ホンダ ヴェゼル 「変わったのは内外装だけではない」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

変わったのは内外装だけではない

2024.10.28

年式

2024年4月〜モデル

総評

2024年4月のマイナーチェンジでは内外装のリニューアルに加え、走行性能に対するブラッシュアップも行われている。さらにe:HEV Xをベースとしたアウトドアイメージを強調するハントパッケージの追加も見逃せない。デビューから4年半が経過しているが、商品性の高さは相変わらず。コンパクトSUVを求めるユーザーにとっては選択肢のひとつとしてピックアップしておきたい。

満足している点

マイナーチェンジではe:HEVの制御が見直され、以前のモデルに対してエンジンの始動回数や停止頻度を低減、アクセルレスポンスも向上させた。さらに遮音材、防音材の配置や厚みを見直すことでロードノイズを低減。FFモデルではダンパーの減衰力が見直されて、さらに乗り心地を向上させている。

不満な点

マイナーチェンジ以前にも指摘していたが、ヴェゼルの全高は1580〜1590mmとSUVとしては低め。一方で、都市部のマンションなどに多い機械式立体駐車場の制限1550mmよりもわずかに高い。シャークフィンアンテナを低め、最低地上高をわずかに減らすなどの工夫で立体駐車場の利用も可能になるのではないか？　そんな都市型ヴェゼルがあってもいいと思う。

デザイン

3

フロントグリル＆バンパーデザインを一新。リヤコンビランプはオールLED化されて質感が高められている。内装ではセンターコンソールのデザインを変更。助手席側のUSB差し込み口がタイプAからタイプCに変更された。また、新設のハントパッケージはカーキ×ネイビーのカラーを用いたプライムスムース×ファブリックの表皮を採用し、Xベースでありながらカジュアルな雰囲気となっている。

走行性能

4

試乗したのはe:HEV XハントパッケージのFFモデル。e:HEVのスムーズさは相変わらずだが、防音材の追加などでドライブ時の静粛性は高められた。また、EV走行の領域が拡大されたおかげでエンジンの作動タイミングが減少、ノイズや振動も少なくなっている。

乗り心地

4

FFモデルはダンパーの減衰力を変更することで以前に増してフラットな乗り心地を得ている。エンジンや路面からのノイズも抑えられているので一段と快適な乗り心地を得ている。

積載性

5

ホンダの独自技術でもあるセンタータンクレイアウトはラゲッジルームの低床化を実現し、多彩なシートレイアウトにも対応する。ヴェゼルは後席使用時も高さ550mmのスーツケースを4つ積み込むことが可能で、後席を倒せば座面も同時に沈み込むダイブダウン機構によって完全フラットなフロアが出現する。後席座面を跳ね上げるチップアップ機構も備わり、高さのある荷物を積み込むことも可能だ。

燃費

5

e:HEVは経済性にすぐれ、高速クルーズや一般道において20km/L以上の実燃費も期待できる。ガソリン車は4WDのみの設定となり、WLTCモード15.0km/Lと、e:HEVとは少なからぬ差がある。

価格

4

e:HEV ZハントパッケージはFFで300万円を切る299万8600円。リーズナブルでありながら必要にして十分な装備を備えるが、ドアロック時にドアミラーを自動で折りたたむ「オートリトラミラー」が未設定なのが残念。より充実した内容を求めるのであればe:HEV Z（319万8800円〜）を選ぶ必要がある。e:HEV Z PLaYパッケージ（355万6300円）は高価だが、ナビゲーションシステム、ワイヤレス充電器などが標準。パノラマルーフはオプションとして用意される。