ホンダ フィット 「サプライズはないの? ほんの10年ほど前までは、1～1.3Lクラスの車といえば、軽自動車の延長線上にあるような車が多く、貧弱な装備や狭い室内、質感の低」のユーザーレビュー

サプライズはないの? ほんの10年ほど前までは、1～1.3Lクラスの車といえば、軽自動車の延長線上にあるような車が多く、貧弱な装備や狭い室内、質感の低

2007.10.29

総評

サプライズはないの?
ほんの10年ほど前までは、1～1.3Lクラスの車といえば、軽自動車の延長線上にあるような車が多く、貧弱な装備や狭い室内、質感の低さなど、あくまでも上のクラスの車にステップアップしていくベースであったり、免許取立ての若い人や主婦の買い物用という存在に過ぎなかったように思います。
　しかし2001年に旧型フィットが、センタータンクレイアウトによる広い室内、上級車種に劣らない充実した装備、24㎞/Lという超低燃費を引っさげて登場して大ヒットして以降、各メーカーから魅力的なコンパクトカーが続々と登場しました。
　フィットは日本のコンパクトカー全体がレベルアップするきっかけとなった車であるように思います。
　そんな大ヒット車のフルモデルチェンジとあって、キープコンセプトで登場した新型ですが、完成度の高かった先代のスタイルをうまくアップデートし、誰が見てもフィットだと分かるアイディンティティを持ったスタイルとなりました。
　ボディサイズがやや大きくなったのは残念ですが、それでも全長４ｍ以内を堅持し、現代のレベルから言うと十分コンパクトな車と言えると思います。
　ただ、全体的には本当に良くできているのですが、何か物足りないというか、ホンダ車らしさが希薄な印象も受けました。そのあたりを下記で述べていきます。

満足している点

・ますます広くなった室内
　旧型は、コンパクトカーの室内は狭いものという常識を打ち破る、非常に広い室内を持っていましたが、新型もそれに磨きをかけてさらに広く実用的な室内空間を実現しています。
・乗り心地の改善
　総評で述べたとおり、旧型は決して乗り心地の良い車ではありませんでした。さらに、特に初期型は足が妙に堅く感じるわりには、ロードホールディングが希薄で、あまり落ち着きのないハンドリングでしたが、新型はソツのない乗り心地とハンドリングになっています。
　速度を上げていってもチョロチョロした動きが出ず、旧型よりも長距離を走ったときの疲労は格段に少なそうです。

不満な点

・低速走行時にギクシャクする
　ごく低速で走行中、アクセルを踏み込んで加速しようとすると、一瞬「カクン」という段付きを感じます。CVTの制御のせいでしょうが、街中でよく使用する速度域で起こるだけに非常に不快で気になります。
・重量が増えた
　他の方もレビューで書いておられますが、マツダデミオは徹底的に軽量化にこだわっているのに対し、新型フィットは旧型から引き続いて車重が1トンを越えています。
旧型とは考え方を変え、スタイル重視でコンパクトになったデミオに対し、旧型のユーティリティをさらに拡大進化させたフィットは考え方が全く違いますが、それでもコンパクトカーなのですから、軽さにはもっとこだわってほしいですね。
・カタログ燃費と実燃費の乖離
　現時点で欠点と言うのもやや問題があるのですが、G（FF）の24㎞/Lという燃費は、実際に出せるのでしょうか？
　旧型フィットのユーザーレビューを見ると、平均燃費は15～16㎞/L程度のようです。
　もちろんこの数字も立派だとは思うのですが、旧型（1.3A FF）の10･15モードは24㎞/Lだったので、達成率は70％弱程度と言えます。
　フィットに限らずプリウスなど燃費のいい車は、カタログ数値と実際の値が大きくかけ離れることはよくありますが、あまり気分のいいものではありません。
　また、ディーラーなどでセールス氏に燃費を聞くと「カタログ数値は○○㎞/Lですが、実際には○○㎞/Lぐらいですね～。」などと、さも当然のように言われるのも、何か釈然としません。
　実燃費をカタログ数値に近づける努力をもっともっとしていただきたいものです。
・ホンダの車らしい驚きがない
　旧型フィットがデビューした時は、コンパクトカーらしからぬスタイリッシュな内外装、低燃費と走りの両立、センタータンクレイアウトによる広い室内と画期的な使い勝手を見て、「これはコンパクトカーの革命だ。これなら上のクラスの車なんか必要ない。」と大変感心したものです。
　新型は旧型の良い部分を引き継いでいますが、新型なりの革新的な部分というのはありません。室内は確かに広くなっていますが、ボディサイズが拡大しているのですから当然のことと言えますし、燃費のカタログ数値も旧型と全く同等で、驚きは全く感じません。
　贅沢な要望かもしれませんが、ホンダの車らしい新鮮な驚きがあればよかったのになあと思ってしまいます。

デザイン

-

走行性能

-

乗り心地

-

積載性

-

燃費

-

価格

-

故障経験