ホンダ Honda e 「 2020年式Honda e ミニ感想文」のユーザーレビュー

ノイマイヤー ノイマイヤーさん

ホンダ Honda e

グレード:Honda e アドバンス 2020年式

乗車形式:その他

評価

2

走行性能
-
乗り心地
-
燃費
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デザイン
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積載性
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価格
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2020年式Honda e ミニ感想文

2022.1.23

総評
●五万円するビーチサンダル
2020年10月に発売されたHonda eに短時間試乗した。Honda eはリース専用では無く、年間1000台の計画で一般販売される都市型コミューターである。

ゲームを優位に薦める為に作られたEVシフト。日本製HEVに勝てないと見るや否や迅速なルール変更によって自動車業界が大きくBEVが突き進むなか、エンジン屋の異名を持つホンダは2021年4月に脱エンジン(EVとFCVを合計して販売比率100%を目指す)と決別を高らかに宣言した。

そんな現状のホンダを代表するBEVがHonda eである。初めてのEVであるHONDA EV Plus(1997年)、FIT_EV(2012年)を経てリースでは無く、量産して販売する「売り切り型EV」である点もホンダとしては新しい。

ホンダがエンジンをやめるなんて「吉野家、2040年までに牛丼撤廃」を宣言するようなものだ。しかし、世の中にはフィルムを辞めてからも成長を続ける「富士フイルム」も有るわけで、確かに新しい枠組みに挑戦する事もホンダらしさの一部なのである。

全長3895mm、全幅1750mm、全高1510mm、軸距2530mm。初代シビックを思わせる可愛らしさだが、フィットより短い代わりに幅は広い。床下に破壊すると発火のリスクを負ったLiイオン電池を搭載しつつ、側突性能を満足させてやるにはある程度EA(エネルギー吸収)できるクリアランスが必要なのは仕方なく、初代シビックの1505mmどころか、小型車枠の1700mmを切る事も出来ないながら、欧州Bセグ並みの車幅となっている。

駐車場にちょこんと止まっている姿はかわいらしくもあり、先進的な印象である。Honda eが何故新しく見えるかと言えば、単にドアミラーに変わってカメラに置き換えた、とかLEDヘッドライトやグリルレスなフロントマスクが・・・、というだけでは無くウインドシールドガラスからAピラー、サイドドアガラス、センターピラーガーニッシュを経てクオーターピラーに渡る面がツルンとフラッシュサーフェス化したからだ。ドアフレームを廃して一昔前のハードトップセダンのようなサッシュレスドアを採用した効果が大きい。更にAピラーガーニッシュを樹脂化し、ガラスルーフと組み合わせてボディの溶接部隠しのために設けられたルーフドリップモールを廃止した効果も大きい。

他にも既にN_BOXが採用しているクラムシェル型エンジンフードなどのテクニックを駆使して継ぎ目を減らす事でコンセプトカー感を演出している。ボディパネルをロウ付けして継ぎ目そのものを埋めるのでは無く構成線を減らす事でスッキリ見せる手法は量産車にも適した現代的な手法だ。エモーショナルを合い言葉にして要素を足し、驚きだけを追い求めたデザインの対極にHonda eはいる。

Honda eに乗り込むためにロックを解除するとアウトサイドハンドルがちょんと飛び出してくる。指をかけてドアを開ける。インテリアで真っ先に目を引くのは室内幅いっぱいに鎮座する液晶画面群だ。両サイドはドアに取り付けられた小型カメラの映像を映すための液晶画面があり、中央には計器板と連続して各種情報を表示する機能がある。

この部分がHonda eに乗り込む人に最大の驚きをもたらす先進感のある特徴だが、それとバランスを取るように趣味の良い木目調パネルと明るいメランジ調ファブリック生地のシート、そしてシートと同じ柄の面をドアトリムやインパネにも設定して統一感を持たせている。

前席に着座するとハッチバック然とした外観の割にヒールヒップ段差が小さくてクーペライクなパッケージングである事に気づいた。電池を床下に積む事が多いEVゆえフロアが高いからだ。本格的なフレーム構造のクロカンの着座感覚と似ている。前席2名乗車であればそれでも何とか運転姿勢を取る事が出来る。2020年代の車として異例なほどペダルとステアリングコラムのオフセットが大きい原因は走り始めてすぐ分かる事になる。

前席は何とか座れるものの、後席は完全に非常用と割切った方が良い完成度である。膝前に握りこぶし2個分のスペースがあるが、例の電池の影響でFrシート下に脚が入らない。そしてヘッドクリアランスも握りこぶし1個分程度で身長175cm以上の方には窮屈かも知れない。フロアが高く、脚を投げ出すスペースも無いので平板なシートのため快適性はかなり低い。これは先行する日産リーフと同じ欠点を再現している。パッケージングを考えると床下に大容量のバッテリーを積む車のベースはSUVが適している、という私の考えは一層補強された。

