として登場したMX-30。ただ単にEVモデルを出すのではなく、インテリアをリサイクル素材で作り、さらにそれを美しいデザインでまとめ上げているところが素晴らしい。ドライブフィールも人に寄り添うような感覚があってとても心地いい。EVモデルを購入するのはまだハードルが高いかもしれないが、環境が整っている人にはぜひおすすめしたい。

満足している点

近年のマツダのデザインにとらわれない、新しいチャレンジをした美しいスタイルや、リサイクル素材にこだわりながらも居心地のいい空間を演出しているところが良い。また、EVでできる緻密なコントロールを活かすことで、ドライブフィールは人の感覚に寄り添うような心地よさがある。

不満な点

EVの乗り味などはとても快適で心地いいが、実際に運転してみるとやはり航続距離がネックになる。現時点では技術的に難しいのかもしれないが、満充電で400km以上走れるようになったらこの価格帯でも購入する人は増えるのかなと思う。

デザイン

5

マツダでは、初めて市販モデルの電気自動車ということもあり、随所にこだわりが見られる。他モデルとは違った柔らかい表情のフロントマスクや観音開きのドアを採用していたり、インテリアにはリサイクル素材を使用するなど、MX-30が特別なクルマであることと、環境に配慮されているクルマであることがよく分かる。乗る人の性別や年齢によらない美しいデザインなので誰でもかっこよく乗れそうなところも◯。

走行性能

5

マツダの「人馬一体」というと、スポーツカーをイメージしがちだが、どんな人でも運転する楽しさや心地よさを感じられるという意味では、近年登場したモデルの中で、このMX-30がもっともその言葉を体現しているモデルだと思う。これまでEVといえばモーターの急加速や斬新さを売りにしていたモデルが多かったが、MX−30のEVモデルは、より人間の感覚に合うように丁寧に作られている印象だ。

乗り心地

4

一般道では、おおむね乗り心地は良好。ただ、18インチのタイヤが標準装備となることもあって、段差や路面の凹凸などでコツコツと突き上げを感じる時がある。EVモデルは、マイルドハイブリッドモデルよりも車重が重いこともあり、ややしっとりとした乗り心地だと感じた。

積載性

4

5人乗車の状態で、荷室容量が400Lと、このサイズのSUVにしてはやや少なめ。後席のシートは乗り心地と質感重視なのかやや厚めに作られているため、後席を倒した際に若干傾斜ができてしまうところも気になる。

燃費

4

マイルドハイブリッドモデルの燃費は、15.1〜15.6km/L（WLTCモード）。このサイズのSUVとしては平均的な燃費だと思う。EVモデルの満充電での航続距離は、256km（WLTCモード）とやや短く、頻繁に長距離移動をする人には向かないモデルかもしれない。

価格

4

価格は、マイルドハイブリッドモデルは、約242〜305万円。EVモデルは、約451〜495万円。マイルドハイブリッドモデルは、このクラスのSUVと比較すると、インテリアなどの質感が高く、お買い得に感じる。ただ、やはりこのクルマの真骨頂はEV。EVモデルの航続距離はまだ十分とは言えないので、価格は逆に少し割高に感じてしまう。「クルマの用途が近所の買い物だけ」など、最初から割り切った使い方でなければ購入は難しいかもしれない。