ホンダ ZR-V 「驚くほどスポーティな走り」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

驚くほどスポーティな走り

2023.1.11

年式

2023年4月〜モデル

総評

2つの顔を持つSUVだと思います。ひとつは後席や荷室が広い実用性の高さ。もうひとつは爽快な走りです。どちらからアプローチしても満足できる愛車になってくれると思いますよ。「ヴェゼルではちょっと物足りない」という人にもっともマッチするかも。

満足している点

リフトアップしたワゴン的なデザインも個性的でいいし、荷室の使い勝手も魅力だと思います。が、個人的にはなんといってもデザイン。まるで水を得た魚のように峠道を走ってドライバーを楽しませてくれる走りも素晴らしいです。走りの楽しさはガソリン車よりもハイブリッド車（鋭くトルクが立ち上がるからアクセルを踏んだ際の反応がいい）、そしてハンドリングはFFよりも4WDのほうがいいですね。後輪へ積極的にトルクを伝えることで、旋回中にレールの上を走るように走行ラインが安定する感覚が良好だからです。

不満な点

値段は……CセグメントSUVとして考えると少し高いかも。車体サイズ的にはマツダ「CX-5」くらいまでライバルと言えますが、車格的にはトヨタ「カローラクロス」、スバル「クロストレック」、マツダ「CX-30」あたりが競合であり、それらと比べると気持ち高いような……。ホンダのCセグとしては頑張った値付けだというのが理解しますが……。

デザイン

3

「ヴェゼル」のお兄さん的なポジションであると同時に「CR-V」の後継的な役割もあるわけですが、スタイリングはヴェゼルに近い雰囲気ですね。CR-VのようにいかにもSUVではなく、リフトアップしたステーションワゴンのような軽快な雰囲気が感じられます。賛否両論のフロントデザインも、実車を見るとけっこうカッコいいと思います。

走行性能

4

走りは凄いです。ハンドリングはスポーツカーのようにキレッキレでよく曲がるから峠道での運転が楽しすぎるし、いっぽう高速道路では接地感が高くて落ち着きと安定性が高いから疲れにくいですね。いったい何なの？っていうくらいドライビングプレジャーを感じられる、ある意味ホンダらしいクルマ。スポーツカーのようなハンドリングを楽しみたい人にぜひ乗って欲しいSUVです。あと、動力性能はガソリン車よりハイブリッドが上ですが、そのハイブリッドは速度上昇にリンクするようにエンジン回転が上がり、シフトアップする演出がとても気持ちいいです。

乗り心地

3

前席に乗っている限りは乗り心地の悪さは感じられません。ただ、後部座席だと段差を超えたときの突き上げ感や上下方向の揺れに粗さを感じる人もいるかも。ファミリーカーとして使うようなユーザーは、試乗でリヤシートの座り心地を実際に確かめてみることをオススメします。

積載性

4

後席使用時の荷室容量は床下も含めて385L（BOSEオーディオ装着のe:HEV車）〜408L（BOSEオーディオ非装着のFF車）。床の奥行は90cm弱あり、9.5インチのゴルフバッグは2つ積めます。注目したいのは、後席格納時のシートの畳まれ方。背もたれの前倒しに加えてダイブダウン構造（座面が沈み込む機構）になっているから、床面がフラットかつ広くて実用的。まあ、後席を倒さない人には関係のない話ですが。あと、電動テールゲートの全車標準装備化はうれしいですね。

燃費

4

燃費を気にするならハイブリッドを選びましょう。ガソリン車が13.9〜14.6km/Lなのに対し、ハイブリッドは21.5〜22.1km/L。ハイブリッドは加速力があるだけでなく加速フィーリングも上々で、そのうえ燃費がいいので最高です（ネガなのは車両価格のみ）。

価格

3

ガソリン車のベーシックグレード「X」で300万円切りを実現。価格設定は「このクラスのホンダにしては頑張った」といっていいのかもしれません。上級グレード「Z」はカーナビも標準装備で354万8600円から。ハイブリッドだと約35万円アップ、4WDは20万円強の価格アップですね。もっとも安いグレードのコスパが最強か？