レクサス NXハイブリッド 「格段に向上した走行フィール」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

格段に向上した走行フィール

2024.5.30

年式

2021年11月〜モデル

総評

2021年10月にフルモデルチェンジを行ったNXは23年3月にマイナーチェンジを実施。ボディ剛性を強化し、サスペンションや電動パワステのチューニングを見直した。さらに運運転支援システム「プロアクティブドライビングアシスト」のアップデートなどが行われている。

満足している点

プレミアムセグメントのミドルクラスSUVとしてはリーズナブルで、しかも経済性にすぐれたストロングハイブリッドは欧州同クラスには未設定。走行性能にもすぐれており、マイナーチェンジで操縦安定性と乗り心地のレベルアップが図られている。350hは合計1500Wの電力供給も可能であり、アウトドアで家電製品を使えるのもメリットだ。

不満な点

NX350h（ベースグレード）にはアドバンストパーク＋パーキングサポートブレーキ、フロントクロストラフィックアラート＋レーンチェンジアシストが未設定。先進安全装備は差をつけず、すべてのグレードで標準にすべき。

デザイン

4

23年のマイナーチェンジではエクステリアデザインに変更はないものの、20インチタイヤをバージョンLとFスポーツにオプションで用意した。組み合わされるアルミホイールはバージョンLがグレーメタリック塗装、Fスポーツがブラック塗装を採用。インテリアではブラック以外のカラーリングを刷新し、一段と華やかで上質感のある内装としている。

走行性能

4

先代と比べて大きな進化が見られるのは、走行フィールが驚くほどよくなったこと。大幅に高められたボディ剛性のおかげで無駄な動きが抑えられ、上質な乗り味が確かめられる。ハイブリッドシステムも発進時からモーターで駆動し、エンジンが始動してもノイズや振動が抑えられているので静粛性にすぐれる。操舵フィールもよく、切り込んだ際はスムーズで自然な感触が得られることに好感を持った。

乗り心地

5

20インチのランフラットタイヤを装着するにもかかわらず、サイドウォールの硬質な印象は抑えられている。路面の凹凸によってはゴツゴツとした感触が気になることもあったが、乗員には不快に感じられることもなかった。静粛性についてもロードノイズや風切り音は小さく、クラストップレベルの仕上がりだ。フル加速時に4気筒エンジンのノイズは耳につくけれども、ごく一般的なドライブでは快適な乗り心地が印象に残る。

積載性

4

後席を使った状態でも520リットルの容量を確保しており、ゴルフバックを3つ横積みすることが可能。後席を倒せば1411リットルに拡大し、6:4の分割可倒式のリヤシートバックは荷室側からスイッチで倒すことができる。

燃費

5

ハイブリッドの350hはFF、AWDとも経済性にすぐれ、およそ350km（高速6割、一般道4割）を試乗した際のAWDの燃費は15.5km/Lと、このクラスとしては優秀だ。ハイオク仕様となっているのが玉にキズだが、350hのガソリンエンジンはパワーフィールにすぐれ、ハリアーよりも力強い吹き上がりが確かめられる。ロングドライブでは急速充電器の使えないPHEVよりも経済性は優秀だ。

価格

4

ハリアーやCX-60よりも当然ながら高価な設定となっているが、同クラスの欧州プレミアムブランドよりも安価な印象を受ける。乗り味やクオリティにおいては欧州車と遜色がないばかりかそれらを上まわる面もあり、このクラスを求めるユーザーにとっては魅力ある選択肢と言うことができる。