ホンダ ZR-V 「ガソリンターボを選択する価値あり」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

ガソリンターボを選択する価値あり

2024.1.29

年式

2023年4月〜モデル

総評

シビックのハードウェアをベースとし、ガソリン車とe:HEVをラインアップする。売れ筋は経済性にすぐれたe:HEVだが、ガソリン車の実力も侮ることは出来ない。ヴェゼルはベーシックグレードのみガソリン車を設定するが、ZR-Vはバリエーションも対等で好みで選択することができる。1.5リッターターボでもよく走り、フットワークも軽快。リーズナブルな価格設定もガソリン車の美点だ。

満足している点

全幅は1840mmと大きめながら、水平基調のインパネ上面と太すぎないピラーのおかげで前方視界はスッキリ。最小回転半径も5.5mとヴェゼル並みで運転がしやすい。室内空間も広く、開口部のワイドなラゲッジルームも使いやすい。先進運転支援システムのホンダセンシングはすべてのモデルに標準装備。

不満な点

後席は表層のクッションがソフトで座り心地にすぐれるが、それに対してヘッドレストがやや硬め。さらにリラックス出来るようにリクライニング機構があってもいい。23年10月に特別仕様車「ブラックスタイル」が設定されたが、内装色にホワイト系の明るいカラーがあってもいい。

デザイン

4

デビュー当初に見た写真では賛否両論のあったフロントマスクも実車を見ると違和感を感じない。むしろ個性があっていいのではと思えるほど。ヴェゼルよりもひとまわり大きく、ボリューム感のあるまとまりだ。インテリアはシビックをイメージさせる仕上がり。全体の質感は高く、ミドルクラスらしい上級感を演出している。セレクターはe:HEVがプッシュボタン式なのに対して、ガソリン車は一般的なレバー式となる。

走行性能

4

シビックよりも100kgほど重いボディでも動力性能に不満を感じさせない。ワインディングでは軽快なフットワークが印象的でスポーティな走りが確かめられる。惜しいのはパドルシフトがZにしか装備されないので、自分なりの走りを楽しむのであればパドルシフトのないXよりもZを選ぶべき。ロック・トゥ・ロック2.4回転のステアリングは操舵フィールにすぐれ、切り込んだ際のレスポンスも良好だ。

乗り心地

4

足まわりは普段使いでも硬質な印象はなく、それでいて姿勢の変化もしっかりと抑えられている。路面からの入力をうまくいなすので乗り心地はなかなか快適だ。e:HEVと比べるとエンジンノイズは気になるものの、実用域での静粛性には納得できる。

積載性

4

フロアがフラットなラゲッジルームは使いやすいが、とくに広いといった印象は受けない。ZにはBOSEプレミアムサウンドシステムが標準となるのでフロア下スペースがほとんどない。荷室容量は385リットル（e:HEVは395リットル）を確保し、リヤシートは背もたれを倒すと沈み込むダイブダウン機構を備えた6:4の分割可倒式だ。パワーテールゲートは全車に標準装備される。

燃費

3

ガソリン車のWLTCモード燃費は13.9〜14.6km/L。実燃費を計測する機会はなかったが、57リットルの燃料タンクのおかげで計算上の航続距離は800kmほどと長い。ちなみにe:HEVは満タンで1200km（！）走れる計算だ。

価格

4

もっとも安価なFFの1.5リッターターボのXは304万9200円（2024年1月現在）。デビュー当初よりも値上がりしているものの、パワーテールゲートなどの快適装備、先進安全運転支援システムのホンダセンシングは標準。上級グレードのZ（364万8700円）にはナビゲーションシステム、12スピーカーのBOSEプレミアムサウンドシステム、本革シートなどが標準となる。