運転を開始した。Honda eは駆動用モーターを後部に配置して後輪を駆動するため、前輪はフリーな操舵輪となった事で大きな切れ角を実現。最小回転半径4.3mというずば抜けた性能を発揮する。試しに市街地の交差点でUターンを敢行したが、余裕綽々でクルンと転回する様は誇らしい。

EVらしく発進時は無音(本当は車両接近通報装置の音がする)なのだが、タイヤの音が真っ先に聞こえ、その後で日産のCMのような大袈裟なモーターノイズが耳に入る。その先で気になるのは砂跳ね音である。昨年試乗したヴェゼルでも指摘したがHonda eも砂跳ね音が酷くて気になる。EVのように「静けさ」に期待されがちな車はもっと低級騒音にデリカシーを発揮すべきである。

モーターの113kW(154ps)/315Nm[32.1kgf]というずば抜けた性能は車重1540kg(ステップWGNに近い)という重量を感じさせない。モーターのスペックと後輪駆動の素性の良さが相まってロケットのような加速Gを楽しむ事が出来る。リーフもプリウスPHVもテスラモデル3もこういう加速こそがEVらしさだ!として積極的にアピールしている。重量級でありながら目が覚める思いだ。分かり易いEVの楽しさとして当面はこの様な過剰な加速感は他社でも演出手法として多用されるであろう。

操縦性も特徴的である。重いバッテリをしっかりボディに結合して低重心で高剛性だからなのかステアリングを切ったら切っただけ曲がっていくように鼻先がスイスイ向きを変えていく。操舵に対する応答も早く少ない操舵量で十分向きが変わるのでスラロームコースを走れば意のままに操れるだろう。いずれステアバイワイヤになればこういう操縦感覚の車は増えていくと想像している。

試乗コース中に閑散としたラウンドアバウトがあって旋回してみたが、たかが環状交差点を回るのが楽しいなんて。他車がいないから何周かしてしまった(笑)

ロケットのような加速、カミソリのような旋回性…怒られそうだがMINIクーパーSに似たゴーカートフィーリングだ。(Nコロが…とか旧い話を持ち出すつもりは無くて素直にそう思った)

とはいえ乗り心地に突き上げるような悪癖は無く、相対的にばね下重量の軽いHonda eの方が一枚上手である。

Honda eの開発コンセプトは「街なかベスト」であるという。シティコミュータとして各性能を最適化したクルマ作りになっている。発進停止を繰り返す市街地だから加速性能の良さが味わえ、交差点の右左折で敏捷性や小回り性能が楽しめる。実際にHonda eに触れてみれば看板に偽りなしであることは私にでも分かるレベルだ。

一方で航続距離の短さ(WLTCモード259km)や軽自動車未満の荷室やパッケージングのしわ寄せが来た後席を見る限り495万円という本体価格は近所で用事を済ますための気軽なサンダルには随分と高価だ。イメージで言えば都内在住のファッショナブルな方がサラッとカフェに行くのに使う車、という感じなのだろうか。私のような庶民は495万円出すなら、何にでも使えるオールインワンな車を選んでしまいそうになるが、敢えて短距離シティコミュータに495万円の支出をサラリと許容できる人たちはこの車に惚れ込んでいるからこそ全てが許されるのだろう。

他のもので例えるなら五万円するビーチサンダルと言ったところか。

その意味でHonda e以外に似た都市型コミューターを探すならルノートゥインゴやトヨタiQ、三菱iもあるがどれも495万円はしなかった。

トヨタと共にハイブリッド技術で業界をリードしてきたホンダ、脱エンジン宣言をしたホンダが初めて市販するEVとしてHonda eを見ると少し肩透かしというか、本気で欧州メークとバッティングする事を避けたのかなと言う気もする。(テスラモデル3は本気でBMW3シリーズを意識していると私は感じたが)

(五万円するビーチサンダルたる)Honda eを前にやれパッケージングが、とか汎用性とかそういう見方で見る事はナンセンスなのだろう。買える人が買って、買った人は買った人なりにその瞬間を楽しんで生活する。

都市型EVコミュータとして見れば魅力もあるがそれにしても価格が高すぎるため★2つ。価格が税込300万円なら★4つ。

一般的なコンパクトカー中の一つとして見ればバリューフォーマネーとかパッケージングに難があって★1つ。人には薦められない。

2時間ほど試乗して楽しい体験が出来た。面白い車である事は事実。しかしコイツと一緒に暮らせるかと言えば多分私にはマッチしないだろうなと。でもきっと買う人は周囲から反対されてもコイツを選ぶ、そういうスペシャルティカーなのだろう。初代シティをモチーフに健全パッケージングなEVも見てみたい。
満足している点
1.かわいらしい内外装
2.刺激的な加速性能・操縦性
3.実用的なサイドカメラミラーシステム
4.シティコミュータとして優れた小回り性能
不満な点
1.走り始めてすぐ分かるタイヤの音
2.砂はね音で興ざめ
3.価格を考えると細部のクオリティが不足気味
4.真っ向勝負から逃げた?
デザイン

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走行性能

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乗り心地

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積載性

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燃費

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価格

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