日本のコンパクトカーはどこに向かうのか。
長文です。
いつも乗っている車の車検で、1週間ほど代車として使用しました。
コンパクトカーの売れ筋ナンバーワ
2011.3.10
- 総評
- 日本のコンパクトカーはどこに向かうのか。
長文です。
いつも乗っている車の車検で、1週間ほど代車として使用しました。
コンパクトカーの売れ筋ナンバーワン、「ライバルと比較して室内が広い」と評判のフィットで、確かに車のサイズの割に広々とした感じが好印象でした。適当にアクセルを踏んでいてもそれなりに走り、ラクな車だなぁと感心しました。
広く感じる理由はAピラーが前方にあるためでしょう。その結果としてダッシュボードの上の部分が広くなり、またガラスが斜めに前方まで伸びていることで面積が大きくなって、これらが開放感を作り出しているんだろうなぁと思いました。で、左右のAピラーが前方にあるので斜め前方の視界が遮られる車となり、これを補うために三角窓なんていうあまり役に立たなくてカッコ悪いものが付いたんだろうなと予想しました。この車の生い立ちも開発エピソードも何も知らないんで勝手な妄想ですが、①室内空間を広くしたい、②Aピラーを前に出そう、③・・・って順番に作り始めたんじゃないですか?(適当なこと言って違ってたらすみません)
斜め前方の視界が悪くなる危険よりも広い室内空間を確保することを重視して作られてる訳ですね。
日本人が車に求める条件で特に大事なことは「安い」ことと「便利」なことに加え、「広い」ことなのでしょう。窮屈な軽自動車でさえ、軽自動車の枠いっぱいの大きさの車を作って広さを誇っています。広い車が受けたので多くの軽自動車のメーカーが広い車を作ることばかりに集中して本当のミニマムな車を作ってこなかった結果、小さい空間にエンジンから何からいろんな物を詰め込んで車を作り上げるという他国では真似のできない素晴らしい技術を持ちながら、車全体の大きさとしては世界的に見て中途半端な小ささとなり、海外の先進国では見向きもされないという非常に残念な状態となっています。
フィットも広さを確保するため?ドアもびっくりするくらい薄いです。ドアノブを離した時の音もまた悲しくなるくらい薄い鉄板の音がします。
車に広さを求める人の中には、「広ければ広いほど良い車」みたいに言う人もあると思います。それは自分でそう考えたのでしょうか?それとも誰かの意見を聞いてそう思うようになったのでしょうか?そんなに広い車が好きならもっと大きな車に乗れば良いと思うのですが・・・。
- 満足している点
- 日本だけで流行っているCVTも、コスト削減で新しいミッションの開発もできず、多額の費用を投入した手前、今更後戻りできない状態となっていると聞きます。このアクセルを適当に踏めば適当に走るルーズな感じは慣れてしまえばラクなんでしょうけど、こんなのに乗ってれば運転もどんどん下手になるはずだなとつくづく感じました。
フィットを近くでしっかり眺めたのは初めてですが、変な直線がたくさん集まったカクカクしたデザインで、これこそホントに「ガンダムみたい」だと思いました。中学生がカッコいい車をデザインしたらこうなった、というような、とにかく無駄なラインが多く幼い印象を受けました。これは遠目に見ていた時には気が付かなかったことで、ホンダが海外、特にヨーロッパで非常に苦戦しているのはデザインのレベルに一番問題があるのではないかと本気で思いました。内装もホンダ車がよく指摘されているとおり子供っぽく、メーターなどに使用している素材の安っぽさも相当なものです。
まるで商用車のような後部座席の貧相さにもびっくりでした。この折りたたみってメリットなんですか?デメリットじゃなくって?
もちろん安い車であるのは分かります。高級車に期待するような要求をフィットにも同様に求めることが誤りであることも分かります。
しかし安いグレードはエアバックが2つしか付いてないし横滑り防止装置も付いていません。新興国の車ならこれでいいと思いますが、ちゃんとエアバックとかを付けたりすれば、この安っぽい車でも結構な値段になってくるんじゃないでしょうか。エアバックなんてイタリアのアホみたいな車でも当たり前に7つとか付いてますからね。
皆さんから低い評価を受けているマーチはプラットフォームの素材とエンジンに、これまでの日本車が向かっていた方向とは異なる新しい技術が投入されています。新興国で作られている車ですが、先進国の技術を感じることができます。残念ながらフィットには収納上手、みたいな点くらいしか思い浮かびません。
海外では日本車のシェアは低下し、代わりに韓国などのメーカーの台頭が目立つようになってきました。理由は、日本車が「安くて壊れにくい車」と認識されているからでしょう。
- 不満な点
- 「走りがしっかりした車」「移動が楽しめる車」「所有する喜びがある車」「日本らしさを感じることができる車」であれば多少高くても日本車ブランドとしての支持を集めることはできると思います。しかし、他国の車の耐久性が増した今、日本車には「先進国で作られた割には安い」くらいしか特徴がなくなってきているのではないでしょうか。それなりの品質でさらに安い車が登場してくれば、日本車の商品としての魅力が低下していくのは仕方がないことと思えます。
日本人の「質素倹約基質」、お金を使わずにため込む性質は今更変えることはできないでしょうし、まぁ悪いことではないとも思います。ただ極論を言えば、マーケティングのみに力をいれてそれらの消費者のニーズに迎合し、「安い」車と「安い割に…」な車ばかり作ってきた結果、新しい技術の開発は滞り欧州に大きな差をつけられ周回遅れとなっている分野すら存在しているのが、多くの日本車メーカーの現状ではないでしょうか。(マツダにはものすごく期待していますけど)
コンパクトな車内にこれほどの広い空間を作り出すために要した努力には敬意を表しますし、経済状況なども踏まえ、フィットのような車は絶対に必要だと思っています。
ただ、日本には胸をはってMade in Japanであると答えられる車が少なくなっていると感じます。(コンパクトだとスイフト? あとは…)
残念なことですが、日本のコンパクトカーって安いですけどやっぱり値段相応で中身も安っぽい車が多いです。メーカーが安っぽい車しか作らないから、私たちに選択肢がないという問題もあると思います。しかしメーカーが宣伝するがままにそれを信じて「安い」「広い」を良しとする価値観を深めているのであれば、私たちにも問題があるのではないでしょうか。
今日の午後の仕事が久しぶりにヒマだったのでつい思う所を述べさせていただいてしまいました。
これを呼んで気分を害された方も多いかと思います。
申し訳ございません。
フィットに乗ったのでホンダの批判みたいになってしまいましたが、私はトヨタよりホンダの方が好きです。頑張ってほしいという期待もあります。
でも大げさな表現ではなく、日本のモノづくりや経済の失速をとても身近なものとして感じる体験だったのでこのような投稿をさせていただきました。
最後まで読んでいただき誠に有難うございました。
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