レクサス RZ 「レクサス初となるBEV専用モデル」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
3
燃費
4
価格
3

レクサス初となるBEV専用モデル

2022.8.9

年式
2022年4月〜モデル
総評
電動化を目指すレクサス初のBEVとして世界中から注目された。発表前はbZ4Xのレクサス版との予想があったが、実車の質感はその予想を遙かに超えた高いものだった。手に触れる各部の素材、スイッチ類の操作フィールはこれまで培ってきたレクサスそのもの。スピンドルグリルをBEV化に適合させるなどアイコンも進化させた。
満足している点
レクサス初のBEVという点。加えて新機構が盛りだくさんで、たとえばステアリングはタイヤとステアリングが物理的につながっていないバイワイヤー機構を採用した。左右方向に150度ずつ回すだけでフルロックが可能なのでステアリングを持ち替えることがない。ステアリングスイッチも斬新で、手を放すことなくすべての操作が可能だ。
不満な点
未だ購入できない点。コロナ禍に起因する半導体やワイヤーハーネスの不足の影響をまともに受けた。日本仕様の価格は未発表だが、欧州での価格からすると相当高価になる。サブスクリプションでの販売も行われると噂される。新開発、専用開発の各部品が多いことから納得できる部分も多いが、1日も早い発売に期待したい。
デザイン

3

全体のシルエット、ホイールサイズ、ホイールベースなどからわかるとおり、ベースとなったのはトヨタ「bZ4X」だ。これにレクサスが培ってきたスピンドルグリルをBEV向けにアレンジし、リヤセクションではストップランプを横長に配置してワイド感を強調している。各部に空力を意識したデザイン処理が施され、空気抵抗係数にも優れている。
走行性能

4

「DIRECT4」と命名された前後ツインモーター仕様。前150kW、後80kWで2次バッテリー容量は71.4kWhだ。bZ4XのFFモデルの前モーターに、AWDの後モーターを組み合わせた格好だが、走行性能は格段に高められた。前後の駆動力配分は0〜100、100〜0の範囲で電子制御される。
乗り心地

3

レクサスが目指すスッキリとした乗り味をBEVで実現した。4輪の接地感を高めるべく、ボディの各部は剛性を高めながらサスペンションの取り付け部分も剛性を向上させ、大きな入力でもしなやかに受け止める乗り心地に仕上げた。BEVならではの高い駆動応答性に合わせシート(バイオ素材30%使用)を新設計した。
積載性

3

ここは高い実用性を誇るbZ4Xと並び、十分なラゲッジルームの容量を確保する。リヤゲートの傾斜は強めだが、フロア高が低いためかさばる荷物も積み込みやすい。バッテリーは車体下部に敷き詰められており、リヤモーターに始まるパワーユニットも配置に工夫を凝らしているため、流麗なスタイルと高い積載性が両立している。
燃費

4

電費に関する発表はないが、充電一回あたりの航続可能距離は約450kmと伝えられている。ちなみにモーター構成の異なるbZ4Xのツインモーター20インチモデルは487kmだ。そのbZ4Xにも使われている2次バッテリーは10年間使用した後でも残存率90%以上を確保する長寿命タイプ。大容量(150kW)急速充電にも対応。
価格

3

日本での価格は現時点では未定。bZ4Xなどから予想すると、トップグレードは1,000万円の大台は超えてくるか? 2022年度のCEV補助金はすでに秋口で予算を使い切るとの予想があるが、日本での発売時期はそれよりも後ろにずれ込む可能性が高い。いずれにしろ高額モデルだが、すでに世界中で引き合いが強い。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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