全体的には、大人数の乗車が必要であったり、狭い駐車スペースでの乗り降りを強いられる環境などでなければ、走りを愉しみながら無理なくエコも追求できる新世代
2013.1.5
- 総評
- 全体的には、大人数の乗車が必要であったり、狭い駐車スペースでの乗り降りを強いられる環境などでなければ、走りを愉しみながら無理なくエコも追求できる新世代クーペとして推奨に値するが、ピュアスポーツとして見るならばどうしても物足りないのは致し方ないだろう。
あと、燃費はまぁこんなものかなぁと思う。380kmほど、郊外6:市街地4、路面はほぼ圧雪アイスバーンという状況でリッター18kmちょいちょい。ハイブリッドではない1.5Lクラスのコンパクトと大差ないレベルは、走りも愉しめる代償としては納得の行く範囲。
CR-Zは従来からある古典的なスポーツカーとしての成り立ちを求めるべきクルマではなく、運転を愉しみながら無理なくエコノミカルかつエコロジカルなカーライフを満喫するためのクルマとして考えるべきだろう。そして、それはある意味で新世代のスポーツカーの定義となりうるやもしれない。
- 満足している点
- 今回借り出したのは前期、ZF1型のβグレード・CVT仕様でした。
エクステリアは古き良きセクレタリー・カーのイメージもありつつ、走りのよさも感じさせる精悍さを兼ね備えたルックスはなかなか好み。
また、ホンダ肝煎りの3モード・ドライブ・システムは結構明確に個性がついていて、ECONだとスロットルをマイルドに制御して燃費を着実に稼ぎ、SPORTではエンジンを高回転まで使いきる制御で、前期型の刺激の少ないエンジンとは言えどもなかなかに愉しませてくれる演出。今回冬道ということもあって主にECONモードでの走行だったが、エコだけで終わらない、という強い意志は感じさせた。
足回りの出来も、コンパクトカーで標準的な前ストラット/後トーション・ビームという低コストなシステムながら、かつてVWなどの欧州勢が同様のサスペンション・レイアウトで低速から高速までよく粘る脚を造り上げてみせたことから解るとおり素性の悪いシステムではないので、CR-Zの開発スタッフも鷹栖でしっかりと走り込んで磨き上げ、なかなかのレベルに仕上げてきたことが感じられた。
リチウムイオンバッテリーに入れ替え、エンジンも気筒休止VTECからシングルカムながら旧来のVTECに入れ替えた現行型の6MT仕様が楽しみ。
クーペボディ故に厳しい後方視界を少しでも確保しようと、CR-Xから伝統のエクストラ・ウィンドウはなかなかに有用で、直後方視界は比較的確保できていた。
横滑り制御装置は、現状の、スキッドパッドでのトレーニングが課されない日本の免許取得カリキュラムを前提とすればない方がいい、と従前から主張しているのだが、凍結路面の上で実際にVSAのオン・オフそれぞれを試してみて、なるほどなかなかに効果的ではあるのだな、ということは経験できた。
ただ、やはりスキッドパッドでのきちんとした緊急回避のトレーニングは免許取得のカリキュラムに組み込まれるべきであり、それがなされるまではVSAをオフにした状態でクルマの挙動をしっかり身体に叩き込んでおく必要があるだろう。これは満足・不満とは別だし、CR-Zの評価とも関係はしないのだが、横滑り装置の義務化を求める評論家層の声が強まっている現状、それより先にやるべきことがあるだろう、という提起のためにあえて記す。
- 不満な点
- CVTのマニュアルモードはやっぱり意味不明。SPORTモード以外ではマニュアルモードに固定できず、勝手にオートに復帰するので、いっそSPORTモード以外ではパドルが作動しないロジックにした方がいいとすら思った。今日日のオートマチックはDレンジの制御ロジックが長足の進歩を遂げていることもあって、特にCVTであれば通常はDレンジで事足りてしまうわけで。
後方視界を確保するために用意されているリアのエクストラ・ウィンドウだが、ウィンドウの面積の関係もあってワイパーの備えがないために、悪天候時は正直無意味。雪であれば熱線があるから問題ないけど、雨の時はあまり使い物にならないと思う。また、右側の側後方はやはりほとんど見えないのでミラーが頼り。まぁ、ミラーはけっこうまともに見えるので大きな問題ではないが、それでも直接の視認がしにくいことは後退時や右折時にヒヤッとする要因。これは、まぁクーペの宿命ではあるけれど。
あと、3モードシステムやエコドライブ具合に応じて色の変わるメーター。フィット・ハイブリッドの時にも言ったが、運転に集中させるためには不要な装備。これとプライバシーガラスについては、それぞれ単独レスオプションの設定を強硬に求める。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験