ホンダ ZR-V 「このe:HEVモデルには「すべての人類」が注目するべき！」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

このe:HEVモデルには「すべての人類」が注目するべき！

2022.12.21

年式

2023年4月〜モデル

総評

ガソリンターボエンジン搭載車も悪くはないが、特にe:HEV搭載車は、実用的なパッケージングと現実的な価格、そして十分な省燃費性能のなかで、きわめてスポーティに走ることもできるという稀有な一台。それはまるで初代ホンダ シビックのスピリットを現代の世に、現代の技術とパッケージングでもって蘇らせたかのよう。中型サイズのSUVを探しているすべての人に注目してほしい存在だ。

満足している点

個性的なデザイン。上質でハイセンスなインテリア。視界の良さ。e:HEVの、ファミリーカー的にもスポーツカー的にも走ることができる走行性能の高さ。そして居室の広さやHonda SENSINGが全車標準装備であるなどの、今どきのSUVとしての当たり前の基本性能の高さなど、そのGoodなポイントは枚挙にいとまがない。

不満な点

人によっては、個性的なデザインのフロントマスクに違和感を覚えるかも。またリアまわりのデザインが比較的平凡な点は、個性的でありたい人からは逆に低評価となるかも。フロントシートの座面がやや平板すぎるように感じるのも、ちょっとした「気になるポイント」だ。

デザイン

5

フロントマスクは好みが分かれるかもしれないが、全体としてはSUVとしてやや低めな全高と長いルーフラインがもたらすプロポーションの良さ、そして余計なメッキ装飾やモールディングなどを排したシンプルな美しさが光る。インテリアも、現行型シビックとの共通性を感じさせる水平基調のダッシュボードや、各所に用いられている「パール調プライムスムース」の内装フィニッシュなどがもたらす世界観は、このクラスとしては突出して質感とセンスに優れている。

走行性能

5

2モーター式ハイブリッドである「e:HEV」搭載モデルの走行性能は大変素晴らしい。ジェントルにも、スポーツカー的にも走ることができ、いずれの場合でも走行中の姿形変化がきわめて小さい。また運転席からの視界もきわめて良好であるため、ほぼストレスなしで、どんなシーンでも走ることが可能だ。一方の1.5Lガソリンターボエンジン搭載車は、悪くはないというか、むしろ好印象な走りを披露するのだが、いかんせんe:HEVのパフォーマンスが優秀すぎるため、相対的に霞んでしまう。

乗り心地

5

良好である。スポーティに引き締まってはいるのだが、決して「硬い」という感触ではなく、どんなシーンであっても最小の姿形変化量で、しなやかに走ることができる車だ。またe:HEV車のエンジンが走行中に始動した場合でも、その音は車内にほとんど入ってこない（まったく入ってこないわけではないが）。つまり静粛性がきわめて高く、標準またはオプションで装備されるBOSEサウンドシステムの音質も心地よいため、いつまででも乗っていたい気分にさせられる。

積載性

4

ラゲッジルームはさほど広くはないが、大型バッテリー搭載車にありがちな「バッテリーのせいで荷室の深さがない」ということにはなっていない。e:HEV車とガソリン車の荷室の作りは同一で、どちらも9.5インチのゴルフバック3個を横向きに積載できる。

燃費

4

WLTCモード燃費はe:HEV車が21.5〜22.1km/Lで、ガソリンターボ車が13.9〜14.6km/L。ガソリン車のほうは「クラス標準」といったところだが、e:HEV車の燃費はさすがにまずまず良好だ。

価格

4

FF車で見る場合、ガソリン車は294.91万〜354.86万円で、e:HEV車は329.89万〜389.95万円。特にe:HEV車は、最近の車ゆえに絶対額が安いわけではないが、その総合性能の高さから考えるならば「相対的にはかなり安い」と考えることもできるはず。ガソリン車の標準グレードは、問答無用で「安い！」といえる。