ホンダ N-ONE 「見た目は変わらなくても中身は大進化した2代目」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

見た目は変わらなくても中身は大進化した2代目

2024.6.26

年式

2020年11月〜モデル

総評

プラットフォームを完全刷新しているのに、外観はそのままという前代未聞のフルモデルチェンジを行った2代目N-ONE。初代からのタイムレスなデザインを確かに受け継いでいるけれども、新鮮味という点では物足りなさを感じるかもしれない。しかし、乗り込んでみると進化の度合いは大きく、乗り味については軽クラスではトップレベルと言えるほどの進化を見せている。運転することが好きな人にとっては6速MTが設定されたRSにも注目したい。

満足している点

個人的にはボディパネルや灯火類にわずかな変化をつけてもよかったと思うが、プラットフォームを刷新しながら外板をあえて変えないという挑戦（？）も凄いと思う。セダンタイプとしては高めの着座位置で視界も広く、運転がしやすいのもN-ONEの美点。先進安全運転支援システムのホンダセンシングがRSの6速MTにも装着されており、ACCやLKAS（車線維持支援システム）を活用すれば、安全で快適、経済的な高速クルーズが得られる。

不満な点

フロントまわりや灯火類で先代との区別は出来るものの、外観のプレスラインにもさりげない違いを出してもよかったと思う。ドライビングポジションの適正化を図るため、ステアリングにはテレスコピック機能を採用すべき。

デザイン

4

先代のボディパネルを流用という荒技にはビックリ。新旧の区別はつきにくいけれど、アップデートされたフロントマスクにLEDデイタイムランニングライト、フルLED化されたリヤコンビランプの装着によって、わかる人には2代目だと判別できる。インテリアはデザインを一新しており、センターディスプレイをインパネ上部に設置して視認性を向上。ダッシュボードの下部をえぐることで助手席足元スペースが広げられている。RSにはオレンジのアクセントが入ったインテリアが標準となる。

走行性能

4

NAエンジンは実用域でも扱いやすく、CVTとの組み合わせで必要にして十分の性能は得られる。RSに搭載されるターボエンジンは3000回転付近から本領を発揮し、力強い吹き上がりが印象的。CVTにはパドルシフトが備わり、Sレンジでは専用の制御が行われる。6速MTはシフトノブが握りやすく、ストロークも短めで操作性よし。自分なりの運転を楽しみたい人に向く。

乗り心地

4

乗り心地はしなやかで快適。RSは引き締まった乗り味が得られるが、それでも不快な印象はなく、コーナーの続く山岳路では安心感のある乗り味となる。静粛性についてもフロントスクリーンに遮音ガラスを採用するなど、ノイズ対策もしっかりと行われている。軽クラスとしてはトップレベルの静粛性を確保する。

積載性

4

センタータンクレイアウトのおかげでフロアが低く、50:50の後席バックレストを前倒しすると段差のないフラットなフロアが出現する。さらに座面は跳ね上げることも可能で観葉植物など高さのある荷物を積み込むことが可能。軽なので絶対的な容量は限られているものの、使い勝手のよさは申しぶんない。

燃費

4

WLTCモード燃費ではすべてのモデルが20km/L以上の燃費性能をマークする。燃料タンクは25〜27Lなので、実燃費で17km/Lとした場合、満タン給油での航続距離は425〜450km程度。ちょっとしたドライブならば無給油で帰ることが可能だ。

価格

4

2024年6月に原材料価格の高騰などにより値上げされている。オーソドックスなヒンジ式4ドア車としては高価な印象を受けるが、内外装デザインは一段と洗練されており、見た目にはフルモデルチェンジに見えなくても中身はすべて新しい。ベーシックな「オリジナル」でも装備内容は必要にして十分。「RS」ならばスポーティな走りが楽しめる。もちろんホンダセンシングも全車標準で備わっている。