ホンダ S2000 「古典的FRスポーツ」のユーザーレビュー

古典的FRスポーツ

2022.7.3

総評

車としてはその鋭敏な操縦性から賛否の論があるが開発者が狙ったラインは徹頭徹尾、完遂された至高の一品であるだろう。

AP1型は電制が付いてない最後の世代の車となる。最も長期に渡り所有し乗った車であり、いまだに私の車を評価するにあたってのベンチマークとなっている。
乗り手を育てる、というよりは鍛える、そんな車である。

満足している点

エンジン
操縦性
オープンボディ

不満な点

無し

デザイン

5

外装デザインは尖ったデザインのなかに丸いテールランプや大きいヘッドライトと愛嬌もある。
お気に入りはフェンダーの造形とボンネットの絞り込みである。
先端の尖ったデザインは前部に空間が発生するフロントミッドシップレイアウトを最大限に活かしたものであり、造形美というよりは機能美とすら言える。
エンジンルームを観るとエンジンがサスマウントの後部にあり、フロンミッドであることを視覚からもはっきりと確認できる。

内装はとても狭いがむしろ、それを活かして機能的にレイアウトされており、ほとんど腕を動かす必要がない。シフトにいたっては肘を固定した状態で手首の返しだけで操作ができる。
メーター類も視認性が良い。
シートもホールド性がよく、一時は交換を考えたが結局は最後までノーマルで通した。

走行性能

5

私は初期型のAP1であり足回りの改修をする前のモデルとなる。
AP2に関しても基本的な特性は変わらないとは思うが、この車の操縦特性はエンジンに依存、というか影響を受ける部分が多々ある。
基本的に高回転型エンジンなので回して出力を出すわけだが、そうなるとどうしても出力変化も大きくなり車体の反応も鋭敏で唐突になる。
それに加えて剛性の高いボディに良好な前後重量バランスは応答性、復元力に優れるわけだが、それは同時にドライバーに素早く的確な操縦を要求する。

これらの要素が相まって気難しい操縦性、と評されがちな初期型AP1ではあるが、それは速く走行するための機械であれば車は応答性に優れておりドライバーも素早く的確に操縦する必要がある、ということであろう。

走行性能とは異なるがカチャンカチャンと音を鳴らしカッチリと決まるミッションはとても質感が高く、素晴らしいものだった。

乗り心地

3

純正の乗り心地は意外と悪くない。
むしろ柔らかめでロールが出る。
とはいえ、この車で乗り心地うんぬんを語るのも野暮というものだろう。
ここでは乗り心地というよりは操縦特性について記しておきたい。

先に記したように純正は柔らかめではあるが、ある領域からは踏ん張りグっというよりはググっと限界を伝えようとする。

しかし、100キロを超えるような高速コーナーではオーバステア特性があり唐突にリアが流れるので要注意である。
何回かやっていると流れるパターンやコーナーがつかめてくる。
この点はアクセルコントロールで荷重を後ろに移せばグリップが回復するがカウンターを当てているとおつりをくらう。ゆえに瞬時にというよりは事前にステアリングを中立に戻す必要がある。
このあたりは練習を重ね車の反応速度に慣れていくしかない。慣れれば瞬時にグリップを回復させることが可能となり、より速い速度でコーナーを抜けることが可能となる。
これらの操縦特性を空力特性で解決しようとしたのがタイプSなのだろうと思っている。

この車はエスケープゾーンに余裕のあるサーキットや広いジムカーナ場で楽しむことをお勧めする。

積載性

-

積載を評価するのはそれこそ野暮だろう。
オープンエアで至高の排気音を感じながらドライブするのはそれだけでエンターテイメントである。

燃費

3

2022年現在となっては良くないだろうが、当時としてはとても良く感じたのを記憶している。

価格

-

当時は新車での購入だったが、あれだけの車をあの金額で買えたのであればむしろ安い、と感じた。
現在では価格が高騰しているようで、一概に価格評価ができないので無評価としておく。

故障経験